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fine.
君のくれた言葉
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手紙を読み終わり、僕の涙も気が付けば止まっていた。
「奏太ー!」
「センパイー!!」
「うん!」
僕は思い出のたくさんつまった部室を後にした。
君の空はどんな空ですか?
ひとりぼっちで寂しくて灰色の空になっていませんか?
僕の空は…君がくれた言葉のおかげで
希望に満ちた、とても晴れ渡っている空になっています。
~五年後~
「コンクール優勝おめでとうございます!」
「ありがとうございます。」
「優勝の秘訣は?」
大きなコンクールで僕は優勝することができた。斎藤とアンサンブルのコンクールで優勝して以来、久々の優勝だった。多くの報道陣たちが次々僕に取材に来た。
フラッシュがたくさん飛び交うなか、僕は胸を張って答えた。
「僕の大好きな人から最期のアドバイスをもらったんです。それは」
それはあの時に言われた言葉のおかげだった。その言葉は
「"自分らしい音色を響かせてね"と、言われました。その言葉のおかげで自分らしい演奏ができました。とても…とてもかけがえのない存在です!!」
取材も終わってやっと会場から出た。
「来た!奏太ーー!!!」
音羽が元気よく手を振る。
「お疲れ様でした!センパイ、かっこよかったです!!」
「ありがとう。」
「きっと、誰よりも喜んでいる人がいるはずよね。」
「うん!」
僕は空を見上げた。とても晴れ渡っていた。アンサンブルのコンクールと最後に彼女と星空を見たときの空と同じ空だった。
「最初は、彼女の音に惚れたんだ。でも、ペアを組んでから彼女の人間性を知って、彼女にも惚れた。もし、彼女が生きてて元気だったら間違いなく彼女が優勝してただろう。今すぐ会って、思いっきりだきしめて優勝したよ!って伝えたくて…」
そう言って音羽たちの方を見るとすでに歩き出していた。
「って、聞いてないし」
やれやれと思って音羽たちについていこうとしたとき
「あのー」
横をみると小さな女の子がたっていた。
「サイン…ください!」
大きく澄んだ瞳が僕を見つめる。色紙にサインだけでは物足りないと感じて、その子の名前も書いてあげようと思い
「お名前は?」
と聞くと
「響香!!私もピアノやってるの!」
驚いてしまった。早速会いに来たのかと思ってしまった。
「そっか、頑張ってね!」
「うん!」
僕のサインを受けとると嬉しそうに去っていった。
早速、君は会いに来てくれた。小さな天使となって
君に出会えて良かった。
4月、君と出会った春、君と出会い、君の言葉に涙した春。暖かい光がまた僕を包む。ふと見るとまた彼女が現れていた。あの頃から何も変わっていない、真新しい制服を身にまとった君が僕に微笑んでくれた。そして何も言わず、僕にグッドサインを送ってくれた。おめでとうと言っているかのように。そして春の風と同時にその姿は消えた。
君に何も良いことなんて言えなかったけど
君との思い出はずっと、心の中にあり続けるから
ずっとずっと忘れないよ
これからも僕らしい音色を響かせて。
fine.
「奏太ー!」
「センパイー!!」
「うん!」
僕は思い出のたくさんつまった部室を後にした。
君の空はどんな空ですか?
ひとりぼっちで寂しくて灰色の空になっていませんか?
僕の空は…君がくれた言葉のおかげで
希望に満ちた、とても晴れ渡っている空になっています。
~五年後~
「コンクール優勝おめでとうございます!」
「ありがとうございます。」
「優勝の秘訣は?」
大きなコンクールで僕は優勝することができた。斎藤とアンサンブルのコンクールで優勝して以来、久々の優勝だった。多くの報道陣たちが次々僕に取材に来た。
フラッシュがたくさん飛び交うなか、僕は胸を張って答えた。
「僕の大好きな人から最期のアドバイスをもらったんです。それは」
それはあの時に言われた言葉のおかげだった。その言葉は
「"自分らしい音色を響かせてね"と、言われました。その言葉のおかげで自分らしい演奏ができました。とても…とてもかけがえのない存在です!!」
取材も終わってやっと会場から出た。
「来た!奏太ーー!!!」
音羽が元気よく手を振る。
「お疲れ様でした!センパイ、かっこよかったです!!」
「ありがとう。」
「きっと、誰よりも喜んでいる人がいるはずよね。」
「うん!」
僕は空を見上げた。とても晴れ渡っていた。アンサンブルのコンクールと最後に彼女と星空を見たときの空と同じ空だった。
「最初は、彼女の音に惚れたんだ。でも、ペアを組んでから彼女の人間性を知って、彼女にも惚れた。もし、彼女が生きてて元気だったら間違いなく彼女が優勝してただろう。今すぐ会って、思いっきりだきしめて優勝したよ!って伝えたくて…」
そう言って音羽たちの方を見るとすでに歩き出していた。
「って、聞いてないし」
やれやれと思って音羽たちについていこうとしたとき
「あのー」
横をみると小さな女の子がたっていた。
「サイン…ください!」
大きく澄んだ瞳が僕を見つめる。色紙にサインだけでは物足りないと感じて、その子の名前も書いてあげようと思い
「お名前は?」
と聞くと
「響香!!私もピアノやってるの!」
驚いてしまった。早速会いに来たのかと思ってしまった。
「そっか、頑張ってね!」
「うん!」
僕のサインを受けとると嬉しそうに去っていった。
早速、君は会いに来てくれた。小さな天使となって
君に出会えて良かった。
4月、君と出会った春、君と出会い、君の言葉に涙した春。暖かい光がまた僕を包む。ふと見るとまた彼女が現れていた。あの頃から何も変わっていない、真新しい制服を身にまとった君が僕に微笑んでくれた。そして何も言わず、僕にグッドサインを送ってくれた。おめでとうと言っているかのように。そして春の風と同時にその姿は消えた。
君に何も良いことなんて言えなかったけど
君との思い出はずっと、心の中にあり続けるから
ずっとずっと忘れないよ
これからも僕らしい音色を響かせて。
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