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1巻
1-3
しおりを挟む「すみません。とりあえず、後をつけまわしていた詫びを入れろってことですよね? だからお金を……」
「違います」
桑羽の言葉に彩はさらに眉根を寄せた。『マジで?』という思いを込めて。
彩のその顔を見た瞬間、目の前の桑羽がふっと微笑んだ。
「君は俺の想像の上をいく人ですね。自由奔放で、自分に正直で……。一緒にいて、本当に飽きない」
困ったように微笑むその顔にどきりとした。こんな大人の男性を捕まえてどうかと思うのだが、『可愛い』なんて感想が湧いてきてしまう。
彩が彼に見惚れたまま口を半開きにしていると、彼はさらに接近してくる。すると、一層強く色香が滲む。
「ますます欲しくなりました」
「……お、お金?」
「だから違いますよ。君自身が欲しいんです」
「へ? 私自身? はっ! それは、私を警察に突き出すっていう……」
「……かなりはっきり言わないと、君には伝わらないようですね」
呆れたような口調の後、彩の目の前に桑羽の顔が迫る。
「抱かせてください、と言っているんです」
「は? だく?」
「セックスさせてください」
「セッ……――!!」
さすがに意味が分かり、ひっくり返った声を出した後、彩は固まった。
そうして、みるみるうちに頬を熱くする。
「最初から心まで手に入れられるとは思っていませんよ? なので、まずは身体から俺に落ちてください」
そう言って、桑羽は彩の肩を押した。
すると、彩の身体はいとも簡単に白いシーツに沈む。
見上げる先には半裸の色男。
落ちてきた髪の毛が顔に影を落とし、それがとてつもなく色っぽい。
「もちろん、心もいずれ手に入れますけどね」
(レ、レ、レン様がこんな間近に! というか抱くって……って、もしかして、身体で落とし前付けろとか、そういうこと?)
貞操の危機にもかかわらず、彩の頭の中は混乱を通り越してお祭り騒ぎだった。
憧れのレン様の顔が至近距離にあること。そして突然、わが身に人生初の恋愛イベントが起きたこと。
知り合って間もない男性に押し倒されている状況だが、不思議と恐怖心はなかった。彼とは、容姿だけなら一方的に遠くから眺め続けてきた歴史がある。
それに、恋や、こういう行為に対するほのかな憧れもあった。年齢も年齢なので早いところ処女を卒業したいと思っていたくらいだ。
加えてなにより、目の前の彼の自分を見る目が優しいから……物騒な台詞や鋭い視線はちょっと怖いけれど、激しく抵抗する気持ちはなかった。
そう考えるとたまらなくて、彩は不思議な幸福感に包まれる。
(まるで、レン様に想いを寄せられている栞ちゃんみたい……!)
暴れまわる心臓が出てこないように、彩は口元に手をやる。
そんな彩を見下ろしながら、桑羽はふっと小さく笑った。
「なにも怖がることはないですよ。君は俺に身を任せてくれれば大丈夫ですから。君は俺の容姿が気に入っているのでしょう? 顔でもどこでも眺めていてください。大丈夫です。丁寧に、大事に抱きますから、君は感じているだけで……」
その言葉とともに桑羽の顔が彩の首筋に埋まる。
その瞬間、彩の身体が跳ねた。
「ひゃっ……」
「いい声ですね」
湿っぽく響いた低音に、彩はさらに顔を熱くした。
しかし同時に思考をフル回転させる。
(ちょ、ちょっと待って! なにこの美味しすぎる状況? 夢? 夢なのかな? ……っていうか、今日の下着どんなのだっけ? 上下揃ってた? 色は何色だった? というか、そもそもレン様にこんな貧相な身体を見せてもいいのか?)
口元から自身の胸に手のひらをスライドさせながら、彩は顔を強張らせた。お世辞にも大きいとは言いがたい胸である。
「あ、あの、ちょっとっ!」
彩は焦ってそう口にしながら、両手で思いっきり目の前の彼を押す。しかし、そんな抵抗になど構わず、桑羽は彩の両手をいとも簡単にシーツに縫い付けた。
そして、自分の肩にかかっているタオルを、器用に彼女の手首に巻き付け始める。
「今更抵抗しても遅いですよ」
「いやいや、これは抵抗ではなくてですね!!」
彼は彩の腕を括ったタオルを手際よくベッドヘッドの柱に結び付ける。そして、彩に跨った状態でニヤリと口の端を上げた。
「あまり抵抗すると痛くしますからね」
そう言うや否や、するすると桑羽の指先が彩のシャツの隙間に侵入してくる。片手で器用にボタンを外し、指先一つで彩のブラジャーを上にずらした。すると、小さな赤い突起が二つ飛び出してくる。
「あぁっ! ちょっ! で、電気消してください! あと、せめてお風呂に入りたい! お酒たくさん飲んだし! 汗かいてるし!!」
彩が叫ぶと、彼は目を細めて黒い笑みを浮かべた。
「ダメです」
「なっ!!」
「電気を消したら君のよがる姿が見えないですし、シャワーを浴びているフリをして逃げられたら困りますからね」
「まぁ、逃げたところでまた捕まえますけど」と笑う桑羽を見ながら、彩は両手を思いっきり引っ張った。しかし、タオルは外れるどころか彼女の手首をきつく締めつけるばかりだ。
「それに、貴女の香りが薄れてしまったらと思うと、もったいなくて……」
彼女の耳のうしろに顔を寄せながら桑羽は喉の奥で笑う。
その様子に彩は羞恥で瞳を潤ませた。
「――っ! へ、変態!!」
完全に自分を棚に上げた一言である。
しかし、桑羽はたいして気に留めていないようで、必死に身をよじる彩を見下ろしながら楽しそうだ。
「そうですね。なんだか、君のせいで新たな性癖に目覚めそうです。加虐心をそそられる、とでもいうのでしょうか」
彼はそう言いながら、恍惚とした表情を浮かべている。
仕事で最初に出会った時とは、もうほとんど別人だ。
彼は彩の赤い先端を指で弾いてきた。その刺激に彩の身体は跳ねる。
「ひゃっ!」
「感度がいいようですね。いいことです」
手のひらで円を描くように彩の小さな突起を弄び、そしてやわやわと胸を揉んでいく。
「んっんんっ」
ピリピリと走る電気のような刺激に、彩は目をつむって耐える。
すると、瞼に桑羽がキスを落としてきた。
「怖がることはないと言ったでしょう? 過去に君を抱いたどの男よりも気持ちよくしてあげますから、そんなに硬くならないでください」
「そんなの無理……っ」
どの男よりも、って前例がないのだから不可能だ。身体の感度の良し悪しだって、よく分からない。そう説明しようとしたけれど、言わせてもらえなかった。
彼はこれ以上、彩の話は聞きたくないとばかりに胸の突起への刺激を一際強くする。
「俺なしじゃ生きられない身体に作り変えるのが、当面の目標ですからね」
恐ろしいことを平気で言う男である。
会話している間にも桑羽の手は、やわやわと彩の身体を撫でる。
腰のあたりを触れるか触れないかの力で撫でられて、彩の身体は簡単に跳ねてしまう。
「でも、俺も別に君を無理やり抱きたいわけじゃないんです。それだと強姦になってしまうでしょう? そういう虚しい行為は最終手段にしか使いません」
背中に手をまわしながら桑羽はそうささやく。手首を拘束している時点で無理やりな行為だと思うのだが、彼の理屈では違うらしい。
「だから、今回はいちいち了承を取ることにします」
「了承?」
「えぇ、ダメと言われたらその行為はしませんから、安心してください」
安心させるようにそう言いながらも、もうその手は彩の乳首を摘まみ上げている。抓ったり、引っ掻いたりしながら彩に快感を植え付けていく。
「あ、あぁっ、や……」
「それでは、キスをしませんか? 互いの舌を吸い合って、唾液を絡ませるようなキスを」
先ほどまで胸を触っていた親指を、今度は彩の口腔に侵入させる。そうして無理やり口を開かせ、彩の小さな舌を優しく引っ張った。
「こんな感じです。舌同士でしたら、もっと気持ちいいですよ? どうですか? 気持ちいいこと、したいでしょう?」
その言葉に彩の下半身がぎゅっと収縮する。そうして気がつけば、彩はコクンと一つ頷いてしまっていた。
「いい子ですね」
「んっ、んんっ!!」
桑羽の綺麗な顔が間近に迫る。
唇が触れたと思ったら、いきなり舌が口腔内に侵入してきた。桑羽のぶ厚い舌は彩の小さな舌を丁寧に揉みしだいて、柔らかくしていく。
誘われるがままに桑羽の口腔に舌を入れると、途端に捕まり、宣言通りにじゅる、じゅる、といやらしい音を立てて舌を吸われてしまった。
「ん、んぁ、んっ」
舌の根が引っ張られて苦しいのに、それでも桑羽はやめてくれない。
何度舌を引っ張り戻そうとしても無理だった。
結局、舌の感覚が鈍くなるまで入念に味わわれてから、ようやく解放された。
「次はどうしましょうか?」
肩で息をする彩を桑羽はまるで捕食者のように見つめる。
唾液のついた唇を親指で拭いながら、彼はなにかを思いついた様子で口の端を上げた。
「それなら、次はここを舐めてもいいですか? 小さく尖ったこの可愛らしい実を口に含んで歯を立てても?」
桑羽が言っているのは、もちろん乳首のことだ。
彩は必死に理性を奮い立たせ、イヤイヤと首を横に振る。
「ここはダメですか? 残念です」
まったく残念そうではない声色で桑羽はそう言う。
そして、長い指で彩の赤い実の周りをくるくるとなぞりだした。
乳輪と肌の境目を撫でているような感じだ。
「やっ、ぁっ、あぁっ」
桑羽の与えるゾクゾクとした刺激に、彩の身体が跳ねる。
彩はだんだんコントロールができなくなっていく自分自身に動揺を隠せないでいた。
(な、なんで、こんな風になるの⁉ これじゃ、私がえっちな子みたい! 経験ゼロなのに!!)
身体は勝手に反応するし、本当はこんな恥ずかしい声だって出したくはない。
しかし、そんな思いとは裏腹に、身体はとても刺激に素直だった。
「やぁっ、んんっ……」
彼は先ほどまで捏ねていた乳首を今度はわざと触らないようにし、むずむずとしたもどかしさを彩に与えていく。
「きっと君も気に入ると思ったんですが、本当に残念ですね」
そして、彼は最後の仕上げとばかりに、ふぅっと息を彼女の胸に吹きかけた。
生暖かい湿った呼気が産毛を撫でて、全身が震える。
「ぁっ」
「おや、こんなに大きく立ち上がって。本当はもっと刺激が欲しいんでしょう? でも、あげませんよ。彩さんが嫌だと言ったんですから……」
響く低音と、いきなり名前を呼ばれたことに腰のあたりがぞくぞくする。
つんと上を向いた彼女の突起は、物欲しそうに桑羽を見上げていた。
(本当に触ってほしいみたい……。は、恥ずかしい……!!)
彩は自分の胸部から視線を逸らすと、ぎゅっと目を瞑った。
正直キャパが足りない。自分の身に起こっていることがなかなか受け止めきれない。
それでも彼の行為が嫌じゃないのは、どうしてだろうか……
「それでは次はここにしましょうか。彩さん、足を舐めても?」
「あ、あし?」
急に持ち上げた膝に唇を寄せて、桑羽はチュッとストッキング越しにキスをした。ぞわぞわとした熱が全身に広がっていく。
「大丈夫です。嫌ならやめますよ」
どうしますか? そう聞かれて、彩ははっと短く息を吐いた。
そして、小さく唇を噛んだ後、振り絞るように声を出した。
「く、桑羽さんの好きにしてください……」
「俺の好きにしていいんですか? それなら是非、君の足の隅々まで丁寧に舐めてキスを落としたいところですが……」
その言葉に彩は息を呑む。期待で震えそうになる足をおさえるだけで精一杯だ。
じわりじわりと追いつめてくる彼から視線を逸らした拍子に、生理的な涙がジワリと滲む。
「でも、俺は君の意見を尊重したいですからね。彩さんに決めてもらいたいんです」
つー、と桑羽の人差し指が彩の内腿を撫でる。
身体の中心に近いところまできて離れていくその指に、彩は切ない声を漏らした。
「あ……」
「あぁ、触ってほしかったんですか? それともここにキスされることを想像しましたか? 彩さん、教えてください。君はどうしてほしいんですか?」
言葉攻めにも程がある。
そう思う傍らで、耳に心地いい彼の声に身体を震わせている自分がいるのもまた事実なのだ。
彩は快楽に泣きそうになりながら懇願した。
「……舐めて……ください」
「どこを?」
「あ、し……っ!」
「合格です」
そしてその直後、桑羽は彩のストッキングをなんの躊躇いもなく破った。伝線どころの騒ぎではない大穴が内腿にあく。
「えぇっ!」
「大丈夫ですよ。ちゃんと弁償はします」
そんなことに驚いたわけではないのだが、桑羽は彩の反応を気にせずそこに舌を寄せた。
「ちょ、そこはっ!! 足じゃなくてっ! ひゃっ」
「なにを言っているんですか? 内腿は立派な足の一部ですよ?」
そう言いながら桑羽は秘所の手前に舌を這わせた。チロチロとくすぐられるように舐められたかと思ったら、今度はキスマークがつくほど強く吸われたりもする。
彩はそのたびに、あられもない声を上げるばかりだ。
太腿の内側から始まって、足を上げられ臀部に近いところにも舌が這う。
膝頭にはキスを落とされ、歯形が付くほど噛みつかれた。
その痛みも、どうしようもなく甘く感じられてしまう。
下半身がどうしようもなくキュンキュンして、自分でも分かるほどに潤ってくる。
「あぁ、もうこんなに湿らせて、そんなに気持ちよかったですか?」
彩の下着に息がかかるほど顔を近づけて、桑羽はうっとりとそう言う。
「み、見ないでくださいっ!」
「手を触れることには許可を取りますが、視姦は別です。従えませんよ?」
余裕のない彩に対し、余裕綽々の桑羽である。
「そんなに切ないなら、ここも触ってあげましょうか?」
やっぱり桑羽は容赦なくそう聞いてくる。
『君のせいで新たな性癖に目覚めそうです。加虐心をそそられる、とでもいうのでしょうか』
そんなことを言っていたが、彼は真性のサディストのような気がしてならない。
彩は荒い息を吐き、桑羽をじっと睨みつけた。
「答えないなら、このままですよ」
「はぅっ。うぅっ、い、息、吹きかけないでっ!」
「ほら、こんなに物欲しそうにひくついていますよ? 本当は触ってほしいんじゃないですか? 君が触ってほしいと言うならば、君の中の一番いいところを俺が丁寧にさすってあげますよ?」
「――っ!」
(レ、レン様と同じ顔で卑猥なこと言わないでー!!)
彩は色香を滲ませて笑う彼に、心の中でそう叫んだ。
漫画の中のレン様はヒロインのことを大切にして、触れるのを躊躇っていたところがあった。彼の女性に対する接し方は、まさにジェントルマン。
なのに、目の前の彼はどうだろうか。
レン様そのもの、という容姿を持ちながらその振る舞いは真逆と言っていい。エロ魔人だ。まさしく、ドSエロ魔人である。
(でも、そんなレン様も悪くないって思っちゃう自分が嫌だ!!)
馬鹿正直に反応してしまう身体がすべてを物語っているような気がする。
自分でも分かるぐらいに下半身が痙攣してどうしようもない。
とめどなく溢れてくる蜜が下着を濡らして、少し冷たいぐらいだ。
そのくせ身体の中心はどうしようもなく熱くなっている。
「も、げん、かい……」
甘ったるい声を出しながら彩は膝をすり合わせる。
その様子に、目の前の桑羽の表情が初めて変化した。
息を詰めて、彩の表情をじっと見つめる。
それから視線は彩の胸元を通り、下腹部にまで移動した。
「彩さん」
「お願い、も、ダメ。さわって、ください……」
まるで差しだすように膝を少しだけ開く。
こんなはしたないことをするのは初めてだし、自分でもどうかしているとは思うのだが、熱がくすぶったままというのは耐えられない。
そんな彩の痴態を見て、桑羽の喉仏が上下した。
「それでは、遠慮なく」
桑羽は躊躇うことなくショーツの上から彩の秘所を撫でる。
円を描くように撫でられると、思わず腰が浮いた。
「いやらしい身体ですね。なにを期待しているんですか?」
指の腹が彩の下着を何度も擦る。
電気が走ったような快感が押し寄せてきて、彩の下腹部からはさらに蜜が零れ落ちた。
「彩さんは酷くされるのが好きなんですか? こんなに濡らして、もうビショビショですよ」
「言わ、なくていい、ですっ!」
下着をずらして指が侵入してくる。その指は彼女の柔らかい肉を優しく引っ掻いた。
「うっ……ぁ……」
「こんなことで喜んでいてどうするんですか? まだ指の一本も入っていませんよ」
桑羽は指の腹で襞を執拗になぞる。
最初はクチュクチュと可愛らしい音だったのが、しまいにはグチュグチュといういやらしい音に変わっていく。
「もう頃合いですかね。彩さん、入れますよ」
「あ、あぁっ……」
彼は自身の指に蜜を絡めるようにした後、ゆっくりとナカへ進ませた。
「初めては痛い」というのは友達からも、漫画などの二次元の世界でもよく聞く話だ。彼の指は逞しく長いし、本番行為ではなくても痛みを伴うだろうと予想していた。しかし今、彩の秘所はすんなりと彼の指を受け入れている。それどころか、侵入を喜んでさえいた。
グプリ、と音を立てながら彩の割れ目に桑羽の指が沈む。
ごつごつと節くれ立った指が彩の内壁を押し広げていくのが感じ取れて、彩の目尻に生理的な涙が浮かぶ。
「はっ、はっ、はぁん」
「はっ、狭いですね。でもこんなに濡れているなら二本目もいけそうだ」
「や、あっあぁっ!」
まだ慣らしてもいないのに桑羽は二本目を差し入れてくる。
倍になった質量が彩の息を詰まらせ、身体を強張らせた。
「苦しいですか?」
その問いに、彩は必死で首肯した。
桑羽を受け入れているところが今までにないぐらい広がっていて、裂けてしまいそうだ。
そのくせ愛液は潤沢に染み出てくる。
桑羽はゆっくりと指を抜く。その様子を感じ取って彩が安堵の息を吐いた時、彼は勢いをつけてその指を彼女の中に押し戻した。
「ふくぅっ……!」
彩が息を詰めると、桑羽はその指で彼女の内壁を擦り出した。
「あ、あぁっ! やっ、動かさ……」
「動かさないとよくなりませんよ。ほら見てください。こんなに糸を引いています」
「やっ!」
割れ目から抜いた指を見せられて、彩はとっさに顔をそむけた。
あんなにてらてらとした粘り気のある液体が自分の中から溢れてきているなんて信じられない。
桑羽はもう一度中に指を埋めると、今度は激しく中を掻き混ぜ始めた。
粘り気のある水音が耳を犯す。
「ああ、あぁぁっ!」
「彩さん、気がついていますか? もう三本も指が入っているんですよ」
「やぁ、しらな、ぁぁあっ!」
手首を固定しているタオルを掴みながら、嫌だ嫌だと首を横に振る。桑羽は熱い息を吐きながら指を引き抜く。
そして、足を持ち上げ彼女の秘所に顔を寄せた。
「や、それはいやっ! だめぇっ!」
「でも、きっと気持ちいいですよ?」
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