日記

@Haruto

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本編①

8月4日 帰り道。

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 花火を見終わった後、私と加納は2人きりになった。
 加納は私を送ってくれるとのことで、薄暗い夜道を2人で進む。
「今日はありがとう。普段絡まない子たちとも話せてよかった」
「そう。それならよかった」
「ーー……」
 会話が続かない。さっきからずっとこんな感じだ。一言、二言話しては静かになるの繰り返し。上手く返せないし、返したりしてこない。
 ちょっと気まずいな。
 そう思った時だった。加納が口を開く。
「さっきーー俺が委員長の彼氏だって言った時。どう思った?」
 一瞬ドキッとした。
「いや、嫌な気分になってたら申し訳ないかなと。そんな流れだったから」
「……ちょっとびっくりしたかな。嫌だったわけじゃないけど」
「唐突だったもんな。ごめん」
「ううん、場を和ませようとしてくれたのわかったし。気にしてないよ」
「ーー……そうか。なら、まあ」
 一瞬だけ、加納の声のトーンが落ちたのはきっと気のせいだろう。私の聞き間違いであり、勘違いだと思う。きっと。そう。
 話し始めて数日しか経ってない相手に好意を持つなんてこと。あるはずない。ただの勘違いだ。
 自分の想像力に呆れてしまう。私も思春期真っ只中で頭の中ピンク色だったなんて。厚意で誘ってくれて、気を遣って場を和ませようとしただけなのに。自分が嫌になる。
 頭を切り替える。家に帰る経路だけ考える。甘い気持ちは一切捨てて。
 石刀の家から10分くらいで家に到着した。
「送ってくれてありがとう」
「おう」
「加納くんも帰り道気をつけて」
「ありがとう」
「じゃあ、おやすみ」
「……あのさ」
「?」
 会話が終わろうとしていたはずだった。

 はずだったのに。

「俺、冗談で言ったつもりないから。」
 そんなこと言われるなんて思いもよらなかった。
「じゃあ。また学校で」
 そういうと彼は走って帰って行った。
 突然の告白。
 私は頭が真っ白になった。
 違うと思っていたのに。違わなかった。
 私のどこを見てそう思ったの?
 家の中に入った後も頭の中はそれでいっぱいだった。
 今日は眠れないかもしれない。
 そう思いながら入浴するために脱衣所に入って行った。
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