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リリィの出産
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「もう随分と大きくなったな。」
そう言ってお腹を撫でるのはウィルだ。
「ふふっ。もういつ産まれても良いんですって。」
「イライジャとレオンの連携でだいぶ魔力も漏れなくなったそうじゃないか。」
そう。レオンが毎日漏れた魔力を中和して私に戻してくれるので、魔力が自分に馴染むのが分かるのだ。
レオンは魔法に関してとてもセンスがあり、覚えが早かったため、イライジャも驚いているほどだった。
もう全部の魔力が中和され、2人がそばに居なくても大丈夫になった。
念のためということで、イライジャは出産までは王宮にいるらしい。そしてレオンは溜まった書類整理に追われている。
殆どはウィルの手によって捌かれたらしいが、王太子でなければいけない書類は山積みらしい。
「本当、レオンがいてくれて良かったわ。」
「そうだな。最初はリリィを幸せにできるのは俺しかいないと思ってたんだがな。」
衝撃的な発言に私はすぐに食いついた。
「え?どういうこと?ティオラを好きだったのでしょう?」
「ああ。元々ティオラのことを好いていたが、リリィから離れるつもりはなかったんだ。
ティオラには想いをつけずに、俺がずっとリリィのそばで力を抑えていこうと本気で思っていた。
酷い話だが、実際にそう思っていたんだ。
だから殿下の運命とリリィの運命が繋がっていると分かった時は少し戸惑ったよ。」
「本当、沢山悩ませていたのね。ごめんなさい。」
「ふっ。いいんだ。リリィの騎士はなんだかんだ楽しめたよ。」
「まぁ!どういうことかしら!」
何だか私がお転婆だと言われているような気がして怒ったが、すぐに2人で笑い合った。
「リリィ。幸せになれ。それが私の願いだ。」
「ありがとう。ウィル。でも、前にも言ったけど、私もウィルには幸せになってほしいと思っているのよ?」
「…言っただろう。私はリリィが王妃になるまでは身を固めない。それを見届けたらその後は…。」
「ふふっ。楽しみにしているわ。ウィル兄様。」
「リリィ。私は義理の弟になるのであって、兄になるのでは…」
ハッとしたウィルがどんどん赤面していくと私は嬉しくなった。
「ちゃんとティオラのことも考えてくれているのね。」
「…ったく。当たり前だろう。
お前たちに言うとティオラに筒抜けになってしまうから言いたくなかったんだ。」
ティオラは心を読むことができる。
それは打ち消しの力を持つウィルには効かないが、私には効いてしまうため、用心しなければウィルのプロポーズを台無しにしかね無い。本当に気をつけよう。
「そういえば、どうしてウィルの心は読めないのにイゼイヤ様の心は読むことができたのかしら。」
「それはイゼイヤ様が打ち消しの力を使っていなかったというだけだ。
私はティオラがいる時は常に心を読まれ無いように気を付けていたからな。」
「あー、なるほど。気を抜いていたらティオラが好きだとすぐにバレていたかもしれないのね。」
「恐ろしいことを言うんじゃない。
ティオラが好きなのにリリィを養っていこうと思っている。なんてバレたらとんでもないだろう。
それに。自分の口から伝えなければ意味がないんだよ。」
「…ええ。本当、私も学んだわ。」
口に出さなければ伝わらない。
好きだという気持ちも、
不安だという気持ちも、
伝えてこその気持ちなのだ。
レオンと互いに心を通わせ、素敵な親としてこの子の見本でありたい。
「この子に幸せな人生を歩んで欲しいわ。」
「リリィがそう願うのであればきっとそんな人生を歩めるだろう。リリィは想いの力を持っているのだから。」
「ふふっ。そうなってくれたら素敵だわ。」
「ああ。」
「……っ。」
「どうした。リリィ?」
「朝から少しお腹が痛かったのだけれど、なんだか痛みが強まってきて…
うぅ…っ。」
「っ。すぐレオンと医者を呼んでくる。」
そう告げてウィルは部屋から出て行った。
そう言ってお腹を撫でるのはウィルだ。
「ふふっ。もういつ産まれても良いんですって。」
「イライジャとレオンの連携でだいぶ魔力も漏れなくなったそうじゃないか。」
そう。レオンが毎日漏れた魔力を中和して私に戻してくれるので、魔力が自分に馴染むのが分かるのだ。
レオンは魔法に関してとてもセンスがあり、覚えが早かったため、イライジャも驚いているほどだった。
もう全部の魔力が中和され、2人がそばに居なくても大丈夫になった。
念のためということで、イライジャは出産までは王宮にいるらしい。そしてレオンは溜まった書類整理に追われている。
殆どはウィルの手によって捌かれたらしいが、王太子でなければいけない書類は山積みらしい。
「本当、レオンがいてくれて良かったわ。」
「そうだな。最初はリリィを幸せにできるのは俺しかいないと思ってたんだがな。」
衝撃的な発言に私はすぐに食いついた。
「え?どういうこと?ティオラを好きだったのでしょう?」
「ああ。元々ティオラのことを好いていたが、リリィから離れるつもりはなかったんだ。
ティオラには想いをつけずに、俺がずっとリリィのそばで力を抑えていこうと本気で思っていた。
酷い話だが、実際にそう思っていたんだ。
だから殿下の運命とリリィの運命が繋がっていると分かった時は少し戸惑ったよ。」
「本当、沢山悩ませていたのね。ごめんなさい。」
「ふっ。いいんだ。リリィの騎士はなんだかんだ楽しめたよ。」
「まぁ!どういうことかしら!」
何だか私がお転婆だと言われているような気がして怒ったが、すぐに2人で笑い合った。
「リリィ。幸せになれ。それが私の願いだ。」
「ありがとう。ウィル。でも、前にも言ったけど、私もウィルには幸せになってほしいと思っているのよ?」
「…言っただろう。私はリリィが王妃になるまでは身を固めない。それを見届けたらその後は…。」
「ふふっ。楽しみにしているわ。ウィル兄様。」
「リリィ。私は義理の弟になるのであって、兄になるのでは…」
ハッとしたウィルがどんどん赤面していくと私は嬉しくなった。
「ちゃんとティオラのことも考えてくれているのね。」
「…ったく。当たり前だろう。
お前たちに言うとティオラに筒抜けになってしまうから言いたくなかったんだ。」
ティオラは心を読むことができる。
それは打ち消しの力を持つウィルには効かないが、私には効いてしまうため、用心しなければウィルのプロポーズを台無しにしかね無い。本当に気をつけよう。
「そういえば、どうしてウィルの心は読めないのにイゼイヤ様の心は読むことができたのかしら。」
「それはイゼイヤ様が打ち消しの力を使っていなかったというだけだ。
私はティオラがいる時は常に心を読まれ無いように気を付けていたからな。」
「あー、なるほど。気を抜いていたらティオラが好きだとすぐにバレていたかもしれないのね。」
「恐ろしいことを言うんじゃない。
ティオラが好きなのにリリィを養っていこうと思っている。なんてバレたらとんでもないだろう。
それに。自分の口から伝えなければ意味がないんだよ。」
「…ええ。本当、私も学んだわ。」
口に出さなければ伝わらない。
好きだという気持ちも、
不安だという気持ちも、
伝えてこその気持ちなのだ。
レオンと互いに心を通わせ、素敵な親としてこの子の見本でありたい。
「この子に幸せな人生を歩んで欲しいわ。」
「リリィがそう願うのであればきっとそんな人生を歩めるだろう。リリィは想いの力を持っているのだから。」
「ふふっ。そうなってくれたら素敵だわ。」
「ああ。」
「……っ。」
「どうした。リリィ?」
「朝から少しお腹が痛かったのだけれど、なんだか痛みが強まってきて…
うぅ…っ。」
「っ。すぐレオンと医者を呼んでくる。」
そう告げてウィルは部屋から出て行った。
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