【完結】政略結婚から契約結婚へ… 契約結婚は幸せになれますか?

里音

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契約期間だった1年も過ぎ最初は真っ赤になりつっかえながらグレイ様と呼んでいたアンリエッタも閨での特訓が効いたのか当たり前のように呼べるようになった頃。

「アンリエッタ。どうしたの?また食べてないね。」

朝食の席でほとんど食事に手をつけていないアンリエッタに問うと

「すみません。なんだか食欲がなくて。フルーツだけいただきますわ。」

昨夜もアンリエッタが可愛すぎて抱き潰してしまっていた。
少し自重しなければ…と思うがアンリエッタの痴態に煽られてついついもう少しとなってしまう。

「医者に診てもらおう。」

「大丈夫ですわ。多分疲れが取れていないだけです。十分睡眠をとれば治りますわ。」

うん。それは自分に対しての嫌味だな。

「でも、このところあんまり食欲はありますがないみたいだし、一度診てもらおう。何もなければそれでいいじゃないか?」

そう丸め込んだ。



「おめでとうございます。ご懐妊されております。」

懐妊…僕の子供がアンリエッタのお腹にいるって事か。
僕の背後で医師がナタリーに食事や生活に関して説明している。

「ありがとう、アンリエッタ。」

優しく抱きしめてキスをする。

「まだ産まれておりませんよ。」

そう言って微笑むアンリエッタはもうすでに母親のような優しげな顔で微笑む。


それからはアンリエッタを今以上に大事にした。
移動は抱き上げて夜はキスだけで我慢した。

「グレイ。抱き上げて移動しなくても自分で歩けます。少し運動しないと反対に難産になるらしいのです。」

抱き上げて移動するとアンリエッタはこう言うが、夜ベッドでアンリエッタを抱きしめると抱きたくなるので接触はできるだけ控えている。だから昼間こうしてアンリエッタに触れていたいのだ。

それを正直に言うとアンリエッタは真っ赤になり俯き黙ってしまった。


5ヶ月が経つ頃ナタリーが

「旦那様、医師から安定期に入りましたと言われました。」

流産の心配が少なくなる安定期に入ったのは良かった。
そう言うと声をひそめて

「安定期には夫婦の営みは激しくなければ大丈夫だとのことです。」

この時ばかりはナタリーが神に見えた。

早速その晩はアンリエッタに付き合ってもらった。
お腹が少し出て来ているので恥ずかしいと恥じらう姿に煽られたのは内緒だ。

そうして穏やかに生活してとうとう子供が産まれた。
アンリエッタに似た理知的な瞳の男の子だ。
アンリエッタは跡取りが産まれてホッとしているようだ。

「お疲れ様、アンリエッタ。ありがとう。君に似た可愛い男の子だ。」

アンリエッタは気怠げに

「無事産まれてきてくれて良かったです。」

そう微笑んだ。その耳元で

「そうだね。次は女の子が欲しいね。また頑張ろうね。」

アンリエッタはビクッとなった。
アンリエッタとて、今ではグレイを愛しておりグレイの愛情は嬉しいのだが、重く激しいのだ。少し休息が欲しいと思うのは贅沢な事なんだろうか?とアンリエッタは悩んでいる。


それからすぐにアンリエッタは第2子を妊娠した。今度はグレイに似た男の子だった。
翌年には待望の女の子を出産したが、グレイの愛情という名の執着は止まらない。


契約結婚でも幸せになれます。
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