アーテ王女の冒険における奇跡をおこなう国 すなわち「人間」・大学・企業および社会システム 社会システムの一般放送関係批判1

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第六章其の一 不思議な鏡、および伝説の竜について

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 不思議な鏡、および伝説の竜について

 準備は整った、あとは、ローランドさんの、お弁当を待つのみであった。
 いや、荷物をつめるのに、何か袋が必要だった。
 アーテ王女は仕方がないので、村長に質問すると、村長は、庭にいた。
村長は庭仕事の手を休めて、
「なに? 袋? そうか、とうとういくのか、まだ、わしはここでのんびりしているのかとおもっていたが、旅立ちは、以外とはやくきたものだ」
 旅立ち?
 なにを大袈裟な。
 アーテ王女がおもっていると、村長も、同じくそのようだった。
「少し大袈裟かも知れんな、また、戻ってくるんじゃろう? わしの試算では、あんたはこの地方の夏祭りまでは、この場所にいて、そうしてそれ以後、新たな土地へと旅立つことになりそうだ。見物していってくれ、わしらが力を入れて、計画している夏祭りだ・・・・・それはそうと」
 と、村長は、アーテ王女の足元を見て、
「なかなかいい靴を履いているではないか、そうか、バンのところの靴屋で買ったのか、いや、もらった? それはいい。あんたにぴったりだよ、その、丈の長い茶色のスニーカーは、あんたのくすんだデニムの上着とおあつらえ向きに似合っておる」
 ありがとう、村長。
 アーテ王女はいった。
 それから、何かかばんみたいなものを用意してくれたら、もっとありがとう。
「おおそうか」
 と、村長は、
「かばんがいいかのう? それともナップザックみたいなのがいいのかな? いや、幸いわしのうちにはそうした類のものが仰山あってな、いや、みんなお歳暮とか、何やらで、もってきてくれるのじゃよ、案内してやろう」
 村長がアーテ王女を案内したのは、家の中でも一番大きい、村長の寝室のクローゼットだった。
「さあ、ここにかばん類は山ほどある、どれでも何なりと、好きなものを持っていくといい」
 アーテ王女が探すと、なるほど、村長が言ったように、大量のかばん類が、うずたかくつままれた一角があった。
 アーテ王女は、それらのかばんを引っかきまわして、自分の好みのかばんを探した。
 村長は近くで待つ。
 ブランド品はパス。
 いくらなんでも、高そうなかばんをもらうのには、アーテ王女にも勇気がいった。
 ブランド物ではなく、頑丈そうで、軽そうなものが、アーテ王女の好みだった。
 しばらく探した。
 すると、見つかったのは、アーテ王女の着ている服と同じようなデニムの生地を使って作った、肩掛けかばん。
 アーテ王女はそれを見つけると、肩からかけてみて、使いやすさを検証した。
 すると、それは、アーテ王女にとって、お誂え向きであることが、すぐにわかった。
 これをください、村長。
 アーテ王女が言うと、
「そうかいそんなのでいいのかね、わたしはまた、あんたはブランド物のかばんをほしいというのではないかとおもっていたが、さすがは王女。目の付け所が違うわい。やはり、王女ともなると、見た目のよさよりも、真の使いやすさを追求するということか。もちろん、ブランド物が、すべて、使いにくいものとは言わないが、いや、あっぱれ、たいしたものだ」
 かばんをもらうとアーテ王女は自室に控えた。
 かばんを用意すると、アーテ王女は集めた道具をつめていった。
 ナイフ、雨合羽、着替え、折りたたみがさ、風邪薬、うがい薬、ランプ、マッチ・・・・・・。
 アーテ王女がそれらをかばんに詰め込んだころ、ローランドさんのお弁当も完成したらしかった。
「アーテ王女」
 と、ローランドさんの呼ぶ声がして、
「お弁当、出来上がりましたよ、ビーフカツレツサンド、デミグラスソースに、カレー粉の隠し味がきめて、お召しあがりなさい。それに、飲み物、どこかに行くなら、水分補給を忘れないようにね、熱中症にかかったら、たいへんだから」
 ローランド女史から、アーテ王女がお弁当を受け取ると、ローランド女史は、自身の役割は、もはや終了したといわんばかりに、そそくさと、アーテ王女の前を去っていった。
 アーテ王女がお弁当と飲み水をかばんにつめると、新聞紙に、トイレットペーパーまで、かばんにつめて、準備完了。出発の時刻をまった。
 時刻?
 そういえば、アーテ王女は自分が時計を持ってはいないことに気がついた。
 時計を、もらえるだろうか。
 しかし、それはアーテ王女はあきらめた。
 たしかに自身が今いる時刻を知ることは重要であるが、なにから何まで、村長の好意に浸るわけにはいかないからである。
 アーテ王女はここにきて、周囲の状況を、的確に判断できるアーテ王女に成長していた。
 朝からかかって、荷物の整理に追われたアーテ王女であったが今は、村長の家のホールの時計を見ると、十二時を、待つばかりとなっていた。
 アーテ王女は出発した。
 北の山までの地図は、すでに頭に入っている。
 といっても、北の山の洞窟へは、まっすぐ北へ、バンズの町から歩いていくだけだった。
 黒々とした影を落とす街路樹。
 夏虫の声。
 入道雲。
 アーテ王女がコンパスを見ながら、歩みを進めると、町の外に、やがて王女はたどりついた。
 ここから北へ、まっすぐ。
 アーテ王女はハイキング気分で、町の外へと歩いていった。
 アーテ王女が町の外にであると、そこには一面に花畑、きれいな小川が流れる光景が広がっていた。
『奇跡を行う国』。
 ここはいったいどういう場所?
 はじめ霧の中で、一寸先までも見えないとおもったら、今度はきれいな花畑の光景。
 いったいなにが、この世界を支配しているというの?
 アーテ王女はおもった。
 しかし、それは今のアーテ王女にはわからないことだった。
 わからないことは考えない。
 しばらく歩いた。
 暑い。
 さすがに夏祭りが近いだけのことはある。
 帽子がなかったら、きっと今頃日射病にでもかかっていたのではないだろうか。
 アーテ王女はこのとき初めて、帽子があることの意味を知ったような気がした。
 どのくらい歩いただろうか。
 アーテ王女がしばらくすると、お腹がすいていることに気がついた。
 アーテ王女はどこか、静かに座る涼しげな場所を探した。
 一本の木が、アーテ王女の目にはいった。
 アーテ王女は木に近づいて、座った。
 そうすると、木は、まるでアーテ王女をつつみこむように、真夏の太陽からアーテ王女を守った。
 お弁当をひろげ、飲み水を、くいっといっぱいのんだ。
 アーテ王女はローランドさんがつくってくれたビーフカツレツサンドにかぶりついた。
 衣がさくさくしておいしい。
 三つあるうちの、二つだけ食べきると、アーテ王女はしばらくその場で眠ることにした。
 新聞紙を草の上に広げると、アーテ王女はその上に寝転んだ。
 それは、アーテ王女が眠った後のことである。

  * * *

 アーテ王女は眠っていた。
 どのくらい眠っただろう。
 アーテ王女が目を覚ますと、周囲には、また、あの、いやな様子のある、霧が立ち込めていることに気がついた。
 アーテ王女が起き上がると、ここはどこだろう。
 さっきまで確かにあった、一本のこずえがなくなっていた。
「・・・・・・・・・・・・」
 まるで、アーテ王女は寝ている間に誰から、つれてこられた思いに陥った。
 アーテ王女は立ち上がった。
 そうすると、新聞紙を折りたたみ、かばんの中にしまった。
 新聞紙をたたんだ?
 それではあたしはこの場所に、新聞紙ごと連れてこられたのだろうか。
 しかし、この、破れやすそうな新聞紙ごと? あたしの体重を支えた?
 アーテ王女がおきると、コンパスは北をさしている。
 アーテ王女は自身の目的を思い出した。すなわち、北を目指す。
 アーテ王女はその、コンパスがさす北へと、歩みをすすめた。
 しばらく霧の中。
 すると目の前に。
 大きな黒い穴ぼこが見えてきた。
 洞窟であろう。
 アーテ王女が歩みを進めると、穴ぼこは、見た目よりも大きいことが見て取れた。
 巨大な竜が出入りすることができるように、こうなっているのだろうか。それとも、洞窟がおおきかったから、『叡智を行なう竜』は住み着いた?
『叡智を行なう竜』、そう、アーテ王女はその竜に会いに、ここまでやってきた。
 いや、つれてこられたのだろうか。
 しばらく。
 アーテ王女がその様子を見ていると状況に変化が訪れた。
 なんだろう?
みていると、

 うわあ、うわあ。

「?」
 不気味な叫びごえがして、洞窟の中から何ものかが飛び出してくるようすであった。
 何事か、その何ものかは、叫んでいる。なんだろう。
 アーテ王女が声に注意していると、
「ぼぼぼ、僕は勇者じゃないよ」
「?」
「ぼぼぼ、僕はただの畑の草刈さ」
 飛び出してきた人影は、アーテ王女の前まで近づいてきた。
 そうしてそこにいる、アーテ王女に気がつくと、人影は、息を切らして立ち止まった。
 みると、人影は、青年らしいことが読み取れた、アーテ王女より、幾分年上の・・・・・・。
 なんだろう、アーテ王女が黙っていると、人に出会って安心したのか、人影の青年は、
「き、君も来たのかい? やめといたほうがいいよ。だってここは、で、伝説の悪竜、ドロゼードンがすんでいる、洞窟なんだから。その竜は、勇者にだけ、倒すことができるといわれ、倒すことができたのなら、この世界を変える力を持つ、伝説の勇者になることができるといわれているんだから」
 飛び出してきた人影は、アーテ王女が聞いていないことまで並び連ねた。
 勇者?
 伝説の悪竜ドロゼードン?
 アーテ王女はおもった。
 しかし。
 悪竜?
 聞いた話と、ずいぶん違う。
 アーテ王女が聞いたところによると、伝説の竜とは、とても賢く、善良な力を持った竜だった。いや、そうは聞いてはいない、しかし、アーテ王女が聞いた話では、ここにいる竜とは、悪魔のちからを持った竜ではありえなかった。
 それが、どういうことだろう。
 アーテ王女がおもっていると、人影は、
「あんた何も知らないんだな、『叡智を行なう竜』だって、ここにそんなものがいるもんか、ここにいる竜は、悪魔の化身さ。村人を殺し、血を欲し、自身の力を思う存分使い、満足する、悪魔の化身さ。君も、この血の魔王に殺されたくなかったら、早く今来た道を戻って、町で安全に暮らすことだ」
 そういうと、人影は、また、息を切らした。
 果たして洞窟の中からは、何ものか、とても邪悪なものの叫び声が聞こえた。
 邪悪な竜。ドロゼードン?
 アーテ王女はしばらく、霧の中、立ち尽くした。
 若者は、アーテ王女に帰ることを推薦した。
 しかし、アーテ王女は帰ることができなかった。
 何より、伝説である。
 アーテ王女は伝説の存在である、その希望にこたえなくてはならない。
 すると、青年が、
「なにを馬鹿なことを言っているんだい。伝説だって? それはみんなでたらめさ、この場所では、少しよそものがやってくると、すべて伝説として、この血の火竜に立ち向かわせるのさ。口実さ、伝説なんて。今まで何人の人間が、そうして命を落としたとおもう、もう、数えきれないほどさ、君も担がれたのさ、世界を改造する伝説の人間なんて、存在するわけがない。さあ、本当に、君も帰ったほうがいい、帰りなさい」
 すると、青年は、息を取り戻したのか、再び走りだし、霧の中へと消えていった。
 アーテ王女はどうする。
 しばらく立ち止まって考えた。
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