黒い記憶の綻びたち

古鐘 蟲子

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18.夢で逢ったら逃げましょう

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 これは、私が元恋人と別れてすぐ、一ヶ月後くらいから二ヶ月定期くらいで数年ほど見続けた続き物の夢の話である。


 最初に見た夢は、現在の夫と、私が昔住んでいた街を車で走っていると、コンビニで立ち読みをしていた元彼が車の私に気づき、コンビニから出て自転車で追いかけてくるというもの。

 それを機に、二ヶ月に一度ほどの周期で元彼に追いかけられる夢を、かれこれ七年ほどだろうか。ずっと見ていた。

 最初のコンビニから自転車でという回では追いつかれそうにはならなかったが、いい別れ方をしたわけでもなかったので、魘されて叫びながら起きた。

 ちなみに、この最初の夢を見た時点では、私と現夫は付き合ってすらいない。好意もなく意識もしていない状態なので、

「何で私あの人の車であの街に戻ったんだろう」

 と不思議でならなかった。

 しかし夢は正夢となり、私は何回か現実にあの街に夫の車で行っているので、運命とは不思議なものであるなと思った。


 二回目以降の夢は、同じ街のデパートに入っていく私を元彼が見つけ、私はデパートの地下にある駅から電車に乗り逃げようとする。

 しかし、元彼もギリギリその電車に乗れたらしく、車両を何両も歩き進んで私に近づいてくる、という内容。

 見つかったら何をされるかわからないという執着からの恐怖心が込み上げてくるものだった。


 近年見た夢では、元彼に滅多刺しにされた私が、現夫にターゲットを変えた元彼を死に物狂いで止めに行く回。

 現夫が探しているのがわかる状態で元彼にマンションに監禁され刃物で脅される回など、追いかけられるのではなくもう捕まっている回が多かった。

 捕まってから見る頻度が落ち、今ではたまにしか見なくなったけれど、それでもまたいつあの夢に入ってしまうのではないかというのが心配だった。

 当時から少し考えていたのだけれど、あれはもしかして元彼の生霊のようなものが飛んできていたのではないだろうかということだ。

 諦めの悪い人だったから、有り得なくもない話である。

 もし読者の方で生霊に詳しい方がいたら、意見が欲しい。

 私としては綺麗さっぱり断ち切りたいので、解決策があるならば試してみたいところである。
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