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11 彼の気持ち
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噂とは違っていた。でも、
「ですが…私が1人先に帰ったあのパーティで騎士団の方々から彼女の離縁の話を聞いて『最悪だ』と婚約した事を後悔していらしたでしょう。」
「ああ、あの話を聞いていたのですか?最悪なのは俺がまだ彼女の事を思い続けている。と勘違いされていること。そして俺からの婚約の申し込みなのに貴女のわがままで婚約したかのように言われることも。
最初は俺の行動で傷つけたのだから傷跡が残らないと言われても結婚するしかない、いや、結婚しようと思ってました。
事故の時の貴女の対応に好感を持ったのもあり、結婚するなら他の令嬢よりも貴女の方が良い。と思っていたのも事実です。だから咄嗟に否定できませんでした。」
怒りがぶり返してきたのか口調が荒々しくなっている。やはり婚約は責任感からだったのね。正直に言ってもらえて嬉しいような悲しいような不思議な感じだ。
「婚約解消は双方合意すればいつでもできるのよ。」
消去法で選んだ私とは婚約を解消できる事を伝えた。嬉しそうな表情になると思われたのに怒らせたようで逆に怖いくらいの形相でこちらを睨む。
「婚約解消はしません。そんな事考えてもいません。」
でも…と言い募ろうとした私の言葉を遮り
「侯爵から娘が責任を取らなくても良い。結婚しなくても良いと言ってると聞かされてなんだが自分の思いを否定されている気がしたんだ。
事故後貴女に会った時、あるはずの傷はどこにも見当たらなかった。凝視していると、貴女は気になっていのはこれでしょう。と手袋を外して手を見せてくれた。その時の『傷もなくなるのですから貴方が犠牲になる必要はありません。貴方はただお仕事を全うされただけですもの。』と言って笑いながらもこちらを気遣ってくれた。
犠牲という言葉になんだか責任だけで結婚する最低な男に見られているように思えた。確かにその言葉に否定はできないが、あの日王子を守ろうとした姿や俺を気遣う凛とした姿に好ましいと思ったのも事実だ。だからそれまでは結婚しようと思っていたが、ただ仕事を全うしただけだ。犠牲になる必要はない。と言って苦笑する君に結婚したいと思った。だからプロポーズの言葉は自然と出た。
その時はにかみ頷いてくれた君に更に恋をした。」
思ってもなかった事だからびっくりしてしまった。
貴族として生まれると恋愛結婚ではなく政略結婚が当たり前で結婚後愛を深め合えば良いと言われて育てられるのだから。
彼が責任感だけで婚約しようとする人だとも思えなかったが、無責任にそのまま何事もなかったようにする人とも思えなかった。だから、傷が残らないと聞いた時はほっとした。
これで責任感だけで彼を縛る事はないと。
それでも彼は婚約を推し進めた。彼には他に好きな人がいるのだから、愛情ではなく責任感だけだとしても仕方がない事だと思っていた。それなら少しずつでもお互い歩み寄りたいと思っていた。
だから俺の中では恋愛なんだ。と言われて真っ赤になってしまった。
「ですが…私が1人先に帰ったあのパーティで騎士団の方々から彼女の離縁の話を聞いて『最悪だ』と婚約した事を後悔していらしたでしょう。」
「ああ、あの話を聞いていたのですか?最悪なのは俺がまだ彼女の事を思い続けている。と勘違いされていること。そして俺からの婚約の申し込みなのに貴女のわがままで婚約したかのように言われることも。
最初は俺の行動で傷つけたのだから傷跡が残らないと言われても結婚するしかない、いや、結婚しようと思ってました。
事故の時の貴女の対応に好感を持ったのもあり、結婚するなら他の令嬢よりも貴女の方が良い。と思っていたのも事実です。だから咄嗟に否定できませんでした。」
怒りがぶり返してきたのか口調が荒々しくなっている。やはり婚約は責任感からだったのね。正直に言ってもらえて嬉しいような悲しいような不思議な感じだ。
「婚約解消は双方合意すればいつでもできるのよ。」
消去法で選んだ私とは婚約を解消できる事を伝えた。嬉しそうな表情になると思われたのに怒らせたようで逆に怖いくらいの形相でこちらを睨む。
「婚約解消はしません。そんな事考えてもいません。」
でも…と言い募ろうとした私の言葉を遮り
「侯爵から娘が責任を取らなくても良い。結婚しなくても良いと言ってると聞かされてなんだが自分の思いを否定されている気がしたんだ。
事故後貴女に会った時、あるはずの傷はどこにも見当たらなかった。凝視していると、貴女は気になっていのはこれでしょう。と手袋を外して手を見せてくれた。その時の『傷もなくなるのですから貴方が犠牲になる必要はありません。貴方はただお仕事を全うされただけですもの。』と言って笑いながらもこちらを気遣ってくれた。
犠牲という言葉になんだか責任だけで結婚する最低な男に見られているように思えた。確かにその言葉に否定はできないが、あの日王子を守ろうとした姿や俺を気遣う凛とした姿に好ましいと思ったのも事実だ。だからそれまでは結婚しようと思っていたが、ただ仕事を全うしただけだ。犠牲になる必要はない。と言って苦笑する君に結婚したいと思った。だからプロポーズの言葉は自然と出た。
その時はにかみ頷いてくれた君に更に恋をした。」
思ってもなかった事だからびっくりしてしまった。
貴族として生まれると恋愛結婚ではなく政略結婚が当たり前で結婚後愛を深め合えば良いと言われて育てられるのだから。
彼が責任感だけで婚約しようとする人だとも思えなかったが、無責任にそのまま何事もなかったようにする人とも思えなかった。だから、傷が残らないと聞いた時はほっとした。
これで責任感だけで彼を縛る事はないと。
それでも彼は婚約を推し進めた。彼には他に好きな人がいるのだから、愛情ではなく責任感だけだとしても仕方がない事だと思っていた。それなら少しずつでもお互い歩み寄りたいと思っていた。
だから俺の中では恋愛なんだ。と言われて真っ赤になってしまった。
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