【完結】政略結婚から契約結婚へ… 契約結婚は幸せになれますか?

里音

文字の大きさ
上 下
13 / 16
アンリエッタ視点

1

しおりを挟む
私、アンリエッタ・クラレンスは1年ほど前に婚約したグレイ・ドリオルから結婚を数日後に控えたある日「他に好きな人がいる」と告白された。

私と彼の婚約は
ドリオル伯爵家当主が伯爵家を継ぐことのできないグレイに婚姻と同時に自身が持つもう一つの爵位である子爵位を譲ろうと考えた。そこで年頃の娘のいる友人のクラレンス伯爵家に目をつけた。
クラレンス伯爵家は新たな事業を起こそうとしたが後ろ盾がないと色々な意味で無理だと諦めていた。
婚姻によりドリオル伯爵家が後見につく。まさに両家の思惑が一致した政略結婚だったのだ。

色々と事業もある程度進んでいて今更後ろ盾を失う訳にはいかない。
1年の間に婚約者に対し少しは友情というか家族愛的なものが芽生えていた。それがここにきてこれだ。
家族のことを考えると婚約解消できない。それならば

「私達の結婚は政略ですし、婚儀もあと5日となっており諸々の準備も済んでおり、今更結婚を取りやめにできないでしょう。
ですから1年間だけお付き合いください。私はその間に生活基盤を確立しますので、1年後離婚いたしましょう。」

1年ほどあれば実家の事業も目処が立つだろう。それに離婚後は市井に降りて暮らせるように準備する期間が必要だ。と思った。

産まれて嫁ぐまで政略結婚の相手が誰でも尽くす様にと育てられてきた。両親も政略結婚だが結婚後はお互い歩み寄っている。特別良くもないが悪くもない。私もそうなりたいと思っていた。ううんそうしようと思っていた。だけど相手に好きな人がいるなんて思ってもみなかった。


結婚して初夜を迎える。本来なら白い結婚が理想的なのはわかる。だが、私はここで女主人として1年間過ごさなければならない。使用人達にきちんと主人として見てもらうためには必要不可欠なのだ。
旦那様に初夜を決行していただいた。
これは旦那様達に対しての嫌がらせも入っている。恋人がいるのに恋人以外の人を抱くという事をさせるのだ。もちろん恋人もそれがわかる立場にいる。だってこの邸に恋人を連れてきているのだから。

その後は寝室を分けることなく過ごしていただいた。そしてこの婚姻の間は恋人と身体を繋げることはしないと約束していただいている。


結婚から2ヶ月ほどして、旦那様の執務室の隣にベッドを入れた休憩室が完成した。結婚する前、父の執務の大変な時期を見ていたから少しの時間で良いので体を休める場所を作ってあげたかったのだ。
恋人が同じ邸で暮らしていても接触できない旦那様にとって体だけでなく心も休める場所にして欲しいと思ったのも事実だ。

結婚してからは社交の講師を呼んで上級のマナーや社交界の事を学んだ。安心して離婚するために旦那様の地位を確立すると共に実家も売り込む。そのために色々な爵位や職業の方々と交流を持つ。
それと同時に離婚後の生活基盤を作るためにそれとなく色々なところから情報を得ていた。


学園の教えである『知識は武器になる』という言葉を信じて色々な分野の情報を集めていた。
その中でフェルン侯爵家の嫡男ハデル様がマイナーな作家を気に入っているのを知った。私もその事をお伝えしたら気に入られたようで何かと話しかけられるようになった。
その作家の作品が舞台化されるので一緒に見に行かないか?と誘われた。お断りしても話のわかるお仲間が欲しいらしくなかなか諦めてくださらない。
1年間の契約結婚だとはいえ今はクオンティオ子爵夫人だ。醜聞は避けたい。
とはいえ、ハデル様は次期フェルン侯爵。独身で見目も麗しいと結婚相手として人気だ。話をするだけで全てではないが性格も良いようだ。
まあ、私には関係ないが。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

【完結】私の婚約者は、いつも誰かの想い人

キムラましゅろう
恋愛
私の婚約者はとても素敵な人。 だから彼に想いを寄せる女性は沢山いるけど、私はべつに気にしない。 だって婚約者は私なのだから。 いつも通りのご都合主義、ノーリアリティなお話です。 不知の誤字脱字病に罹患しております。ごめんあそばせ。(泣) 小説家になろうさんにも時差投稿します。

夫に捨てられた私は冷酷公爵と再婚しました

香木陽灯(旧:香木あかり)
恋愛
 伯爵夫人のマリアーヌは「夜を共に過ごす気にならない」と突然夫に告げられ、わずか五ヶ月で離縁することとなる。  これまで女癖の悪い夫に何度も不倫されても、役立たずと貶されても、文句ひとつ言わず彼を支えてきた。だがその苦労は報われることはなかった。  実家に帰っても父から不当な扱いを受けるマリアーヌ。気分転換に繰り出した街で倒れていた貴族の男性と出会い、彼を助ける。 「離縁したばかり? それは相手の見る目がなかっただけだ。良かったじゃないか。君はもう自由だ」 「自由……」  もう自由なのだとマリアーヌが気づいた矢先、両親と元夫の策略によって再婚を強いられる。相手は婚約者が逃げ出すことで有名な冷酷公爵だった。  ところが冷酷公爵と会ってみると、以前助けた男性だったのだ。  再婚を受け入れたマリアーヌは、公爵と少しずつ仲良くなっていく。  ところが公爵は王命を受け内密に仕事をしているようで……。  一方の元夫は、財政難に陥っていた。 「頼む、助けてくれ! お前は俺に恩があるだろう?」  元夫の悲痛な叫びに、マリアーヌはにっこりと微笑んだ。 「なぜかしら? 貴方を助ける気になりませんの」 ※ふんわり設定です

【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす

まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。  彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。  しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。  彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。  他掌編七作品収録。 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します 「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」  某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。 【収録作品】 ①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」 ②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」 ③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」 ④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」 ⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」 ⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」 ⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」 ⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」

呪いを受けて醜くなっても、婚約者は変わらず愛してくれました

しろねこ。
恋愛
婚約者が倒れた。 そんな連絡を受け、ティタンは急いで彼女の元へと向かう。 そこで見たのはあれほどまでに美しかった彼女の変わり果てた姿だ。 全身包帯で覆われ、顔も見えない。 所々見える皮膚は赤や黒といった色をしている。 「なぜこのようなことに…」 愛する人のこのような姿にティタンはただただ悲しむばかりだ。 同名キャラで複数の話を書いています。 作品により立場や地位、性格が多少変わっていますので、アナザーワールド的に読んで頂ければありがたいです。 この作品は少し古く、設定がまだ凝り固まって無い頃のものです。 皆ちょっと性格違いますが、これもこれでいいかなと載せてみます。 短めの話なのですが、重めな愛です。 お楽しみいただければと思います。 小説家になろうさん、カクヨムさんでもアップしてます!

おかえりなさい。どうぞ、お幸せに。さようなら。

石河 翠
恋愛
主人公は神託により災厄と呼ばれ、蔑まれてきた。家族もなく、神殿で罪人のように暮らしている。 ある時彼女のもとに、見目麗しい騎士がやってくる。警戒する彼女だったが、彼は傷つき怯えた彼女に救いの手を差し伸べた。 騎士のもとで、子ども時代をやり直すように穏やかに過ごす彼女。やがて彼女は騎士に恋心を抱くようになる。騎士に想いが伝わらなくても、彼女はこの生活に満足していた。 ところが神殿から疎まれた騎士は、戦場の最前線に送られることになる。無事を祈る彼女だったが、騎士の訃報が届いたことにより彼女は絶望する。 力を手に入れた彼女は世界を滅ぼすことを望むが……。 騎士の幸せを願ったヒロインと、ヒロインを心から愛していたヒーローの恋物語。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 表紙絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真のID:25824590)をお借りしています。

いつか彼女を手に入れる日まで

月山 歩
恋愛
伯爵令嬢の私は、婚約者の邸に馬車で向かっている途中で、馬車が転倒する事故に遭い、治療院に運ばれる。医師に良くなったとしても、足を引きずるようになると言われてしまい、傷物になったからと、格下の私は一方的に婚約破棄される。私はこの先誰かと結婚できるのだろうか?

【完結】真実の愛だと称賛され、二人は別れられなくなりました

紫崎 藍華
恋愛
ヘレンは婚約者のティルソンから、面白みのない女だと言われて婚約解消を告げられた。 ティルソンは幼馴染のカトリーナが本命だったのだ。 ティルソンとカトリーナの愛は真実の愛だと貴族たちは賞賛した。 貴族たちにとって二人が真実の愛を貫くのか、それとも破滅へ向かうのか、面白ければどちらでも良かった。

【完結】婚約破棄? 正気ですか?

ハリネズミ
恋愛
「すまない。ヘレンの事を好きになってしまったんだ。」 「お姉様ならわかってくれますよね?」    侯爵令嬢、イザベル=ステュアートは家族で参加したパーティで突如婚約者の王子に告げられた婚約破棄の言葉に絶句した。    甘やかされて育った妹とは対称的に幼い頃から王子に相応しい淑女に、と厳しい教育を施され、母親の思うように動かなければ罵倒され、手をあげられるような生活にもきっと家族のために、と耐えてきた。  いつの間にか表情を失って、『氷結令嬢』と呼ばれるようになっても。  それなのに、平然と婚約者を奪う妹とそれをさも当然のように扱う家族、悪びれない王子にイザベルは怒りを通り越して呆れてしまった。 「婚約破棄?  正気ですか?」  そんな言葉も虚しく、家族はイザベルの言葉を気にかけない。  しかも、家族は勝手に代わりの縁談まで用意したという。それも『氷の公爵』と呼ばれ、社交の場にも顔を出さないような相手と。 「は? なんでそんな相手と? お飾りの婚約者でいい? そうですかわかりました。もう知りませんからね」  もう家族のことなんか気にしない! 私は好きに幸せに生きるんだ!  って……あれ? 氷の公爵の様子が……?  ※ゆるふわ設定です。主人公は吹っ切れたので婚約解消以降は背景の割にポジティブです。  ※元婚約者と家族の元から離れて主人公が新しい婚約者と幸せに暮らすお話です!  ※一旦完結しました! これからはちょこちょこ番外編をあげていきます!  ※ホットランキング94位ありがとうございます!  ※ホットランキング15位ありがとうございます!  ※第二章完結致しました! 番外編数話を投稿した後、本当にお終いにしようと思ってます!  ※感想でご指摘頂いたため、ネタバレ防止の観点から登場人物紹介を1番最後にしました!   ※完結致しました!

処理中です...