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第0話:女神からの依頼《クエスト》?
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――ガキィン!…チャキッ
剣を弾き飛ばされ、狼狽える巨漢の喉元に剣先を突きつける。
「ま、参った……」
K.O.の文字が会場の巨大なスクリーンに表示され、闘技場は歓声の波に包まれた。
「勝者!不敗の勇者、フィスゥゥゥウウウウウ!!!!」
俺は勇者、『アメイジスト・テイル・オンライン』唯一の、歴戦不敗の勇者だ。
============
「やっぱりフィスはすごいぜ!」
「これで5年連続チャンピオンだな!!」
「なに、分かりきってたことだろ?」
「ああ!その通りだな!!」
ギルドのメンバーに称賛されながら控室を出ると、見たことのない格好をした老人がこちらを向いて立っていた。
「新しいNPCか?」
『ああ、フィスさま、少しお話が...』
……俺?
その老人は焦点の定まらないうつろな目で俺に話しかけてきた。
「ちょっと不気味だな……」
『フィスさま、あなたの力を見込んで……お願いが……』
俺に頼み?NPCがプレイヤーを指名して話しかけるなんて聞いたことないぞ。
「これ5周年のアップデートで追加された大会優勝者向けのイベントじゃないか?」
「初耳だな、そんなのがあるのか?」
「ああ、確かアップデート情報にそんなことが書いてあったぞ。」
老人は俺に向かって手招きしている。
「折角大会で優勝したんだし行ってこいよ!」
うーん、少し不気味だが折角のイベントだし行ってくるか。
「じゃあ折角だしイベント行ってくるわ。」
「おう!何かあったら呼んでくれよな!」
俺が老人に近づくと、老人は廊下の奥に向かって歩き始めた。
俺は周りの奴らを置いて、その老人の後をついていった。
============
廊下を抜けると、普段は立ち入り禁止になっている闘技場の裏に出た。恐らくイベントだから入ることができたのだろう。
「裏はこうなってるのか……」
普段は見ることのできない光景に感心していると老人が俺の名前を呼んだ。
『フィスさま……』
「そうかイベントの最中だったな。ごほん、なんだ?」
『……あなたの力を見込んで……お願いがあるのです。』
「なんだ?」
『世界を、私の元居た世界を救ってください。』
やっぱり優勝者に向けてのイベントみたいだな。
今後のイベントで『アメイジスト・テイル・オンライン』の世界が危機に晒されるような事件がおきるんだろうか?
「あー……そうだな、俺は世界を救うために何をすればいいんだ?」
『私と一緒に来てください……異世界、私が元居た世界へ……』
異世界……って、このNPCはここの住民じゃないのか?また新しいマップでも追加されるんだろうか。
『私は今異世界から……この老人の身体に乗り移り……この世界に来ています……勇者になる者を求めて……』
後でギルドメンバーに情報をリークできるように色々聞いておくか。
「お前は誰で、どこの世界から来たんだ?」
『私は……ここから遥かに離れた次元に位置する異世界を護る女神です……しかし今、私の居る世界は窮地に立たされています……』
なるほど、新たなマップとしてその世界が追加される訳か。
『私の居た世界を……救っては頂けないでしょうか……この世界で最も強い……あなたさまの力で……』
ピコン。と音が鳴り、目の前にウィンドウが表示された。
ーーークエスト【女神からの依頼】ーーー
内容
????
報酬
????
クエストを受託しますか? Yes/No
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
内容も報酬も不明か……まあでも、タイミングを逃して二度と受けられなかったら困るし、とりあえず受けておくか。
「ああ、俺でよければ力を貸そう。お前の言う世界を救ってみせる。」
クエストウィンドウのYesに俺の指が触れた瞬間、視界の中央から光が広がり、目の前の老人の姿が光のなかで、美しい翼を持つ純白の衣を着た女性へと変わった。
『あなたの活躍に期待していますよ……どうか、世界をお救いください……不敗の勇者、フィス……』
眩い輝きに包まれた俺は、女神の声と共に気を失った...
剣を弾き飛ばされ、狼狽える巨漢の喉元に剣先を突きつける。
「ま、参った……」
K.O.の文字が会場の巨大なスクリーンに表示され、闘技場は歓声の波に包まれた。
「勝者!不敗の勇者、フィスゥゥゥウウウウウ!!!!」
俺は勇者、『アメイジスト・テイル・オンライン』唯一の、歴戦不敗の勇者だ。
============
「やっぱりフィスはすごいぜ!」
「これで5年連続チャンピオンだな!!」
「なに、分かりきってたことだろ?」
「ああ!その通りだな!!」
ギルドのメンバーに称賛されながら控室を出ると、見たことのない格好をした老人がこちらを向いて立っていた。
「新しいNPCか?」
『ああ、フィスさま、少しお話が...』
……俺?
その老人は焦点の定まらないうつろな目で俺に話しかけてきた。
「ちょっと不気味だな……」
『フィスさま、あなたの力を見込んで……お願いが……』
俺に頼み?NPCがプレイヤーを指名して話しかけるなんて聞いたことないぞ。
「これ5周年のアップデートで追加された大会優勝者向けのイベントじゃないか?」
「初耳だな、そんなのがあるのか?」
「ああ、確かアップデート情報にそんなことが書いてあったぞ。」
老人は俺に向かって手招きしている。
「折角大会で優勝したんだし行ってこいよ!」
うーん、少し不気味だが折角のイベントだし行ってくるか。
「じゃあ折角だしイベント行ってくるわ。」
「おう!何かあったら呼んでくれよな!」
俺が老人に近づくと、老人は廊下の奥に向かって歩き始めた。
俺は周りの奴らを置いて、その老人の後をついていった。
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廊下を抜けると、普段は立ち入り禁止になっている闘技場の裏に出た。恐らくイベントだから入ることができたのだろう。
「裏はこうなってるのか……」
普段は見ることのできない光景に感心していると老人が俺の名前を呼んだ。
『フィスさま……』
「そうかイベントの最中だったな。ごほん、なんだ?」
『……あなたの力を見込んで……お願いがあるのです。』
「なんだ?」
『世界を、私の元居た世界を救ってください。』
やっぱり優勝者に向けてのイベントみたいだな。
今後のイベントで『アメイジスト・テイル・オンライン』の世界が危機に晒されるような事件がおきるんだろうか?
「あー……そうだな、俺は世界を救うために何をすればいいんだ?」
『私と一緒に来てください……異世界、私が元居た世界へ……』
異世界……って、このNPCはここの住民じゃないのか?また新しいマップでも追加されるんだろうか。
『私は今異世界から……この老人の身体に乗り移り……この世界に来ています……勇者になる者を求めて……』
後でギルドメンバーに情報をリークできるように色々聞いておくか。
「お前は誰で、どこの世界から来たんだ?」
『私は……ここから遥かに離れた次元に位置する異世界を護る女神です……しかし今、私の居る世界は窮地に立たされています……』
なるほど、新たなマップとしてその世界が追加される訳か。
『私の居た世界を……救っては頂けないでしょうか……この世界で最も強い……あなたさまの力で……』
ピコン。と音が鳴り、目の前にウィンドウが表示された。
ーーークエスト【女神からの依頼】ーーー
内容
????
報酬
????
クエストを受託しますか? Yes/No
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
内容も報酬も不明か……まあでも、タイミングを逃して二度と受けられなかったら困るし、とりあえず受けておくか。
「ああ、俺でよければ力を貸そう。お前の言う世界を救ってみせる。」
クエストウィンドウのYesに俺の指が触れた瞬間、視界の中央から光が広がり、目の前の老人の姿が光のなかで、美しい翼を持つ純白の衣を着た女性へと変わった。
『あなたの活躍に期待していますよ……どうか、世界をお救いください……不敗の勇者、フィス……』
眩い輝きに包まれた俺は、女神の声と共に気を失った...
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