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12 ざまぁはありません。でもこれはどうなの

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考え事をすると自分の世界に入り込んで周りがわからなくなってしまう。それは自覚している。そしてその事を義兄も知っている。
なのに、考え中の私にそんな大事な問いかけをして聞いていないのをわかっていたはずなのにそのまま流していただなんて…。
卑怯だ。非難の眼差しでシュナイザーを睨みつけるも一向に気にしない。どころか何を勘違いしているのか、嬉しそうにしている。ドMか?

シュナイザーがデロデロの表情をキリッと真面目な表情に変えると周りに向かって話出した。

「皆様にご報告します。本日私の妻にフローリアです。式は後日となります。」

えっ、なりましたって。過去形?いつ結婚したの?


今日、このパーティーに出席する用意で最強エステ侍女集団がバタバタしているときに父から「昨晩話していたシュナイザーをジュトール家の正式な跡取りにする為の書類にサインを…」と言われて書類の中身を確かめずに何枚かサインしたわ。
もしかしてその中に婚姻の書類があったの?私は父にも騙されたの?

いや、今はそんなことより、乙女ゲームの展開はどうなったの?

周りを確認しようとシュナイザーに抱き込まれているがなんとか身体をずらして周囲を見る。

「おめでとう。」

バルト、ガブリエル、エリオット、ルルシュが側にいて皆笑顔で祝福の言葉をかけてくれる。

「婚約をすっ飛ばして婚姻かい?」

バルトのもっともな質問にシュナイザーが答えた。

「公にはしていなかったが、私がジュトール家にきた時に婚約をしていたのだよ。」

えっ、初耳ですが。ゲームの公にされていない婚約者って私だったの?シュナイザーの甘やかしはシスコンではなく婚約者に対しての行動だったの?

「やっとこれで名実ともにジュトール伯爵家の跡取りだな。」

エリオットが知ってました。とでもいうように言う。

「ああ。だが、私がジュトール家に引き取られた時から跡取りは決まっていたのだ。大人になったフローリアが誰か別の男性に心惹かれてそいつと結婚するとなってもね。そんなことは絶対させないつもりだったがね。」

そう言うシュナイザーの笑顔は真っ黒だった。きっと私の出会いをことごとく潰していたのだろう。

「フローリアは学園を辞めちゃうの?」

少し寂しそうなルルシュの声がした。
そうだ、婚約ならまだしも結婚したとなれば学園はどうなるのだろう。

「ルルシュ嬢には悪いがフローリアには学園を辞めてもらうよ。フローリアは魅力的だから1人にさせられないからね。
それに伯爵夫人の大事な仕事は跡取りをもうけることだからすぐに学園に来れなくなってしまうだろう?」

ニヤリと笑いながら言うシュナイザーの言葉に真っ赤になってしまった。
何を指して言うのかがわかり周りも顔を赤らめている。
いつの間にか近づいてきていた父は嬉しいような悲しいような複雑な表情をしていた。
それもそうだろう。娘が目の前の男、義理の息子に抱かれるのだ。複雑だろう。
父のそんな表情に気がついたシュナイザーが

「義父上、そんな顔しなくてもフローリアを泣かせるような真似はしません。これ以上ないくらい可愛がり幸せにしますよ。
そしてすぐにフローリア似の可愛い娘を抱かせて差し上げますよ。フローリアの産んだ可愛い孫に囲まれた生活はきっと楽しいでしょうね。」

あ、父が陥落した。既に孫に意識を飛ばしているのか顔がにやけている。
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