紫電の射手 勇者パーティで無能扱いされて追放しかし、雷に打たれて世界最強の魔法剣士に!

秋水

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第一章 紫電の射手

act.18 紫電の射手

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「憎き人間め、どこに消えおった……」

 我が子の敵(かたき)であるイグニールとモニカを探し求め、森の中を歩くヒューマン・スライム。水弾を5発程浮遊させ、臨戦態勢を整えている。

 ガサッ

「そこか! アクアボール!」

 茂みの揺れる音を素早く察知し、1発の水弾を放つ。茂みが弾け飛びその向こう側にモニカの姿が露わになる。彼女は体を震わせ、怯えているようだ。

「見つけたぞ。小癪な小娘め。どうした連れの男はいないのか?」
「い、いや! やめて、許して……イグニール、どうして来てくれないの!」
「はははっ、どうやら見捨てられたようだな! 心配するな、あの男にもきっちり償いをさせてやる」

 ヒューマン・スライムは右手を高らかに上げる。

「さぁ死ね。押しつぶせアクアボ――」
「今よ!」

 ヒューマン・スライムの左側の茂みが揺れ、イグナールが飛び出す。エンチャントも施されていない剣を振り、ヒューマンス・スライムの首を切り裂いた。しかしイグニールは初動に全てを掛けたのか、着地に失敗しヒューマン・スライムの足元に転がる。

「『我に眠りし力よ、我が意思に従え』『揺蕩う水よ、形を成し顕現せよ』」

 すかさずモニカは巨大な水弾を生成する。

「無駄だ!」

 完全に頭と胴を切り離したはずが、空中に浮く首は切断面から植物のツルのような触手を胴体へ伸ばし、繋がる。

「アクアボール!」

 完全に再生し、体勢を立て直すの阻止するためモニカが巨大な水弾を飛ばす。しかし先程の二の舞、ヒューマン・スライムは片手で水弾を受け止め吸収し始める。

「愚かな奴らだ。これで万策尽きたか!」
「こっちが本命だ! 『我に眠りし力よ、我が意思に従え』」

 転がったままの体勢で右手をヒューマン・スライムへ向ける。バチバチと紫電をまき散らし、光を放つ。

「吹き、飛べ‼」

 果てしない空、虚空へ向けて極大のエネルギーが放たれる。雷鳴を轟かせ、行く道を全て無に帰す加減を知らぬ無慈悲の一撃。

 地から空へと降り注ぐ紫電は、進路上にあったヒューマン・スライムを蒸発させ、空の彼方へと消え去った。紫電の射(う)ち手はその膨大な魔力を消費し、地に転がったまま青い空を見上げ微笑んだ。

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