愛に一番近い感情

小波ほたる

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3幕:優しさを求める共鳴

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 B1フロアから地上に戻り、施設内の飲食店をひと通り確認した。
 話し合いの場所に決めたのは、施設二階にある静かで空いている喫茶店だった。ここなら、中が広く正面はガラス張りになっていて、外からも店内の様子がわかりやすい。何かあっても、誰かに発見してもらえる。念のためだ。
 彼が席に着いてジャケットを脱ぐ。
「素敵な上着ですね」
 そう褒めると、彼は少し気恥ずかしそうにした。
「舞台鑑賞に行くならこれくらいは、と思ったのですが……少し場違いでしたか」
 口元がほころぶ。何だか微笑ましい。
 初めて舞台を観に行く人がたまにする思い違いに「ドレスコード」がある。でも実際は、オペラとかならともかく、観客に正装が求められることはほぼない。だから、観劇未経験者だって、もっと気軽に観に来てくれていいのだ。
「舞台は今回が初めてですか?」
「そうですね、ほとんど。ですが、今回観たのがこの作品でよかったと、強く思います。馴染みのない芸術ですが、感銘を受けました。こんなに心動かされるものなのかと」
 そして改めて私を見て、続けた。
「その感動を受け止めている時、脚本を書いた方ご本人が来ていることに気づき、ためらわず声をかけていました。どうすればこんな作品が生まれるのか聞きたくて仕方なく」
 こうして向き合ってみても、下心やいやらしさみたいなものは何も感じない。
 物腰柔らかで、スマートで紳士的な身なりと振る舞いをするおじさまだ。
「どうして、あの脚本を書こうと思ったんでしょうか」
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