【完結】政略結婚から契約結婚へ… 契約結婚は幸せになれますか？

アンリエッタ視点

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私は旦那様に嫁ぐまで誰かから愛されるというのを体験していない。
勿論両親は私を大切に育ててくれたけれど、本当の意味で愛されていたのかは不明だ。
政略結婚で結ばれた両親は貴族らしい感情で結ばれて おり、両親にとって子供は後継の兄、政略結婚の駒の私だった。
幼い頃から決められた相手に嫁ぐという事を言い聞かされていた私にとって本当の意味で愛とは何かがわからない。
私付きの侍女ナタリーとその夫で護衛のレオンからは好かれているかもしれないが、雇用の上での事だと思っている。
学園内でも周りに素敵な男性もいたが、事あるごとにに政略結婚をちらつかされたら恋愛に前向きになれなかった。
そして政略結婚の相手からの別に好きな人がいる発言だった。

離婚まで後2ヵ月。旦那様から恋人のエリナへの態度は前のように甘い雰囲気は全くなくなり今は主人と使用人のようだ。
それに代わるかのように旦那様は私にとても優しくなられた。
執務の合間に一緒にお茶をしたり、これまで一切なかった贈り物をくださったり、庭の散策に誘ってくださったり。これがなんなのかよくわからなかった。
そして夜になると執拗に体を求められる。
その際に私の事を自分のものだと言い、夜会に出るのに支障をきたすほどに全身に所有印を刻む。
段々と旦那様に愛されているのかしら？と思うようになった。

離婚まで残りが少なくなってきているのでナタリーとレオンを伴って離婚後の生活基盤を作りに街に出かけた。
そこで襲われ破落戸共に囲まれてナタリーとレオンだけでは守りきれず攫われた。
狙いは最初からアンリエッタだけだった。誰かに指示されてアンリエッタを娼婦として娼館へ売り渡そうとしていたのだ。
捕まえる時に抵抗したアンリエッタも怪我はしていたが、大人しくさせるためにアンリエッタの目の前で見せしめのようにレオンに暴力を振るった。
機転をきかせて助けを呼びに行っていたナタリーのおかげで娼館へ売られる前に助けられた。

首謀者はエリナだった。
アンリエッタは拐われたショックで1週間寝込んだ。
その間旦那様にはベッドは別にして欲しいと言った。
娼館へ売られる前に助けは間に合ったが、目の前で寄ってたかってレオンに暴力を振るうなど男性に恐怖を感じたのもあるが、旦那様にどう接すれば良いのかわからなくなっていたのだ。

そろそろ怪我も治ってきたのでとレオンに身体を支えられて庭を散歩する。1週間もベッドの上だけで生活していたので元々ない体力が更になくなっていて1人で歩くのはまだ不安が残るのだ。
そんな時声をかけられた。

「？どうされました。旦那様。まだ執務のお時間ではありませんか？」

「執務室の窓から姿が見えたので。もう出歩いて大丈夫なのか？
それよりなぜレオンと？」

「ご心配をおかけしました。医師にも許可をもらいまして今日から少しずつ日常に戻そうと思い、外に出ようとしたら思ったより体力が落ちておりレオンに支えてもらえないと無理でしたの。」

「ならレオンではなく夫の自分を呼べばいいだろう？」

旦那様の考えてる事がわからない。

「旦那様はお仕事中ですもの。」

「仕事より君を優先すると言っているのだ。」

「えっ…」

何を言われたの？仕事より私を優先する？私は契約結婚の相手なのよ。
レオンから引っ張り剥がすと横抱きにされて連れて行かれた先は寝室だった。