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シリル視点2
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あれからもオリビアは体調不良だとかで学園に来ていない。長期休学届けが出ている。
その後グレイテス伯爵家から婚約を解消したいと言われたが、オリビアとの婚約は今は保留になっている。
この婚約は王家からの打診で決まったのであり、今更臣下のグレイテス伯爵から解消を申し出られてもそう易々と受け入れるのは王家としての威厳を潰される、オリビアには妃教育など様々な事を強要してきた、そしてその教育に関する費用等の件で揉めているのが理由だ。
父である国王から婚約解消について意見を聞かれた。
この婚約は王家からの打診であったこと。それは政略結婚の意味合いが深い。だけど、婚約から交流を持ち微かな恋心さえあったのだ。自惚れでなければお互いに。
それでも彼女の行動に腹を立て、彼女に会いに行くまでの自分は解消する気だった。だが、オリビアから信頼していないとはっきりと言われて腹が立っているが、あの時の言葉とあの何もかも諦め俺を拒絶した様な顔が気になり解消したいと言えなかった。
毎日悶々としながら学園に通う。オリビアはあれからも学園を休んでいるが、リュエルは相変わらず側にいる。階段から落ちた時の怪我は見た目より軽かったのか痕も残らずすっかり良くなったようだ。
あれ以降オリビアと婚約破棄して自分と新たに婚約を結ばないかとグイグイ迫ってくる。
友人として接していた時は良かったが、こんなにグイグイと来られると辟易してしまい、少し距離を置くことにした。
するとまた、いじめにあっていると言ってきた。
侯爵令嬢のリュエルがこんなに頻繁にいじめに合うなんておかしいと思い始めた。それでいじめの首謀者に心当たりはないかと聞けば、オリビアだと平然と言う。オリビアはあれからずっと学園を休んでいるというのに。
無実だと言っていたオリビアの言葉は正しかったのか。
「リュエル嬢。相手は見たのかい?」
確かめたくてそう問う。するとリュエルは平然と答えた。
「はっきりと見ました。オリビア様でしたわ。」
リュエルが嘘を言っていたんだ。いじめていないと言うオリビアの言葉は本当だったのだ。
「リュエル嬢。オリビアはここのところずっと学園を休んでいる。本当に見たのかい?」
不安そうに目をキョロキョロさせながら
「オリビア様だと思ったのだけれど……きっと学園を休んでいないことにして隠れて学園に来ていていじめをしてるのよ。そうすればオリビア様も言い逃れできますもの。」
ああ、俺は騙されていたんだ。
気分が悪くなりリュエル達から離れ教室を出た。
教室の扉を閉め廊下に出たがどうするべきか悩みその場から動く事は出来なかった。
するとリュエルの甲高い声が聞こえてきた。
「オリビアが学園を休んでいるのは本当なの?どうしてわたくしにそれを伝えないの?シリル様に疑いを持たれてしまったじゃない。仕方ないわオリビアに似た生徒を探し出して来なさい。それと、次からはオリビアに唆された友人がいじめをしているという噂を流すのよ。
あれだけしてやっと婚約辞退に動き出したのよ。本当に伯爵家ともなると鈍感なんだから。」
あれだけしても……それは一体なんのことなんだ。そう思って聞いていると
「ですがリュエル様。オリビア様を階段から突き落としたのはやりすぎだったのでは?密かに調べさせたところ、かなりの怪我をしたと聞いております。」
「うふふっ。そうね。流石にちょっとやりすぎたかしら?でも怖がって学園に来てないのでしょう。このまま引きこもりになればシリル様の婚約者に相応しくないと婚約は解消されるでしょう?どちらにしても私が次の婚約者よ。」
そんな声と共に高笑いが聞こえた。
背後から頭を殴られたようだ。全てリュエルに騙されていたのか?
足音を立てずにその場を去り、信頼のおける者に今回のいじめの事を調べさせた。
それによるとリュエルはいじめにあっておらず、逆にオリビアがリュエル達にいじめられていた。
いじめられていた事をオリビアは吹聴することもなく、黙って耐えていたようだ。
その頃の俺は変な正義感でいじめられている婚約者ではなく本当のいじめの首謀者であるリュエルを側に置いて守っているつもりだったのだ。そんな俺に言えるわけない。
そして俺に問い詰められて無実を訴えたが信じてもらえなかった。
1番信用して欲しい相手に疑われているのだから、婚約を解消しようとするのもわかる。
オリビアを追い詰めたのはリュエルだけではない。俺もだ。情けない。婚約者として俺こそが彼女を守らなければならないのに。まず誰よりも彼女の言い分を信じなければならなかったのに。
今更謝ったところで許してもらえないかもしれない。
せめてリュエルの仕打ちを明らかにして彼女の名誉を回復させて、何の憂いもなく学園に通ってもらいたい。
それから自分でもオリビアの周りを調査した。
結論はオリビアはいじめにあっていたとオリビアの友人が詳しく教えてくれた。
最初はリュエルとその取り巻きに呼び出されて悪口を言われ婚約を解消するように迫られていたそうだ。その後は彼女の物を隠したり、壊したりしていた。これは教師陣にも確認している。
それでも首を縦に振らない彼女に対してわざとぶつかったり、足を引っ掛けたり、背後から押したりと行動がエスカレートしたそうだ。
時には手に飲み物を持って故意にぶつかり飲み物をかけたりもしていたそうだ。
友人の話によるとオリビアはいじめの相手が自分より身分の高い令嬢とその取り巻きなので泣き寝入りしかなかったそうだ。
しかも友人たちに口外しないように口止めしていたのだ。
友人たちがなぜかと問えば、相手は侯爵令嬢そして本来なら婚約者になるはずだったのだ。オリビアが王子の婚約者として相応しくない。そう考えるリュエルの気持ちもわかる。こんなことで彼女の気が済むのなら……そっとしておいて欲しい。そう言っていたのだ。
だが、そのままにしておけない。オリビアは階段から突き落とされたのだ。運が悪ければ死んでいたかもしれない大怪我をしていたのだ。
もちろんオリビアからは何も言わない。学園には体調不良で長期休養として休学届けを出している。
グレイテス伯爵邸の使用人に何度も尋ね、やっとオリビアが全身の打撲と擦り傷、右手首と右足の骨折と聞いた。
その後グレイテス伯爵家から婚約を解消したいと言われたが、オリビアとの婚約は今は保留になっている。
この婚約は王家からの打診で決まったのであり、今更臣下のグレイテス伯爵から解消を申し出られてもそう易々と受け入れるのは王家としての威厳を潰される、オリビアには妃教育など様々な事を強要してきた、そしてその教育に関する費用等の件で揉めているのが理由だ。
父である国王から婚約解消について意見を聞かれた。
この婚約は王家からの打診であったこと。それは政略結婚の意味合いが深い。だけど、婚約から交流を持ち微かな恋心さえあったのだ。自惚れでなければお互いに。
それでも彼女の行動に腹を立て、彼女に会いに行くまでの自分は解消する気だった。だが、オリビアから信頼していないとはっきりと言われて腹が立っているが、あの時の言葉とあの何もかも諦め俺を拒絶した様な顔が気になり解消したいと言えなかった。
毎日悶々としながら学園に通う。オリビアはあれからも学園を休んでいるが、リュエルは相変わらず側にいる。階段から落ちた時の怪我は見た目より軽かったのか痕も残らずすっかり良くなったようだ。
あれ以降オリビアと婚約破棄して自分と新たに婚約を結ばないかとグイグイ迫ってくる。
友人として接していた時は良かったが、こんなにグイグイと来られると辟易してしまい、少し距離を置くことにした。
するとまた、いじめにあっていると言ってきた。
侯爵令嬢のリュエルがこんなに頻繁にいじめに合うなんておかしいと思い始めた。それでいじめの首謀者に心当たりはないかと聞けば、オリビアだと平然と言う。オリビアはあれからずっと学園を休んでいるというのに。
無実だと言っていたオリビアの言葉は正しかったのか。
「リュエル嬢。相手は見たのかい?」
確かめたくてそう問う。するとリュエルは平然と答えた。
「はっきりと見ました。オリビア様でしたわ。」
リュエルが嘘を言っていたんだ。いじめていないと言うオリビアの言葉は本当だったのだ。
「リュエル嬢。オリビアはここのところずっと学園を休んでいる。本当に見たのかい?」
不安そうに目をキョロキョロさせながら
「オリビア様だと思ったのだけれど……きっと学園を休んでいないことにして隠れて学園に来ていていじめをしてるのよ。そうすればオリビア様も言い逃れできますもの。」
ああ、俺は騙されていたんだ。
気分が悪くなりリュエル達から離れ教室を出た。
教室の扉を閉め廊下に出たがどうするべきか悩みその場から動く事は出来なかった。
するとリュエルの甲高い声が聞こえてきた。
「オリビアが学園を休んでいるのは本当なの?どうしてわたくしにそれを伝えないの?シリル様に疑いを持たれてしまったじゃない。仕方ないわオリビアに似た生徒を探し出して来なさい。それと、次からはオリビアに唆された友人がいじめをしているという噂を流すのよ。
あれだけしてやっと婚約辞退に動き出したのよ。本当に伯爵家ともなると鈍感なんだから。」
あれだけしても……それは一体なんのことなんだ。そう思って聞いていると
「ですがリュエル様。オリビア様を階段から突き落としたのはやりすぎだったのでは?密かに調べさせたところ、かなりの怪我をしたと聞いております。」
「うふふっ。そうね。流石にちょっとやりすぎたかしら?でも怖がって学園に来てないのでしょう。このまま引きこもりになればシリル様の婚約者に相応しくないと婚約は解消されるでしょう?どちらにしても私が次の婚約者よ。」
そんな声と共に高笑いが聞こえた。
背後から頭を殴られたようだ。全てリュエルに騙されていたのか?
足音を立てずにその場を去り、信頼のおける者に今回のいじめの事を調べさせた。
それによるとリュエルはいじめにあっておらず、逆にオリビアがリュエル達にいじめられていた。
いじめられていた事をオリビアは吹聴することもなく、黙って耐えていたようだ。
その頃の俺は変な正義感でいじめられている婚約者ではなく本当のいじめの首謀者であるリュエルを側に置いて守っているつもりだったのだ。そんな俺に言えるわけない。
そして俺に問い詰められて無実を訴えたが信じてもらえなかった。
1番信用して欲しい相手に疑われているのだから、婚約を解消しようとするのもわかる。
オリビアを追い詰めたのはリュエルだけではない。俺もだ。情けない。婚約者として俺こそが彼女を守らなければならないのに。まず誰よりも彼女の言い分を信じなければならなかったのに。
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せめてリュエルの仕打ちを明らかにして彼女の名誉を回復させて、何の憂いもなく学園に通ってもらいたい。
それから自分でもオリビアの周りを調査した。
結論はオリビアはいじめにあっていたとオリビアの友人が詳しく教えてくれた。
最初はリュエルとその取り巻きに呼び出されて悪口を言われ婚約を解消するように迫られていたそうだ。その後は彼女の物を隠したり、壊したりしていた。これは教師陣にも確認している。
それでも首を縦に振らない彼女に対してわざとぶつかったり、足を引っ掛けたり、背後から押したりと行動がエスカレートしたそうだ。
時には手に飲み物を持って故意にぶつかり飲み物をかけたりもしていたそうだ。
友人の話によるとオリビアはいじめの相手が自分より身分の高い令嬢とその取り巻きなので泣き寝入りしかなかったそうだ。
しかも友人たちに口外しないように口止めしていたのだ。
友人たちがなぜかと問えば、相手は侯爵令嬢そして本来なら婚約者になるはずだったのだ。オリビアが王子の婚約者として相応しくない。そう考えるリュエルの気持ちもわかる。こんなことで彼女の気が済むのなら……そっとしておいて欲しい。そう言っていたのだ。
だが、そのままにしておけない。オリビアは階段から突き落とされたのだ。運が悪ければ死んでいたかもしれない大怪我をしていたのだ。
もちろんオリビアからは何も言わない。学園には体調不良で長期休養として休学届けを出している。
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