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ナタリー視点
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夜会から帰って寝室に篭ってしまった主夫妻。後2ヶ月後には離婚する予定なのだ。
結婚後1年で離婚すると聞かされて白い結婚だとばかり思っていたの。
反対したが女主人として認められるためにと初夜は執り行われた。確かに初夜を執り行う事で使用人達からも認められた。それはグレイ様の想いを知るだろうスティーブンでさえ。
それ以降は寝室で一緒に寝ようが何も起こらなかった。
アンリエッタ様はグレイ様の逃げ場所をと執務室の横に休憩室と称してベッドも入れた居心地の良い寝室を作った。
離婚するまでは恋人との身体的接触はしないと約束はしていると聞いていたが恋人が側にいるので我慢が効かないのではと思っていた。
だが、予想に反してグレイ様はそこで睦み合いはしていないようだ。愛の言葉をささやいているかもしれないが。
閉じられた扉の前で捨てられた子犬のように立ち尽くすエリナがいた。
家令のスティーブンだけでなく恋人のエリナもグレイ様に無視されたようだ。
震える背中にてっきり泣いているのかと思えば悔しさで拳を握り締めて震えていたのだ。
しばらく扉の前で動きがあるかと待っていたが出てくる様子がないことから使用人部屋で待機する事になった。
翌朝、満足げなグレイ様が扉から室内を名残惜しそうに見つめながら出てきた。
使用人として表情を顔に出してはいけないがつい睨むような視線をむけてしまった。ああ、私の失態は全てアンリエッタ様の失態になってしまうのに。抑えられなかった。
アンリエッタ様が望むから初夜は執り行われたが、契約結婚を了承したグレイ様は好きな方がいるからそれ以降はアンリエッタ様を抱くことはなかった。だからアンリエッタ様に興味がないと思っていたのに。アンリエッタ様は性欲の捌け口にされてしまったのだろうか?それは許せることではない。
部屋に入ると情事の後を窺わせるベッドに横たわるアンリエッタ様がいた。
素早くお側に行くと気を失うようにして眠ったのだろう意識はない。
お辛そうな顔をしていないのだけが救いだ。
当家の主人からアンリエッタ様が起きられたら連絡するようにと言われた。命令がなければ今日一日はアンリエッタ様に近づかせないつもりだったのに。
私個人はアンリエッタ様が主人とはいえ、当主の命令には背けない。
ベッド周りを綺麗にしてアンリエッタ様の身を清め、着替えをさせていたらアンリエッタ様が気が付かれてお話を伺う。
どうやら夜会でアリエッタ様に絡まれたフェルン侯爵子息に対抗意識を持たれたそうでそれを責められたようだ。
対抗意識とアンリエッタ様は仰るが話の内容からそれはただのやきもちだろう。
1年間だけの期間限定の夫、それももう残り2月だけになったのに。
今更対抗しようだなんて…。
アンリエッタ様はこのクオンテオ家にいる間は良き妻として行動すると仰っていたが、閨に関しては初夜だけのはずだった。あの男はメイドのエリナと恋仲だと安心していたが、やはり油断ならない。
結婚してからアンリエッタ様は講師の方を招いて上級マナーや情勢などを学び交流を広げて政略結婚の役割であったクオンティオ子爵家の顔繋ぎはほぼ終わっている。これで安心して離婚できる。
ただ顔繋ぎでたくさんの高位貴族の奥方様に気に入られたせいで夜会やお茶会などの招待が多く街に降りて離婚後の拠点を作る事も生活基盤を確立させる事もなかなか進まんでいないのが現状だ。
残り2ヶ月。早く安心して暮らせる拠点を探さねば。
結婚後1年で離婚すると聞かされて白い結婚だとばかり思っていたの。
反対したが女主人として認められるためにと初夜は執り行われた。確かに初夜を執り行う事で使用人達からも認められた。それはグレイ様の想いを知るだろうスティーブンでさえ。
それ以降は寝室で一緒に寝ようが何も起こらなかった。
アンリエッタ様はグレイ様の逃げ場所をと執務室の横に休憩室と称してベッドも入れた居心地の良い寝室を作った。
離婚するまでは恋人との身体的接触はしないと約束はしていると聞いていたが恋人が側にいるので我慢が効かないのではと思っていた。
だが、予想に反してグレイ様はそこで睦み合いはしていないようだ。愛の言葉をささやいているかもしれないが。
閉じられた扉の前で捨てられた子犬のように立ち尽くすエリナがいた。
家令のスティーブンだけでなく恋人のエリナもグレイ様に無視されたようだ。
震える背中にてっきり泣いているのかと思えば悔しさで拳を握り締めて震えていたのだ。
しばらく扉の前で動きがあるかと待っていたが出てくる様子がないことから使用人部屋で待機する事になった。
翌朝、満足げなグレイ様が扉から室内を名残惜しそうに見つめながら出てきた。
使用人として表情を顔に出してはいけないがつい睨むような視線をむけてしまった。ああ、私の失態は全てアンリエッタ様の失態になってしまうのに。抑えられなかった。
アンリエッタ様が望むから初夜は執り行われたが、契約結婚を了承したグレイ様は好きな方がいるからそれ以降はアンリエッタ様を抱くことはなかった。だからアンリエッタ様に興味がないと思っていたのに。アンリエッタ様は性欲の捌け口にされてしまったのだろうか?それは許せることではない。
部屋に入ると情事の後を窺わせるベッドに横たわるアンリエッタ様がいた。
素早くお側に行くと気を失うようにして眠ったのだろう意識はない。
お辛そうな顔をしていないのだけが救いだ。
当家の主人からアンリエッタ様が起きられたら連絡するようにと言われた。命令がなければ今日一日はアンリエッタ様に近づかせないつもりだったのに。
私個人はアンリエッタ様が主人とはいえ、当主の命令には背けない。
ベッド周りを綺麗にしてアンリエッタ様の身を清め、着替えをさせていたらアンリエッタ様が気が付かれてお話を伺う。
どうやら夜会でアリエッタ様に絡まれたフェルン侯爵子息に対抗意識を持たれたそうでそれを責められたようだ。
対抗意識とアンリエッタ様は仰るが話の内容からそれはただのやきもちだろう。
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今更対抗しようだなんて…。
アンリエッタ様はこのクオンテオ家にいる間は良き妻として行動すると仰っていたが、閨に関しては初夜だけのはずだった。あの男はメイドのエリナと恋仲だと安心していたが、やはり油断ならない。
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ただ顔繋ぎでたくさんの高位貴族の奥方様に気に入られたせいで夜会やお茶会などの招待が多く街に降りて離婚後の拠点を作る事も生活基盤を確立させる事もなかなか進まんでいないのが現状だ。
残り2ヶ月。早く安心して暮らせる拠点を探さねば。
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