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Epilogue
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時は流れて、一年後の三月一日。
その日は、先日の雨が嘘のように春らしい穏やかな陽気だった。仁寿と彩が出会った日と同じように、ローカルニュースのキャスターが花見日和だと朝のニュースで言っていた。
季節の巡りは不変でも、ニュースキャスターの顔ぶれが当時から一新したように、日常はとどまることなく日々変化していく。
朝七時三十分。
医局では、いつものように朝のカンファレンスが行われていた。
初期臨床研修最後の当直を終えた仁寿が、大きなスクリーンに電子カルテの画面やCTの画像などを映して、当直帯で受け入れた救急患者の病状と検査結果、それから急変や不穏などで対応した入院患者の状態などを報告する。要点をまとめた的確な説明や堂々とした口調は、すっかり一人前の医師そのものだ。
仁寿だけではなく、他二名の研修医も最初の初々しさが嘘のように医師として立派に成長したと思う。それは、指導にあたった医師たちからの評価でもある。
カンファレンスのあとそのまま朝礼にうつり、連絡事項の伝達などを済ませて、内輪だけのささやかな初期研修修了式が執り行われた。
二年間の初期臨床研修をやり遂げ、必修科の研修に合格した三人が、みんなの前で院長から初期研修終了証を一人ずつ手渡される。当直明けの仁寿は、少しボサボサの髪にメガネという、いつもとは違う風貌で式に臨んだ。
初期研修を終えると、研修医は終了証を手にして病院を去っていく――。
それが毎年の恒例だったのに、今年は三人とも病院に残って専門医研修に進むと決めてくれたから、経営陣を筆頭に医師たちも医局秘書課も万々歳だ。
そして、医局長の篠田から、医局が揺れる大発表がなされたのはその直後。
「えっと。今日は一つ、衝撃的なお知らせがあります。突然ですが、医局秘書課の廣崎彩さんが退職されることになりました。退職日は今月末日付け。有給消化があるから、今月の十五日が最終勤務になるそうです。あと……、これも言ってもいいんですかね」
篠田が手に持った紙を指さし、院長先生と医局秘書課課長平良の顔色をうかがう。二人が「どうぞ」というように頷くと、篠田は二度咳払いをした。
「俺も今朝、というかついさっき、朝礼前に聞いて未だに信じられないんですけど……。なんとびっくり、藤崎仁寿先生と彩さんがこのたびご結婚されるそうです」
みんなが、ぽかーんとした顔をして仁寿と離れた位置にいる彩を見る。医局が一瞬、しぃ~んと静まり返った。そして……。
「「「「えええええええー?!」」」」
突如、窓の強化ガラスがガタガタと空振するほどのざわめきが医局内に巻き起こる。
「なんだって?!」
「嘘だろー!」
「エープリルフールにはまだ早いぞ!」
飛び交っているのは、明らかに祝福よりも驚きの阿鼻叫喚。中には、状況を理解できない人もいる有様。誰にも言わず、職場ではそんな素振りは一切見せなかったから、正しい反応だ。普段の先生たちを知っているから、なんだか面白くて笑いが出てしまう。
「彩さん」
ざわめきの最中、仁寿が小さく手招きして彩を呼び、彩の横にいた由香が、「頑張れ」と背中を押す。
彩は仁寿の隣に立ってみんなに深く一礼すると、長年に渡ってお世話になった感謝を述べた。
最後にはしっかり、二年の研修を終えてひとり立ちしていく三人の先生と後任の秘書をよろしくお願いしますと頭をさげる。その瞬間、拍手にまぎれて鼻をすする音があちらこちらから聞こえた。
いい先生たちのそばで、たくさん貴重な体験や経験をさせてもらえた。五年の年月に無駄は一つもない。すごく幸せだった。彩は心からそう思う。
医局ではもちろん、院内を歩けばすれ違う職員に祝福と驚きの言葉をかけられ、その日はあまり仕事にならないまま慌ただしく過ぎていった。
後日、急遽セッティングされた彩の送別会で、二人がみんなから根掘り葉掘りの事情聴取を受けたのは言うまでもない。
◆◇◆
五月十一日。
少しだけ初夏の熱を含んだ日差しがふりそそぐチャペルで、仁寿と彩の結婚式が執り行われた。
厳かな聖歌が響く中、純白のウェディングドレスに身を包んだ彩が、父親の腕に手を添えてバージンロードを進む。
白を基調としたチャペルは、二人の新しい人生の始まりにふさわしい白光に輝いていた。二人を祝福するのは、家族や親族、そして一緒に仕事をしてきた病院の仲間たちだ。
結婚の誓いを立て、仁寿が彩のベールを捲る。仁寿を見あげる今日の彩は、特段に美しい。
「彩さん、とてもきれいだよ」
「ありがとうございます。仁寿さんも素敵ですよ」
二人は見つめ合って、どちらからともなく唇を重ねる。誓いのキスは、柔らかくてあたたかくて、人前だということを忘れてしまうくらい甘かった。
式を終えた二人の薬指で、永遠の愛の証が輝く。彩は今でも覚えている。そして、一生忘れないだろう。あの夜、仁寿が薬指にしてくれたキスの優しさを――。
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仁寿&彩さんご結婚おめでとうございます!
お姫様抱っこは無事に達成できたのか…それがとても気になります☺️
みんなに祝われる大団円めっちゃ好きで、じーんとしてしまいました。
私はヒロインが周りから一人の人間として大切にされている状況がとても好きなので、彩さんがみんなに愛されている様子がすごく嬉しかったです。
実家のシーンもとても温かく、仁寿は義両親にも愛されるんだろうなとニコニコしちゃいました。
それにしても子供の大切な人が家に来た時に手料理でもてなせるってめちゃくちゃすごいですよね!?子供達が大きくなった時、果たして私にできるのだろうか…なんて考えてしまいました🤣
そして推し活する母かわいいぞ☺️
辛い過去はあったけど、仁寿とのシーンは幸せに満ち溢れていてまさに癒しのラブストーリーでした。
世間に疲れた私たち大人に必要なのは癒し!!
ほっこり可愛いラブごちそうさまでした!
ちまきさん♡
うわー!もう!!!感想の嵐が嬉し過ぎて、ちまきさんへの愛が止まらない…!!!
仁寿のお姫様抱っこが成功したのかどうかは、あとで公開する番外編で明らかになる予定だから楽しみにしててください(^^)
この話は現代ものっていうのもあって、事件とか陰謀とかネガティブな要素は入れられなかった…
やっぱり現実ってどっちかというと疲れることの方が多いから、創作物の中で幸せになりたかったんだよね私が😇
想像を絶するような不幸を背負ったり、ひどい目に遭ったりしなくても、その人なりに毎日を頑張ってる人が救われる優しい世界があってもいいじゃないか!と思って書いてました✨
今の私にとって、ちまきさんの感想こそが優しい…♡
ここのところ体力の限界を感じて疲労困憊だったけど、すっと生き返りました!
本当に本当にありがとうございます!(大声)
生活のことはなにも心配しなくていいから。
こんなにトゥンクする口説き文句あるー?!?!🥺✨
スパダリすごい…✨仁寿パーフェクトすぎて好き🥺💕
ちまきさん♡
私も仁寿好き…🥺💕
こりゃ彩さんと仁寿争奪戦をしないといけないね(笑)
あなたがただ幸せであればいい
ってコト!?
私の中のハチワレがざわついてしまいました😇
全てを肯定して笑顔を願ってくれる人なんか人生で出会えるかどうかだよ
本当によかったね彩さん🥲✨✨
ちまきさん♡
相手の幸せを考えるヤツ…それが仁寿…ッ!
どこに行ったら会えるんだろう…
ハチワレでちいかわのキャラクターが浮かんで、なんか和んだ🤣