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第五章其の一 奈落の世界の闘技場
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奈落の世界の闘技場
「ヘルショットに?」
ジルが、アーテ王女に問いただした。
「そう、あんたも本気で上のやつらとやりあう気なのね」
「?」
「そうでしょう? ヘルショットといえば、誰もが、そう、たとえスラムの育ちであろうと、奈落の世界の育ちであろうと、どんな社会的背景を持っていようと、平等に参加資格がある、この世で最後の自由主義的、民主主義的、スポーツ、上のやつらを、あたしたちがぶん殴れるのは、いまやヘルショットだけしかない」
そうなの?
「あんた、そんなことも知らないで、ヘルショットに参加しようなんていったの? 馬鹿ね、あんた、いいわ、今度一緒に見に行きましょう、え? なにがって、ヘルショットよ、あんた、みたいでしょう? いえ、いっぺんみておくのがいいのよ、こういうものは」
すると、ジルはご飯を駆け込み、
「明日どうかしら、お弁当でももって、観戦に行きましょう。え? なに?」
上の世界のヘルショット?
「違う。あるのよ、『奈落の世界の闘技場』、まずは上を見る前に、下を見ておこうと、そういうわけよ。いるのよ、奈落の世界の闘技場にも、本当に強いひとが、いえ、決して負けないわ。上の世界の闘技場にも、ほとんどその参加者の強さは平等だと、そういうもっぱらの話よ」
そんなに面白いの?
ヘルショットって。
「毎年一度、全国大会が開かれるんだけど、それには『奇跡を行う国』中の人が、注目しているわ。毎年、奈落の世界からも、人が出場しているのよ。もちろん、アウェー気分だけどね。全国大会は、上の世界の管轄だから。奈落の世界の住人は、あまり歓迎されていないわ」
すごいんだ。
「そうよ、あんたも少しは感心しなさい」
そういうと、ジルは、たくあんを噛んだ。
ポリポリ、ぽりぽり
でもそれって人殺しなの?
魔導師と魔導師が戦いあったら、絶対死人が出るでしょう。
「何から何まで、あんたは知らないのね。相手を殺したら、その時点でその選手は負け。殺さない程度に、十分力を入れてやるのよ、それが、ヘルショット。中には武道の達人でその上魔法使い、って人もいるから、気おつけることね」
なんだか、怖そう。
「やる前から、何も見る前から、震えていてどうするのよ、まずはみて、それから決めても遅くはないはずよ」
そうね。
アーテ王女は気を取り直して、そうしてたくあんを口に放り込んだ。
「後は?」
「?」
「何か予定はないわけ? どこに行きたいだとか、何かを見てみたいだとか」
そういえば、東の森には何があるの?
「東の森!」
「?」
「あそこには、この世の支配をたくらんで、酸の地獄に埋葬された伝説の魔導師が眠っているってうわさだわ。今、この世界を支配している、・・・・・・に、葬られた、魔導師よ、あんた、そこに、まさかいこうというんじゃないでしょうね。やめといたほうがいいわよ、あんたなんか、かの魔導師の大きな口で、一飲みにされてしまうから」
「?」
世界を征服しようとした?
だけど、今君臨している人たちも、世界を征服しているんでしょう?
「馬鹿ね、あんた、慎みなさい。こんな話聞かれたら、命がいくつあっても足りないわ。静かに、しっ。いいこと、この世を支配している・・・・・・はね、地獄の耳を持っているのよ、ここにいる人間たちの行なう会話なんて、ほとんどその耳に入ってしまっているんだから。それについては話はなし。本当に、しゃれにならないわ」
「・・・・・・・・・・・・」
アーテ王女が黙っていると、
「それじゃあ、決まり。明日ははやくから、『奈落の世界の闘技場』に行く、そうしてあんたはそのあと、東の森に旅立つのね」
すると、ジルは食事をすべてし終わって、後片付けに入った。アーテ王女もご飯を駆け込んだし、味噌汁も、胃袋に流し込んだ。
翌朝。
アーテ王女はいつものように、朝六時におきた。
日課のかまたき、掃除、布団干し、洗面、洗髪を済ませると、七時。
朝食の支度に取り掛かった。
アーテ王女がご飯を食べていると、
「おはよう、アーテ」
ジルが、何もかも済ませてやってきた。
アーテ王女がご飯を食べているのをみて、
「なに、アーテ、まだご飯食べているの? さっさといきましょう。はじめから見たいでしょう? 奈落の世界のヘルショット」
アーテ王女は出来るだけはやく、食事を済ました。
そうして、お弁当の支度に取り掛かった。
アーテ王女がお弁当に入れたのは、焼き魚、大根の煮物、ほうれん草のおひたし、きんぴらごぼうである。
アーテ王女が用意に手間取っていると、ジルが、
「そんなのさっさといれちゃいなさいよ、どうせ煮汁なんて、ご飯に混ざっちゃうんだから」
するとアーテ王女のお弁当も完成した。
アーテ王女は作りたてのお弁当を村長のうちでもらってきたデニムのかばんにつめると、ジルと、アーテ王女は出発した。
アーテ王女は部屋の鍵をかけると、入り口のドアに、
『奈落の世界の闘技場』に、ヘルショット観戦中。
お客様はのちほど
という看板を引っ掛けて、出かけた。
ジルとアーテ王女は、第六区、奈落の世界の町から、まずは徒歩で中央土管道へとでて、それにそって歩き(幾人かの人とすれ違った)、やがて、いくつか曲がり角を降りて、奈落の世界の鉄道路線に遭遇した。わたる。すると、さらに線路沿いに歩き、やがて、ジルとアーテ王女は奈落の世界、神津清原駅に到着した。切符を買って構内へ。
何でもあるんだ。
アーテ王女が感心していると、
がたん、ごとん、
がたん、ごとん。
列車がホームになだれ込んできた。
「さあ、乗るわよ」
アーテ王女は、ジルに手を引かれ、列車に乗り込んだ。
「『奈落の世界の闘技場』は、ここから十三駅先の『奈落の世界の闘技場駅』から、徒歩五分の距離よ。上の世界の人でも、ヘルショットに関心のある人は、時々おとずれるわ」
ジルとアーテ王女は、扉に近い席にすわった。
がたん、ごとん、
がたん、ごとん。
アーテ王女が外の景色を見ていると、それは、本で読んだ地下鉄とかわらなかった。
真っ黒な景色。
そこに移る人影。
すると、
「?」
アーテ王女は座っている目の前に、かつてアーテ王女がでくわした。そう、あの、『奇跡を行う国』行きにの列車の中でであった人影たちが座っていることに気がついた。
確か、そう、『黒服の手』と、呼ばわれる宗教教団の人々。
真っ黒な服。まるで見た目は牧師。しかし、その目にはサングラスがかかっていて。おしろいでも塗ったような真っ白な顔がある。
あの時は、何か、アーテ王女に示唆的な言葉を残して消えたが、今度はどうか。
アーテ王女が注意していると、
「アーテ王女」
「おまえは」
「わたしたちを」
「どうしようというのか」
「?」
すると、列車がホームになだれ込んだ。
明るいホームの景色が見える。
黒服たちが降りる。
「アーテ王女」
「もしもおまえが」
「真の」
「勇者ならば」
「わたしたちは、お前を」
「殺す」
「・・・・・・・・・・・・」
そういい残すと、黒服たちはおりていった。
どうやら、この国に関係した、ものであるらしい。
しかし、いったいその意味は?
わたしが勇者?
そういえば、伝説の巨竜もそんなようなことをいっていた。
殺す?
アーテ王女が外の景色を呆然と見ていると、
「どうしたの、アーテ。なにか変わったことでもあった?」
別に。
いつものことよ。
アーテ王女は答えた。
列車はその間も進み、アーテ王女が気がついたときには、『奈落の世界の闘技場駅』から、一駅のところまでやってきていた。
「次よ」
ジルがいった。
列車は何事もなく、『奈落の世界の闘技場駅』に到着した。
ジルとアーテ王女が降りると、列車はジルとアーテ王女を残して去っていった。次は、どこの駅に止まるのだろう。
アーテ王女が見ると、駅は閑散としている。
あるのはただ、『奈落の世界の闘技場駅』とかかれた看板に、ライト。
ジルと、アーテ王女が駅を出ると、東にむかった、
そこには、のぼり階段があって。
のぼりきったところに、開けたスペースがあった。
奈落の世界の闘技場である。
「ヘルショットに?」
ジルが、アーテ王女に問いただした。
「そう、あんたも本気で上のやつらとやりあう気なのね」
「?」
「そうでしょう? ヘルショットといえば、誰もが、そう、たとえスラムの育ちであろうと、奈落の世界の育ちであろうと、どんな社会的背景を持っていようと、平等に参加資格がある、この世で最後の自由主義的、民主主義的、スポーツ、上のやつらを、あたしたちがぶん殴れるのは、いまやヘルショットだけしかない」
そうなの?
「あんた、そんなことも知らないで、ヘルショットに参加しようなんていったの? 馬鹿ね、あんた、いいわ、今度一緒に見に行きましょう、え? なにがって、ヘルショットよ、あんた、みたいでしょう? いえ、いっぺんみておくのがいいのよ、こういうものは」
すると、ジルはご飯を駆け込み、
「明日どうかしら、お弁当でももって、観戦に行きましょう。え? なに?」
上の世界のヘルショット?
「違う。あるのよ、『奈落の世界の闘技場』、まずは上を見る前に、下を見ておこうと、そういうわけよ。いるのよ、奈落の世界の闘技場にも、本当に強いひとが、いえ、決して負けないわ。上の世界の闘技場にも、ほとんどその参加者の強さは平等だと、そういうもっぱらの話よ」
そんなに面白いの?
ヘルショットって。
「毎年一度、全国大会が開かれるんだけど、それには『奇跡を行う国』中の人が、注目しているわ。毎年、奈落の世界からも、人が出場しているのよ。もちろん、アウェー気分だけどね。全国大会は、上の世界の管轄だから。奈落の世界の住人は、あまり歓迎されていないわ」
すごいんだ。
「そうよ、あんたも少しは感心しなさい」
そういうと、ジルは、たくあんを噛んだ。
ポリポリ、ぽりぽり
でもそれって人殺しなの?
魔導師と魔導師が戦いあったら、絶対死人が出るでしょう。
「何から何まで、あんたは知らないのね。相手を殺したら、その時点でその選手は負け。殺さない程度に、十分力を入れてやるのよ、それが、ヘルショット。中には武道の達人でその上魔法使い、って人もいるから、気おつけることね」
なんだか、怖そう。
「やる前から、何も見る前から、震えていてどうするのよ、まずはみて、それから決めても遅くはないはずよ」
そうね。
アーテ王女は気を取り直して、そうしてたくあんを口に放り込んだ。
「後は?」
「?」
「何か予定はないわけ? どこに行きたいだとか、何かを見てみたいだとか」
そういえば、東の森には何があるの?
「東の森!」
「?」
「あそこには、この世の支配をたくらんで、酸の地獄に埋葬された伝説の魔導師が眠っているってうわさだわ。今、この世界を支配している、・・・・・・に、葬られた、魔導師よ、あんた、そこに、まさかいこうというんじゃないでしょうね。やめといたほうがいいわよ、あんたなんか、かの魔導師の大きな口で、一飲みにされてしまうから」
「?」
世界を征服しようとした?
だけど、今君臨している人たちも、世界を征服しているんでしょう?
「馬鹿ね、あんた、慎みなさい。こんな話聞かれたら、命がいくつあっても足りないわ。静かに、しっ。いいこと、この世を支配している・・・・・・はね、地獄の耳を持っているのよ、ここにいる人間たちの行なう会話なんて、ほとんどその耳に入ってしまっているんだから。それについては話はなし。本当に、しゃれにならないわ」
「・・・・・・・・・・・・」
アーテ王女が黙っていると、
「それじゃあ、決まり。明日ははやくから、『奈落の世界の闘技場』に行く、そうしてあんたはそのあと、東の森に旅立つのね」
すると、ジルは食事をすべてし終わって、後片付けに入った。アーテ王女もご飯を駆け込んだし、味噌汁も、胃袋に流し込んだ。
翌朝。
アーテ王女はいつものように、朝六時におきた。
日課のかまたき、掃除、布団干し、洗面、洗髪を済ませると、七時。
朝食の支度に取り掛かった。
アーテ王女がご飯を食べていると、
「おはよう、アーテ」
ジルが、何もかも済ませてやってきた。
アーテ王女がご飯を食べているのをみて、
「なに、アーテ、まだご飯食べているの? さっさといきましょう。はじめから見たいでしょう? 奈落の世界のヘルショット」
アーテ王女は出来るだけはやく、食事を済ました。
そうして、お弁当の支度に取り掛かった。
アーテ王女がお弁当に入れたのは、焼き魚、大根の煮物、ほうれん草のおひたし、きんぴらごぼうである。
アーテ王女が用意に手間取っていると、ジルが、
「そんなのさっさといれちゃいなさいよ、どうせ煮汁なんて、ご飯に混ざっちゃうんだから」
するとアーテ王女のお弁当も完成した。
アーテ王女は作りたてのお弁当を村長のうちでもらってきたデニムのかばんにつめると、ジルと、アーテ王女は出発した。
アーテ王女は部屋の鍵をかけると、入り口のドアに、
『奈落の世界の闘技場』に、ヘルショット観戦中。
お客様はのちほど
という看板を引っ掛けて、出かけた。
ジルとアーテ王女は、第六区、奈落の世界の町から、まずは徒歩で中央土管道へとでて、それにそって歩き(幾人かの人とすれ違った)、やがて、いくつか曲がり角を降りて、奈落の世界の鉄道路線に遭遇した。わたる。すると、さらに線路沿いに歩き、やがて、ジルとアーテ王女は奈落の世界、神津清原駅に到着した。切符を買って構内へ。
何でもあるんだ。
アーテ王女が感心していると、
がたん、ごとん、
がたん、ごとん。
列車がホームになだれ込んできた。
「さあ、乗るわよ」
アーテ王女は、ジルに手を引かれ、列車に乗り込んだ。
「『奈落の世界の闘技場』は、ここから十三駅先の『奈落の世界の闘技場駅』から、徒歩五分の距離よ。上の世界の人でも、ヘルショットに関心のある人は、時々おとずれるわ」
ジルとアーテ王女は、扉に近い席にすわった。
がたん、ごとん、
がたん、ごとん。
アーテ王女が外の景色を見ていると、それは、本で読んだ地下鉄とかわらなかった。
真っ黒な景色。
そこに移る人影。
すると、
「?」
アーテ王女は座っている目の前に、かつてアーテ王女がでくわした。そう、あの、『奇跡を行う国』行きにの列車の中でであった人影たちが座っていることに気がついた。
確か、そう、『黒服の手』と、呼ばわれる宗教教団の人々。
真っ黒な服。まるで見た目は牧師。しかし、その目にはサングラスがかかっていて。おしろいでも塗ったような真っ白な顔がある。
あの時は、何か、アーテ王女に示唆的な言葉を残して消えたが、今度はどうか。
アーテ王女が注意していると、
「アーテ王女」
「おまえは」
「わたしたちを」
「どうしようというのか」
「?」
すると、列車がホームになだれ込んだ。
明るいホームの景色が見える。
黒服たちが降りる。
「アーテ王女」
「もしもおまえが」
「真の」
「勇者ならば」
「わたしたちは、お前を」
「殺す」
「・・・・・・・・・・・・」
そういい残すと、黒服たちはおりていった。
どうやら、この国に関係した、ものであるらしい。
しかし、いったいその意味は?
わたしが勇者?
そういえば、伝説の巨竜もそんなようなことをいっていた。
殺す?
アーテ王女が外の景色を呆然と見ていると、
「どうしたの、アーテ。なにか変わったことでもあった?」
別に。
いつものことよ。
アーテ王女は答えた。
列車はその間も進み、アーテ王女が気がついたときには、『奈落の世界の闘技場駅』から、一駅のところまでやってきていた。
「次よ」
ジルがいった。
列車は何事もなく、『奈落の世界の闘技場駅』に到着した。
ジルとアーテ王女が降りると、列車はジルとアーテ王女を残して去っていった。次は、どこの駅に止まるのだろう。
アーテ王女が見ると、駅は閑散としている。
あるのはただ、『奈落の世界の闘技場駅』とかかれた看板に、ライト。
ジルと、アーテ王女が駅を出ると、東にむかった、
そこには、のぼり階段があって。
のぼりきったところに、開けたスペースがあった。
奈落の世界の闘技場である。
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