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少年の疑問は至極当然のことだ。
「自己紹介が遅れてごめんね。僕はルイス。よろしく」
「ルイス?」
僕の名前を呼びながら、首を傾げる少年は可愛かった。
金髪に碧瞳。
顔の造形も完璧に整っていて、まるで絵画にでてくる天使のようだ。
「ルイスってだれだ」
「ん? いや、えっと僕がルイス」
「は? お前がルイス?」
「あ、うん。僕がルイス」
僕がそう言って頷くと、少年は顎に手を当てどこか考え込むような仕草をした。
「君、大丈夫?」
「ちょっと待て、いま考えてる」
少年の顔を覗き込もうとする僕を、止めるように出された少年のやや小さい手。
しばらくそのまま考え込んでいた少年は、まず自分の身体、次に僕、最後に僕の家の中をぐるりと見回した。
そして、またもその大きな目をもっと大きくして、はあ!? と大声を上げた。
「わっ! 今度はなにっ!」
驚いて再び尻もちをついた僕にかまいもせず、少年はベッドから降りるとぶかぶかの服を脱ぎ捨て全裸になった。
頭の位置が、僕の胸くらいの大きさだった。
「な、な、な……なんだこれ! なんだよこれっ。なんで小さくなってんだ! どうなってる!」
そう叫ぶとはっ、としたように僕を見て、
「お前はなんなんだ!」
と聞いていた。
僕はルイスだよ、と答えると少年は、そういうことじゃねぇと唸るように言いながら、頭を抱える。
酷く混乱しているような様子が可哀そうなので、彼のためにひとまずココアを作ってみた。
こういうときは温かい飲み物でも飲んで落ち着いたほうがいい。
ココア、嫌いじゃないといいけど。
「あの、ココアあるよ。飲む?」
床の上に膝を抱えるように座る少年に声をかけてみる。
裸なので非常に目のやり場に困る。
「…………」
少年はしばらく無言でココアから立ちのぼる湯気を見ていたが、少年を見る僕の視線に気づくと、わるい、と言ってカップを手に取った。
「飲む前に服着たほうがいいかも。風邪ひくよ。まだちょっと肌寒いし」
春になったばかりの気候で、裸は寒いだろう。
僕もなんか接しずらいし。
少年は僕の言葉に黙って頷くと、カップを近くの椅子に置き、いそいそと服を着始めた。
白いシャツと黒い革っぽい上着。
下も黒いズボンで統一されていた。
服にはところどころ刺繍がされており、僕の目が確かならかなり値がはるのではないかと思う。
服を着終わった少年はココアを置いていた椅子に座ると、ずずっと一口ココアを飲んだ。
「うまいな」
「そうかな。それはよかった」
少年の素直な感想に喜んでいると、彼はそのまま続けた。
「さっきは取りみだした。わるい。まさかこんなことになってるなんて思ってなかった。今でもしんじられねぇ。はぁ……、お前、たすけてくれたんだよな」
「うん、一応そのつもり。助けになったかは微妙だけど」
「いや、助かった。ありがとう」
頭を軽く下げてお礼を言われる。
胸のほうがほわほわと暖かくなるような不思議な感じがした。
「えっと、それで大丈夫なの? さっきはすごい混乱しているみたいだったけど」
僕の言葉に少年はもう一口ココアを飲むと、テーブルの上に置いた。
「全然だいじょうぶじゃねぇ。……、そうだ、ここはどこなんだ? まだ国内だとありがたいんだけどな」
「国内? ここはエスターサ王国の田舎町だよ。マーサ村っていう」
「エスターサ王国!?」
ガタンと少年は思わず、といった風に立ち上がった。
「うん、そうだけど」
「ま、まじかよ……。そんな遠くまで……。てか反対側じゃねぇか! しんじられねぇ、あのへぼやろう!」
絶望したと思ったら、突然怒り始める少年。
とりあえず事情を教えてもらわなくては協力もできないのだが。
「くそっ、……しかたねぇか」
そう言って顔を上げた彼は、その綺麗な碧瞳で僕の顔をじーっと見ると、頼みがあるとそう言った。
「自己紹介が遅れてごめんね。僕はルイス。よろしく」
「ルイス?」
僕の名前を呼びながら、首を傾げる少年は可愛かった。
金髪に碧瞳。
顔の造形も完璧に整っていて、まるで絵画にでてくる天使のようだ。
「ルイスってだれだ」
「ん? いや、えっと僕がルイス」
「は? お前がルイス?」
「あ、うん。僕がルイス」
僕がそう言って頷くと、少年は顎に手を当てどこか考え込むような仕草をした。
「君、大丈夫?」
「ちょっと待て、いま考えてる」
少年の顔を覗き込もうとする僕を、止めるように出された少年のやや小さい手。
しばらくそのまま考え込んでいた少年は、まず自分の身体、次に僕、最後に僕の家の中をぐるりと見回した。
そして、またもその大きな目をもっと大きくして、はあ!? と大声を上げた。
「わっ! 今度はなにっ!」
驚いて再び尻もちをついた僕にかまいもせず、少年はベッドから降りるとぶかぶかの服を脱ぎ捨て全裸になった。
頭の位置が、僕の胸くらいの大きさだった。
「な、な、な……なんだこれ! なんだよこれっ。なんで小さくなってんだ! どうなってる!」
そう叫ぶとはっ、としたように僕を見て、
「お前はなんなんだ!」
と聞いていた。
僕はルイスだよ、と答えると少年は、そういうことじゃねぇと唸るように言いながら、頭を抱える。
酷く混乱しているような様子が可哀そうなので、彼のためにひとまずココアを作ってみた。
こういうときは温かい飲み物でも飲んで落ち着いたほうがいい。
ココア、嫌いじゃないといいけど。
「あの、ココアあるよ。飲む?」
床の上に膝を抱えるように座る少年に声をかけてみる。
裸なので非常に目のやり場に困る。
「…………」
少年はしばらく無言でココアから立ちのぼる湯気を見ていたが、少年を見る僕の視線に気づくと、わるい、と言ってカップを手に取った。
「飲む前に服着たほうがいいかも。風邪ひくよ。まだちょっと肌寒いし」
春になったばかりの気候で、裸は寒いだろう。
僕もなんか接しずらいし。
少年は僕の言葉に黙って頷くと、カップを近くの椅子に置き、いそいそと服を着始めた。
白いシャツと黒い革っぽい上着。
下も黒いズボンで統一されていた。
服にはところどころ刺繍がされており、僕の目が確かならかなり値がはるのではないかと思う。
服を着終わった少年はココアを置いていた椅子に座ると、ずずっと一口ココアを飲んだ。
「うまいな」
「そうかな。それはよかった」
少年の素直な感想に喜んでいると、彼はそのまま続けた。
「さっきは取りみだした。わるい。まさかこんなことになってるなんて思ってなかった。今でもしんじられねぇ。はぁ……、お前、たすけてくれたんだよな」
「うん、一応そのつもり。助けになったかは微妙だけど」
「いや、助かった。ありがとう」
頭を軽く下げてお礼を言われる。
胸のほうがほわほわと暖かくなるような不思議な感じがした。
「えっと、それで大丈夫なの? さっきはすごい混乱しているみたいだったけど」
僕の言葉に少年はもう一口ココアを飲むと、テーブルの上に置いた。
「全然だいじょうぶじゃねぇ。……、そうだ、ここはどこなんだ? まだ国内だとありがたいんだけどな」
「国内? ここはエスターサ王国の田舎町だよ。マーサ村っていう」
「エスターサ王国!?」
ガタンと少年は思わず、といった風に立ち上がった。
「うん、そうだけど」
「ま、まじかよ……。そんな遠くまで……。てか反対側じゃねぇか! しんじられねぇ、あのへぼやろう!」
絶望したと思ったら、突然怒り始める少年。
とりあえず事情を教えてもらわなくては協力もできないのだが。
「くそっ、……しかたねぇか」
そう言って顔を上げた彼は、その綺麗な碧瞳で僕の顔をじーっと見ると、頼みがあるとそう言った。
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