【完結】乙女ゲームのモブの私は気ままに過ごします。

里音

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1 これって乙女ゲームの世界です。…よね?

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私の名前はフローリア・ジュトール。デオドルド・ジュトール伯爵の一人娘。現在、7歳。
今、目の前にいるのは父と美少年。


「フローリア、今日からお前の兄になるシュナイザーだ。歳はお前の1歳上の8歳。
知っての通り、この国では女のお前ではこの家を継ぐことはできない。この家はシュナイザーに継いでもらう。だが、生活は今まで通りだ。」

あれ?なんだかこのやり取り知ってる。そう思った時、頭の中にある事が浮かんできた。
乙女ゲームだ。この世界にはゲームなどなく、小説はあるが私はまだ恋愛小説なんて読んでいない。
だからそれは前世の話なのだろう。そのゲームに出てきていたのは、さっき紹介された義兄のシュナイザー、私の幼馴染のガブリエル。後はまだ私の周りにいないけど、これってそうだよね。うーん。たまたま似た世界なのかもしれないけど。

そうしてぼんやりしているうちに挨拶が終わり2人は目の前からいなくなっていた。

思い出したゲームではヒロインが義兄シュナイザー幼馴染ガブリエルや他の男性とキャッキャ、ウハハな恋愛模様。最終的に誰かと一緒になるのだが、あんまりよく覚えていない。
だって途中でゲーム機が壊れてしまい進めることができなくなってしまったのだから。安かったから手を出した初めての乙女ゲームだったが自分の思う選択肢が出てこなくて興味が薄れたときに壊れたものだからゲーム機を修理したり新しく買い直す気にもならなかった。
その乙女ゲームは悪役令嬢はいなかったが、ヒロインにとって立ちはだかる令嬢は複数いたはず。

で、私は義兄がジュトール伯爵家に入る回想で少し出てくるモブだった。
それなら、このまま穏やかに暮らしていきたい。
そのためには他のネット小説にあったようなフラグを折ったり、ストーリーを覗こうと積極的にかかわったりはしない。そう決意した。

そして特に意識せず、今まで通りの生活を送る。
もちろん、新しく義兄が増えたのだからなにもかも今まで通りではないが、特に大きく物語を変えようと動くことはしない。そう決意した。



シュナイザーはこれまで街で母と2人暮らしだったそうで引き取られてから毎日朝から晩まで今までしていなかったマナーや勉強に追われていた。
そうして慣れない生活や勉強、鍛錬で嫌気がさしていた。でも、ここを追い出されたらたちまち行くところがなくなってしまう。それがかなりのストレスとなりシュナイザーに襲いかかっていた。

「お義兄様。私の遊びに付き合ってください。」

フローリアはシュナイザーにあまり関わりすぎないようにしていたが、シュナイザーが無理をしているようのが見ていられなくて息抜きにとわがままを言って幼馴染のガブリエルと遊んでるところに無理矢理連れ出した。

最初は嫌々付き合ってくれていたが、ガブリエルと遊ぶうちに意気投合して仲良くなったようで徐々に2人で遊ぶようになり私は置いてけぼりをくらうようになった。
確かに男2人の荒っぽい遊びとかについていくのは嫌だし、無理だけど、これはちょっと不満だ。
だって、ガブリエルは私の遊び相手だったのよ。横取り感満載だわ。

そのかわり、近隣の少女を招いてのお茶会を開いてもらって女の子のお友達を作ることにした。
そこで仲良くなったのが、ルルシュ・マガマイアだ。
ルルシュは同じ伯爵家の娘。ルルシュにはエリオットという兄がいる。兄妹仲はとても良く、ルルシュがお茶会に参加する時はエリオットが送ってくる。
お茶会は基本女性の場なので、お茶会の間は男同士エリオットは同い年のシュナイザーと2人で、時間があえばガブリエルも交じえて3人で遊んでいるらしい。


幼馴染のガブリエルは次男なため、家を継ぐ事はできない。騎士になるか貴族令嬢の婿養子として婚家に入るかしか貴族として生きていく道はない。騎士になっても手柄をたてて授爵されないと、騎士伯と1代限りの爵位だ。
武道と剣技を習いに行くことに決めたのは9歳の時だった。

それまで毎日のように遊んでいたが武道を習い始めるのでこれからは今までのようには遊べない事を伝えられた。

「ガブリエル、剣技を習うの?まだ9歳なのに凄いのね。
一緒に遊べなくなるのが寂しいけど応援するわ。がんばってね。」

その後シュナイザーも同じように剣技を習い始めた。シュナイザーはジュトール伯爵家の後継なので騎士になることはないだろうに。不思議に思った。

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