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9 崩壊
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グレイは綺麗で優しい妻を持ち人脈作りも着々と進み順風満帆だった。
そんな中で気になるのは妻の護衛のレオンだ。
彼女が婚儀の後も実家から連れて来たのはナタリーとレオンだけだ。
ナタリーとレオンにとってアンリエッタは絶対的な存在である。アンリエッタもそれに応えるように振る舞い、そして全幅の信頼を寄せている。
ナタリーは良い。同性だから。レオンは?レオンに対して本当に異性として何の気持ちもないのか?
護衛兼執事としての距離にしては近すぎる。親しすぎる。
そんなモヤモヤが消えない時にアンリエッタはナタリーとレオンを伴って街に出かけ、そこで襲われ拐われた。
少し裕福な商人風の格好をして街を散策していたアンリエッタだったが、破落戸共に囲まれてナタリーとレオンだけでは守りきれなかったのだ。
レオンと共に拐われたアンリエッタはボロい部屋の質素なベッドに寝かされていた。
見目の良いアンリエッタを娼婦として娼館へ売り渡そうとしていたのだ。
捕まえる時に抵抗したアンリエッタも怪我はしていたが、大人しくさせるためにアンリエッタの目の前で見せしめのようにレオンに暴力を振るっていた。
襲われた時に相手の数が多すぎるといち早く応援を呼びに行っていたナタリーのおかげでアンリエッタは大きな傷はなく娼館へ売られる前に助けることができた。
首謀者はエリナだった。
グレイのアンリエッタへの態度とグレイから自分への愛情が失せたのが気に食わなかったようでアンリエッタがいなくなれば元に戻れると思い込んでの犯行だ。
あんなに好きだったエリナを見ても愛しいとは思えず、アンリエッタをあんな目に合わせた張本人だと思うだけで殺してやりたいほど憎くなっていた。
エリナは解雇した上で警ら隊へ引き渡し後の処分は任せた。
それはエリナに対して思いが残っているのではなく思いは欠片もなくそれよりもアンリエッタのことで頭がいっぱいだったのだ。エリナなどもうどうでも良い存在なのだ。
アンリエッタは拐われたショックで1週間寝込んだ。
その間ベッドは別にして欲しいと言われた。
娼館へ売られる前に助けは間に合ったが、目の前で寄ってたかってレオンに暴力を振るうなど男性に恐怖を感じていてもおかしくはない。
心配で側にいたいと思うがそう思って我慢していた。
それなのにレオンは別だったのだ。
ナタリーと数日経ち怪我が少し良くなってきたレオンが一緒に部屋に入っていく。
気になるがそんな事は言えず執務にも身が入らずしばしば気分転換に庭を眺める。
そこにはレオンに身体を支えられて庭を散歩するアンリエッタがいた。
気がついたら庭にいた。
「アンリエッタ。」
「?どうされました。旦那様。まだ執務のお時間ではありませんか?」
少し驚いたアンリエッタがいた。
執務中だからレオンといても見つからないとでも思ったのか?変な勘ぐりだと自分でも思うがどうにもならない。
「執務室の窓から姿が見えたので。もう出歩いて大丈夫なのか?
それよりなぜレオンと?」
アンリエッタは何事も無いように
「ご心配をおかけしました。医師にも許可をもらいまして今日から少しずつ日常に戻そうと思い、外に出ようとしたら思ったより体力が落ちておりレオンに支えてもらえないと無理でしたの。」
だからなぜレオンを頼るのか?夫である自分を頼れば良いではないか?苛立ちのまま告げる。
「ならレオンではなく夫の自分を呼べばいいだろう?」
それにもアンリエッタは何故だかわからないという顔で小首を傾げながら
「旦那様はお仕事中ですもの。」
「仕事より君を優先すると言っているのだ。」
「えっ…」
理解が追いついていないアンリエッタをレオンから引っ張り剥がすと横抱きにして足早に寝室へと向かう。
そんな中で気になるのは妻の護衛のレオンだ。
彼女が婚儀の後も実家から連れて来たのはナタリーとレオンだけだ。
ナタリーとレオンにとってアンリエッタは絶対的な存在である。アンリエッタもそれに応えるように振る舞い、そして全幅の信頼を寄せている。
ナタリーは良い。同性だから。レオンは?レオンに対して本当に異性として何の気持ちもないのか?
護衛兼執事としての距離にしては近すぎる。親しすぎる。
そんなモヤモヤが消えない時にアンリエッタはナタリーとレオンを伴って街に出かけ、そこで襲われ拐われた。
少し裕福な商人風の格好をして街を散策していたアンリエッタだったが、破落戸共に囲まれてナタリーとレオンだけでは守りきれなかったのだ。
レオンと共に拐われたアンリエッタはボロい部屋の質素なベッドに寝かされていた。
見目の良いアンリエッタを娼婦として娼館へ売り渡そうとしていたのだ。
捕まえる時に抵抗したアンリエッタも怪我はしていたが、大人しくさせるためにアンリエッタの目の前で見せしめのようにレオンに暴力を振るっていた。
襲われた時に相手の数が多すぎるといち早く応援を呼びに行っていたナタリーのおかげでアンリエッタは大きな傷はなく娼館へ売られる前に助けることができた。
首謀者はエリナだった。
グレイのアンリエッタへの態度とグレイから自分への愛情が失せたのが気に食わなかったようでアンリエッタがいなくなれば元に戻れると思い込んでの犯行だ。
あんなに好きだったエリナを見ても愛しいとは思えず、アンリエッタをあんな目に合わせた張本人だと思うだけで殺してやりたいほど憎くなっていた。
エリナは解雇した上で警ら隊へ引き渡し後の処分は任せた。
それはエリナに対して思いが残っているのではなく思いは欠片もなくそれよりもアンリエッタのことで頭がいっぱいだったのだ。エリナなどもうどうでも良い存在なのだ。
アンリエッタは拐われたショックで1週間寝込んだ。
その間ベッドは別にして欲しいと言われた。
娼館へ売られる前に助けは間に合ったが、目の前で寄ってたかってレオンに暴力を振るうなど男性に恐怖を感じていてもおかしくはない。
心配で側にいたいと思うがそう思って我慢していた。
それなのにレオンは別だったのだ。
ナタリーと数日経ち怪我が少し良くなってきたレオンが一緒に部屋に入っていく。
気になるがそんな事は言えず執務にも身が入らずしばしば気分転換に庭を眺める。
そこにはレオンに身体を支えられて庭を散歩するアンリエッタがいた。
気がついたら庭にいた。
「アンリエッタ。」
「?どうされました。旦那様。まだ執務のお時間ではありませんか?」
少し驚いたアンリエッタがいた。
執務中だからレオンといても見つからないとでも思ったのか?変な勘ぐりだと自分でも思うがどうにもならない。
「執務室の窓から姿が見えたので。もう出歩いて大丈夫なのか?
それよりなぜレオンと?」
アンリエッタは何事も無いように
「ご心配をおかけしました。医師にも許可をもらいまして今日から少しずつ日常に戻そうと思い、外に出ようとしたら思ったより体力が落ちておりレオンに支えてもらえないと無理でしたの。」
だからなぜレオンを頼るのか?夫である自分を頼れば良いではないか?苛立ちのまま告げる。
「ならレオンではなく夫の自分を呼べばいいだろう?」
それにもアンリエッタは何故だかわからないという顔で小首を傾げながら
「旦那様はお仕事中ですもの。」
「仕事より君を優先すると言っているのだ。」
「えっ…」
理解が追いついていないアンリエッタをレオンから引っ張り剥がすと横抱きにして足早に寝室へと向かう。
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