託宣が下りました。

瑞原チヒロ

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番外編R18

出立前――ヴァイスの場合 1 ★

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 魔王討伐の旅への出立まで、あと三日と迫っている。

 厳密に言えば、シェーラ殿の託宣通り「魔王が復活した」わけではなかった。だがそれが非常に近い状況であることを、俺たちはすでに先日確認している。
 『魔王』となるべき存在は、着実に成長している。
 一刻も早く叩かなければ、どんな被害が出るか分からない。

 俺はアルテナと結婚したばかりだった。だから仲間たちに猶予ゆうよをもらった。
 期限は、一週間――



 五日目。アルテナとともに王室所蔵の宝石を見に行った。
 この国は『石の国』だ。各地から珍しい石が山ほど出る。王室はひとつの建物を建て、大半の美しい石を所蔵していた。それを勇者の仲間特権でタダで見せてもらった。
 アルテナには非常に楽しい時間だったらしい。うむ、勇者の仲間であるのも悪くない。
「世の中にはふしぎな石がたくさんあるものなのですね……!」
 帰り道の馬車の中で思い出にひたるアルテナ。聞けば平民向けに開かれた石ミュージアムには行ったことはあるが、孤児院の子どもたちを連れて行くついでに見たきりらしい。個人では行ったことがないあたり、さすが修道女というか。

 たった一週間の結婚生活。二人でめいっぱい色んな経験をしようと約束した。馬の遠乗りもしたし、ピクニックもした。
 星を見に行ったりもしたし、植物園にも、冬の実がなる果樹園にも行ったし、珍しい食べ物屋にも行ったし、彼女が喜ぶことならなんでもした。
 というより、動物がからまなければ彼女は何でも喜んだ。例えば動物園のように動物が関わってきてしまうと、修道女としての性質がどうしても頭をもたげて、楽しめないようなのだが。
 一週間の思い出。彼女の笑顔をしっかり刻んでから出立したかった。
 一緒に思い出を作れば作るほど離れがたくなるのが問題だったが――



 帰宅すると、夕飯よりもまだ早い時間だった。
「お帰りなさいませ」
 ウォルダートがうやうやしく出迎え、俺たちの外套を受け取る。「服を今ご用意します。人を呼びましょう」
「いえ、着替えは自分でやりますから」
 とアルテナ。ヴァイスが「やらせればいいんだぞ」と言うと、笑って「わたくしがあなたに何かをしてあげた思い出も作りたいんです」と。
 それはつまり、俺の着替えもさせてくれるということだ。
 何てかわいいんだこの新妻は。俺の胸にときめきが押し寄せる。

 この家に家人はウォルダートと料理人を含めて五人しかいないのだが、最近家人たちはほとんど家畜の世話にかかりきりになっている。
 だから、アルテナが自分で自分の世話をすることも多かった。俺の世話も。
 俺たちにとって、それは至福の時間でもあった。

 孤児院や救貧院に頻繁に行っていたアルテナは人を着替えさせるのは得意だったが、あいにく俺は身分が違う。よって服も造りがだいぶ違い、俺を着替えさせるのにはだいぶ時間がかかるようだ。
「あなたが先に着替えていいんだぞ、アルテナ」
「い、いえ。あなたがお先に」
 まだまだ慣れない手つきで俺を着替えさせたあと、ようやく人心地ついたように「では着替えてきますね――」とアルテナは自分の部屋へ帰っていった。
 彼女のいなくなった部屋。俺は一気に寂しくなった。ここしばらく本当に常に一緒にいるからなおさらだ。
 彼女を思うだけで胸の奥がきゅっとしぼられるのに、彼女から離れられるはずがない。

「ヴァイス様?」
 急に部屋に入ってきた俺を見て、アルテナは驚いたようだった。「どうなさったんですか、いったい?」
 彼女は今、鏡台の前で髪をいているところのようだった。
 日中は髪を結んで上にあげていることの多い彼女。修道女時代には髪が見えていることも稀だったので、こうしておろしているところを見るとなんだか感慨深い。
 まるで夜の営みの最中のようで。
 そう――彼女の無防備な姿はいつだって、俺を煽る。
 彼女はいつも化粧が薄いから、落とすのも簡単らしい。今もすでに素顔だ。
 服も部屋着に着替えていた。さすがに修道服を着るのは止め、簡素な平服である。俺の隣に立つと違和感がある服装だったが、そんなことを俺が気にするわけもなかった。
 俺は彼女の背後に立ち、椅子の背もたれに手をかけて「化粧をしていなくてもきれいだな、アルテナは」と言った。
 鏡の中でぽっとアルテナが頬を染めた。
「そんなことをおっしゃってくれるのはヴァイス様だけです」
 ちょっとだけ恥ずかしそうに肩を丸める。そんな彼女がかわいい。
「髪……俺がといてやろうか」
「え?」
「たまには俺があなたの世話をするのもいいだろう?」
 そう言うと、アルテナは少し笑って「ではお願いします」と櫛を渡してきた。
 彼女の長い髪を梳く――彼女の髪は少しだけ淡い茶の色をしている。
 それを俺は宝物でも持つかのようにそっと手に置いて、ゆっくりと櫛を通していく。
 鏡の中、アルテナが心地よさげに目を閉じているのが見えた。
 俺は――髪のひとふさに顔を近づけ、口づけた。
「……? ヴァイス様……?」
 何をされたのか分からなかったのだろう、アルテナが目を開け振り返る。
 その彼女を、後ろから抱きしめる。椅子が邪魔だ。だがそんなことは言っていられない。
 櫛を鏡台に置き、俺はひたすらに強く彼女を抱きすくめた。
「アルテナ……俺はひとときでもあなたと離れていたくない」
 熱い吐息とともに耳元で囁く。
 ふうと耳に息を吹きかけると、「あ……」腕の中でぴくりと新妻の体が動く。
 とがらせた舌先でつつと耳の輪郭を伝えば、アルテナは身もだえた。
「駄目です……ヴァイス様」
「どうして?」
「だって……」
 恥ずかしそうな鏡の中の彼女。俺はにやりと笑った。
「その気になってしまうから、だろう?」
「――っ、ま、まだ、お昼です! そんなはしたないこと――」
「関係ない。夜じゃなくてはしてはいけないなどという決まり事はないからな」
「ヴァイス様……っ」
 俺は彼女の胸元をまさぐった。ほんの少しだけある膨らみを手に捕らえ、ゆっくりとてのひらで押しつぶすようにこねる。
「や、やめて……」
 彼女は俺の手を掴んで止めようとするが、その手に力が入っていない。
 ――だくと言っているようなものだ。
 服のボタンを外し、中へと手を差し込んだ。少しさぐれば彼女のふくらみの先にある花の位置はすぐに分かった。そこをつまんで、くりっとねじる。
「あ……痛い」
 痛がる声さえ甘やか。俺の耳には媚薬のように聞こえる。
 指先で転がすようにいじる。だんだんと膨らみが固くなってくる。俺には、その変化がかわいくてたまらない。まるで彼女の興奮を形にして表しているようで。
「なあ……ここをしゃぶると甘い味がするんだ。俺は赤ん坊かな」
 耳元でそんなことを言ってやると、アルテナは耳まで真っ赤になった。
「俺を赤ん坊にさせてくれないか? 今、ここで」
「――っ、駄目です……!」
 おや、今日はあまりすんなりとはさせてくれないらしい。ここ数日は俺の言うことを全部聞いてくれていたのに。
 やっぱり昼間なのが問題なのか――
 そう思うと、俺はますます興奮した。真っ昼間に、元修道女の清楚な妻を抱く。こんな背徳の行為があるだろうか?
 アルテナの服の前を思い切り開かせた。あらわになったかすかな膨らみと、固くなった桜色の頂点が鏡に丸写しになった。
「いや……っ!」
 アルテナは体をねじる。俺は構わず胸をいじりまわす。小さい胸は感じやすいとどこかで聞いたが、彼女に限ってそれは本当だったらしい。
 というより、彼女は全身どこもかしこも感じやすい。正直男にとってはありがたい体だと思う。何をしても悦んでくれるのだから。
 思うさま乳首をいじりまわしたあと、アルテナの顔を後ろ向かせて唇を奪った。
「あ……はぁ……ん」
 舌をからめると、あえかな声が彼女の唇の端からこぼれた。
 彼女の唾液がこぼれそうになり、俺はそれを舌で舐め取った。そして彼女の唇を、ぺろりと舐めた。
「ヴァイス様……」
 俺の腕を掴む手からも力が抜けている。それをいいことに俺は右手を下へと移動させる。左手では絶えず乳首をいじりながら、右手ではさらに感じる場所へ。
 動きで察したのだろう、彼女は強く太ももを閉じてしまっていた。
 俺は構わずスカートをたくしあげた。そして、閉じた太ももを直接何度も撫でた。
「ん……」
 だんだん太ももからも力が抜けていく。その隙に、内股へと手を滑り込ませる。彼女は内股自体も性感帯だ。指先でくすぐるように触れると、彼女の呼吸が高まるのを感じる。
 そのまま――内股の奥へと――
「っ! や――」
 下着の上から秘裂をなぞりあげられて、彼女がいやいやと体をひねった。
「もう遅いぞ? 濡れてきてる」
 俺は意地悪く囁く。
 実際、下着がうっすらと湿っているのが指先に感じられた。
「ち、違うんです……っ!」
「何が違うんだろうなあ」
 恥ずかしさで顔を真っ赤にさせている彼女を鏡の中に見ながら、俺はなおも指先を動かし続ける。下着をぐちゃぐちゃに濡らしてやるために、彼女の一番感じる花芯に指を当てる。
 そうしてそこをゆっくりこねると、「ああ……っ!」それだけでアルテナは愉悦を隠しきれない声を上げた。
 この数日間で、彼女の体はすっかり開発されてしまっていた。最初から感じやすく濡れやすい体だったが、そこに俺がさらに快楽を教え込んだ。服の上からいじるだけでこの反応。普段のアルテナとのギャップを感じ、俺は激しく興奮する。
 あんなに真面目で、人のことに一生懸命だった彼女が、今は己の快楽のためだけに身をよじっている。
 俺は下着の隙間から指を入れ、彼女の秘所をなぞった。
 鏡台の鏡では、下での行為はちょうど見えない。俺の手がもぞもぞと動くところが見えるだけだ。
 それがなおさらいやらしく、ちらちらと鏡を見ているアルテナの視線もいやらしく、俺の股間がどんどん熱を持ってくる。
 まさにそれと呼応するように、彼女の秘所からも蜜がとろとろあふれ出していた。
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