【完結】これじゃあ、どちらが悪役かわかりません!

里音

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番外編 ざまぁ

リュエル視点

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わたくしはリュエル・ピンク。ピンク侯爵の娘。で、この国の王子であるシリル様の婚約者(候補)。
この国の王子であるシリル様は2ヶ月後に10歳の誕生日を迎える。その前に王家で開かれるお茶会でシリル様と会うことになっている。

お父様が言うにはシリル様の婚約者として私がほぼ決まっているが周りの貴族への影響を考えてそのお茶会で顔を合わせてから婚約者決定、発表となるらしい。

わたくし10歳だからそんな事よくわからない。うちは侯爵家なのだから他の貴族より偉いのに、内々で決めるとあちこちから批判が来るらしいのですって。大人って難しいのね。
まあ、シリル様は王子様だし、美形だし結婚相手として不満はない。

だって結婚したら王子妃、いいえ第一王子だから王太子妃から王妃になるの。そしたらこの国1番の女性よ。
で、浮かれていたのがダメだったのかしら?1週間後流行病にかかってしまった。

病自体はお金のある侯爵家ですもの。すぐにお薬が用意されて治ってしまったのだけど、後遺症っていうの?顔や体に発疹ができてしまった。
こんな姿を見られたくなくて隣国へ療養しに行くことにしたの。

「シリル様の婚約者になれば王子妃の教育で忙しくなるからその前の休養を兼ねて顔見せのお茶会までゆっくりしなさい。それまでには発疹も消えるでしょうからね。」

と言われたのよ。あの教育モンスターのお母様から。それはもうゆっくりするしかないでしょう。

で、シリル様との顔合わせのお茶会も「発疹がまだ治らない」と嘘をついて帰国しなかった。

だって婚約者に決まっているのに、顔合わせのためだけに帰るなんて馬鹿みたいじゃない。

隣国ここは厳しい勉強もしなくて良いし、周りにチヤホヤしてくれる美男子もいるのよ。ここでしばらく過ごして結婚前に帰れば良いんじゃない?
そう思っていた。


なのに、わたくしがお茶会に参加しなかったからってシリル様の婚約者がどこかの伯爵令嬢になっただなんて。おかしすぎるわ。

まあ、今はもう少しこの国で遊んで、帰国したら婚約者の交代をすればいいでしょう。元々わたくしが婚約者(候補)だったのだから…。


隣国では伯爵子息のスチュアートやマジャール、子爵子息ソラルト、男爵子息オシャイドと恋人関係になり楽しい毎日を送っていたのに。

えっ、恋人が4人?だってモテ過ぎて1人に絞れなかったのよ。仕方ないじゃない。彼らは皆わたくしが自分だけの恋人だって疑わなかったわ。

15歳になり学園入学の為に帰国したの。彼らとは泣く泣く別れたわ。
で、学園に入学してシリル様と顔を合わせたの。シリル様は過去の恋人達に負けず劣らず美形だった。

隣国の話をして距離を縮めていたが、彼は今一歩踏み込んでこない。婚約者がいるからと。

おかしいわ。貴方の婚約者は元々わたくしのはずよ。その為に恋人 スチュアート 達と分かれて帰国したのよ。
わたくしが帰国したのだから間に合わせの婚約者とは別れるべきよ。


まずはシリル様の婚約者へ忠告を始める。
勿論、私はそんな煩わしいことには関わらないの。そのために取り巻きがいるのだから。取り巻きにオリビアから婚約破棄するように仕向けるように指示した。だが、彼女オリビアは何も言わず進展がない。

仕方ないわ。取り巻きにキツく言うと今度は少し大胆な行動に出ることにしたらしい。それでもダメ。
悩んでいると取り巻きの1人が彼女からいじめを受けているとシリル様に泣きつくのはどうか?と提案してきた。そうね。シリル様から婚約破棄してもらえば良いのね。

早速オリビアにいじめられてるように細工することにした。いじめで怪我をしているように包帯を巻く事にした。
シリル様に包帯について聞かれた時に震えながらこう言った。

「わたくしの事をよく思ってない方がいるようですの。1人の時を狙って背後から押されますの。独り歩きが怖いわ。」

「では、学園にいる間は出来るだけ俺が側にいてあげるよ。」

それから学園内ではシリル様は行動を共にしてくれた。
だが、なかなか婚約破棄には至らない。

そして好機が訪れた。ある日、移動教室でシリル様と移動していると、視線の端にオリビアが見えた。チャンス!
怯えたようにシリル様にしがみついた。「どうした?」と尋ねるシリル様に

「う、ううん。なんでもない。」

そう言いつつ視線をオリビアに向ける。そしてシリル様がわたくしの視線の先にオリビアを認識したと同時にシリル様の影に隠れた。
これでシリル様に疑惑を持たすことができた。シリル様の再度の問いかけに

「あ、あの。背後から押された時たまたま近くにいたのを見かけただけなの…。彼女がしたのかどうかわからないの。他にも人はいましたし…。

オリビア様はシリル様とクラスも離れていますし、いつもシリル様と一緒にいるわたくしに良い感情を持ってないのもわかりますわ。オリビア様は伯爵令嬢とはいえ王子であるシリル様の婚約者ですもの。いじめられても仕方ありませんわ。」

そこまで言うとシリル様は少し考えていらっしゃる。もうひと息かしら?

「本来ならシリル様の婚約者はわたくしになるはずだったとお聞きしましたわ。わたくしがいなくて困り急遽婚約者はオリビア様になったと。

オリビア様は婚約者なのに同じ学園にいるにも関わらず会いにも来ないなんてシリル様の事を好いておられないのですね。王子妃になりたいだけなのかしら?

わたくしはシリル様をお慕いしております。
婚約を本来の形に戻されたらよろしいのではないかしら?」

シリル様の反応は良かった。口には出されないが表情から婚約者に疑いの目が向けられている。これで婚約者との仲は悪くなるわね。うふふ。

学園内ではシリル様はわたくしの側から離れないでいてくださる。そうするとお忙しいシリル様は婚約者との時間も取れない。気持ちが離れるのも時間の問題だと思っていたのになかなか婚約解消には至らないようだ。

そんな時にオリビアと階段ですれ違った。わたくし自らが忠告したのに蔑ろにされて咄嗟に階段から突き落とした。

翌日、オリビアから苦情も何も言ってこない。まあ、当たり前よね。私は侯爵家であの娘は伯爵家なんだもの。言える訳がないわ。言われてもわたくしとあの娘だけしかいなかったのだから揉み潰せるわなんとでもなるわ

それでも婚約破棄は行われない。それならと自分が突き落とされたと大袈裟に手足に包帯をして学園に行った。シリル様に聞かれて相手はオリビアに似た人と仄かした。シリル様は怒りグレイテス伯爵家に乗り込んだ。

これで婚約破棄は決定ね。しばらくはこの包帯姿でいなければいけないのが大変だけど。うまくいってよかったわ。

数日後、父から「グレイテス伯爵家からシリル殿下に婚約解消を申し出てこられた。水面下では殿下の次の婚約者の選定に入っている。その中にお前も入っている。」と聞かされた。

なぜ?以前は婚約者はわたくしに決まっていたのだからわたくしでいいはずよ。そう父に言えば協議は形ばかりで多分そうなるだろう。と言ってくれた。
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