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1 婚約しました。
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彼との婚約が成立したのはこの年の始め。
ヒューナイツ侯爵家の長女の私ルーリラとマイコエントル伯爵家次男であり騎士団に勤めるフェルマン様との出会いは外交を任されている父イズールが友好国の大使団を招いてのパーティで警護に来ていた彼と知り合った。
友好国アニストラの大使団と一緒に来ていた幼い第二王子がパーティに飽きたため庭を案内してほしいと言われて私が案内をしていた。
庭には生垣で作ったミニ迷路があり、幼い王子は喜んでその迷路に入っていった。
不意に前方から無言で王子に近付いてきた男がいた。その男の手には光るナイフのようなものが握られていた。私は固まった王子を庇うように引き寄せた。
迷路という事で警護は後方のみだった。
固まった私たちにすぐに気がついたフェルマン様が対処してくださったので王子には怪我はなかった。
そう、王子には怪我はなかった。
フェルマン様は狭い迷路の生垣の中で私達を押しのけるように動き王子と犯人の間に割って入った。
そうしなければ王子は無傷ではいられなかっただろう。
ただ、押しのけられた先が不幸にも生垣だっただけだ。
服から出ている手や首とどうしても避けきれなかった横顔が木の枝で血だらけになってしまった。すぐに医者が呼ばれて診察を受けた。傷は深いものはなく傷痕はしばらくすればなくなると言われた。
後で分かったことだが、アニストラ国内ではこの外交中に第二妃が自分の産んだ第一王子を跡取りにするべく、クーデターを起こしていた。国内にいた国王、王妃は毒を盛られた。国王は毒に耐性があるので無事だ。王妃は重体だが一命は取り留めた。しかしお腹の子は亡くなってしまった。本来第二王子も国内にいるはずだったが、国内の不穏な空気と王妃の妊娠で王子をもっとも信頼のおける宰相に託し大使団と一緒に連れて来てしまった。第二妃は急遽潜り込ませた手のものに時を同じくして殺すように命令を出していたのだ。その為手段は問わなかったらしい。だから直接襲ったのだ。
自分の子を国王にすることしか見えていない第二妃には他国で事を犯せばどうなるかなどわかっていなかったのだろうか。いや、自分の子が国王になればなんとでもなると考えていたのかもしれない。
友好国のクーデターとはいえ自国で友好国の王族が狙われたなど、口外できない。してはならない。
見方を変えれば私の怪我は名誉の負傷だが、痕が残らないとはいえ怪我をした事実だけでも女性である私にとって婚約ひいては結婚に差し障る。勿論、怪我をした事自体も原因が原因だけに隠されるが。
その為原因となった友好国が責任を取ろうとしたが、
第二妃とその息子である第一王子は処刑の対象であり、第二王子はまだ幼すぎて婚約者には向かず、更にクーデターで荒れている国内を思えば第二王子に有力な後ろ盾の欲しい王家は国内での婚約を望んでいる。
そうして怪我の直接の原因となってしまったフェルマン様が責任を取る事になったのだ。
フェルマンはマイコエントル伯爵家の次男であり継げる爵位はない。
以前に武勲をたてて子爵位を授爵の話はあったが、辞退していた。今回公にできないこの件で国から伯爵位を提示されそれを受け入れたのだ。
それは侯爵家令嬢のルーリラの輿入れ先として必要な身分だったのだ。
それまで24歳の騎士として働いていたフェルマンと学園に通う17歳のルーリラとは一方的に公開試合を見学する位でそれまで言葉を交わした事などなかった。
ヒューナイツ侯爵家の長女の私ルーリラとマイコエントル伯爵家次男であり騎士団に勤めるフェルマン様との出会いは外交を任されている父イズールが友好国の大使団を招いてのパーティで警護に来ていた彼と知り合った。
友好国アニストラの大使団と一緒に来ていた幼い第二王子がパーティに飽きたため庭を案内してほしいと言われて私が案内をしていた。
庭には生垣で作ったミニ迷路があり、幼い王子は喜んでその迷路に入っていった。
不意に前方から無言で王子に近付いてきた男がいた。その男の手には光るナイフのようなものが握られていた。私は固まった王子を庇うように引き寄せた。
迷路という事で警護は後方のみだった。
固まった私たちにすぐに気がついたフェルマン様が対処してくださったので王子には怪我はなかった。
そう、王子には怪我はなかった。
フェルマン様は狭い迷路の生垣の中で私達を押しのけるように動き王子と犯人の間に割って入った。
そうしなければ王子は無傷ではいられなかっただろう。
ただ、押しのけられた先が不幸にも生垣だっただけだ。
服から出ている手や首とどうしても避けきれなかった横顔が木の枝で血だらけになってしまった。すぐに医者が呼ばれて診察を受けた。傷は深いものはなく傷痕はしばらくすればなくなると言われた。
後で分かったことだが、アニストラ国内ではこの外交中に第二妃が自分の産んだ第一王子を跡取りにするべく、クーデターを起こしていた。国内にいた国王、王妃は毒を盛られた。国王は毒に耐性があるので無事だ。王妃は重体だが一命は取り留めた。しかしお腹の子は亡くなってしまった。本来第二王子も国内にいるはずだったが、国内の不穏な空気と王妃の妊娠で王子をもっとも信頼のおける宰相に託し大使団と一緒に連れて来てしまった。第二妃は急遽潜り込ませた手のものに時を同じくして殺すように命令を出していたのだ。その為手段は問わなかったらしい。だから直接襲ったのだ。
自分の子を国王にすることしか見えていない第二妃には他国で事を犯せばどうなるかなどわかっていなかったのだろうか。いや、自分の子が国王になればなんとでもなると考えていたのかもしれない。
友好国のクーデターとはいえ自国で友好国の王族が狙われたなど、口外できない。してはならない。
見方を変えれば私の怪我は名誉の負傷だが、痕が残らないとはいえ怪我をした事実だけでも女性である私にとって婚約ひいては結婚に差し障る。勿論、怪我をした事自体も原因が原因だけに隠されるが。
その為原因となった友好国が責任を取ろうとしたが、
第二妃とその息子である第一王子は処刑の対象であり、第二王子はまだ幼すぎて婚約者には向かず、更にクーデターで荒れている国内を思えば第二王子に有力な後ろ盾の欲しい王家は国内での婚約を望んでいる。
そうして怪我の直接の原因となってしまったフェルマン様が責任を取る事になったのだ。
フェルマンはマイコエントル伯爵家の次男であり継げる爵位はない。
以前に武勲をたてて子爵位を授爵の話はあったが、辞退していた。今回公にできないこの件で国から伯爵位を提示されそれを受け入れたのだ。
それは侯爵家令嬢のルーリラの輿入れ先として必要な身分だったのだ。
それまで24歳の騎士として働いていたフェルマンと学園に通う17歳のルーリラとは一方的に公開試合を見学する位でそれまで言葉を交わした事などなかった。
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