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嫉妬
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あれからなんだかんだで2日が過ぎた。
昨日の夕方に前倒しした分の執務を終えることができ、今日はヴィクトリア様と2人で街へ出かけることになった。
俺は街で浮かない様に私服に着替え、腰には念のために剣を挿す。
コンコン。
「ゼノね。入って良いわよ。」
「失礼します。
おはようございます、ヴィクトリア様。」
礼をして顔を上げると、そこには茶髪の女性がいた。
「…ヴィクトリア様?」
いつもと違う茶色の髪を束ね、薄いメイクを施しているが、きっとヴィクトリア様だろうと分かった。
「シャノン。
ゼノにはすぐバレてしまったわよ。
これで街に出たらすぐに分かるのではないかしら?」
「……いいえ。
ゼノのヴィクトリア様に対する勘が鋭過ぎるだけです。一見普通の町娘ですので、安心してください。」
「そう?なら良いのだけれど。」
すぐに気付いてはいけなかったのだと思い、俺は口を噤む。するとシャノン卿が口を開いた。
「ゼノ。今日はヴィーをヴィクトリア様として扱わない様に。
ヴィクトリア様だとバレてしまえば、街で騒ぎになってしまうからな。分かったね?」
ヴィクトリア様が街を歩けば目立ってしまう。だから変装をしているのだ。
自分も目立たない様に私服を着ているのだから、ヴィクトリア様が変装するのも当たり前だと思った。
「分かりました。」
「それと、街ではヴィクトリアの名も出してはいけない。今日は…」
「リア。リアって呼んで?」
ニッコリと笑い、シャノン卿の後ろから顔を出した彼女は可愛かった。
「よし、では準備が整ったから行ってくるといい。ゼノ。ヴィーを頼んだ。」
「はい。かしこまりました。」
俺は胸に手を当てて礼をした。
人目の付かない場所で馬車から降り、街を歩く。
「リア。手を。」
リアはニッコリと笑い、手を重ねてくれた。俺は自分の手にそっと重なる柔らかな手をクルリと繋ぎ直した。
「申し訳ございません。街ではこの繋ぎ方の方が目立ちませんので。」
耳元でこっそりと伝えるとコクコクと頷いてくれた。
街中でヴィクトリア様と手を繋いで歩ける日が来るなんてと思いながら、リアの横顔を盗み見た。
「街中を歩けるなんて嬉しいわ。」
ルンルンと足取りが軽いリアはキョロキョロと店を見渡している。
「今日はどこに行くのかしら?」
「もう少し行ったところのお店でランチを買って、公園で食べようかと思うのです。」
「それは素敵ね。
…でもゼノ。あなたの言葉遣い、崩さないと怪しまれてしまうわ。もっと友人のようにしてくれないと…。」
こっそりと話すのに顔を近付けてくるリアにドキッとした。
「っ。すみま…。
わ、悪い。気をつけるよ。」
そう言うと彼女はニッコリと笑ってくれた。
「ここの店はよく通っていたんだ。」
「パーニス?」
「ああ。パン屋だ。」
カランと鈴がなり、ドアを開くと懐かしい顔があった。
「おや、ゼノじゃないか。見ないうちにまた格好良くなって。」
ニコニコと俺を迎え入れたのは店主のラムリおばさん。通称パニさん。
「パニさん。久しぶり。テイクアウトしたいんだ。」
にこやかにそう告げ、パンを選ぼうとガラスケースを眺めた。
パーニスには幼い頃からお世話になっている。安くて美味しい、そのためほぼ毎日、ここのパンを食べていたのだ。
「あらまあ、随分と可愛い子とデートしているんだね。町の娘たちが知ったら大騒ぎだろうに。」
ニコニコと笑いながら余計なことを口から滑らせるパニさんに俺はハラハラする。
「ゼノはモテるのですか?」
「モテるなんてもんじゃないさ。
あまり喋らないが、イケメンで優しい。その上強くて頼りになるのだからね。
取っ替え引っ替えさ。」
「パニさん…」
取っ替え引っ替えなんてしたことなどない。絶賛片想い中なのだから、本人相手に余計なことを言わないでくれと視線を送る。
「でもね、いくら町娘に囲まれてチヤホヤされてもゼノは一途なんだ。もう5年くらいになるのかな?」
ニタニタと俺の片想い相手に想いをバラしていく。
「っ。パニさん。ここのパン1個ずつ入れて。あとアレも。」
とにかくリアからパニさんを引き離そうと多めに注文をして会計を済ませた。
「はいよ。また来ておくれよ。
お嬢ちゃん。ゼノの報われない片想いを止めさせられるように頑張るんだよ。応援してるからね!」
「…うふふっ。」
明らかに勘違いをしているパニさんと、とりあえず話を合わせるリア様は何だか見ていられないので、すぐに店を出て、歩き出す。
「ゼノがモテることにどうして気づかなかったのかしら。」
「まあ、モテると言ってもきっとリアが考えているほどモテてはいないよ。
それに、シャノン卿の方が格段に人気があるぞ。」
「そうなの?
…ゼノの良さを分かってもらえるのは嬉しいのに、なんだかモヤモヤするわ。」
それはヤキモチというものなのだろうか。期待してしまう気持ちを抑えるようにギュッと手を握った。
「…ゼノに想われている女性が羨ましい。」
ボソッと呟いたリアの声は俺には届かなかった。
それから俺たちは今街で流行っているというフルーツスムージーを購入して公園に着いた。
「わぁ。素敵な場所ね。」
「よくここで昼寝をしていたんだ。」
訓練後はここに立ち寄って寝るかボーッと過ごしていたことを話す。特に木陰はあまり人が通らない為最適だったのだ。
「ふふっ。素敵な過ごし方だわ。」
流石に木陰にリアを連れ込む訳にもいかず、ベンチに座って袋を開けた。
「どのパンがオススメなの?」
「俺の好きなパンばかりだよ。」
咄嗟に俺と表現してしまったことに口を抑えた。
「初めて聞いたわ。ゼノの一人称は俺だったのね。なんだかドキッとしたわ。」
「流石に仕事の時は気を付けているんだけど。野蛮っぽくて怖くないか?」
「いいえ。怖いだなんて。むしろ普段見れないゼノを知れて嬉しいわ。」
そう言って笑っていた。
「ふっ。ありがとう、リア。」
そう言ってリアの頭を撫でる。
するとリアの顔がみるみるうちに赤くなっていった。
「ゼノ。今日は…」
「あっれー?ゼノ⁈」
名前を呼ばれて視線を移す。
「げっ。」
紫の髪に切れ長の目をした幼馴染のルーアがいた。
「ルーア…」
今日は会いたくなかったと心から思う。
頭を押さえ、なぜ会ってしまったんだと後悔した。
特にリアとは会わせたくなかったのだ。
「つれないなぁ。休みならそう言ってくれればデートの1つや2つ、してやったのに。」
ニカっと笑った彼女は俺の肩を抱き、あははと笑っていた。
「ふざけるな。お前と出かけるくらいなら休みなんていらない。」
「ったく。私の美貌に靡かないのはゼノくらい…ん?だぁれ?この子は。」
ジッとリアを見つめられ、ヤバいと焦る。勘のいいルーアならリアがヴィクトリア様だと気付きかねない。
「そんなに見るな。リアに失礼だろう。」
リアを庇うように前に立つと、ルーアはニヤリと笑った。
「リアちゃんって言うのね。
…もしかしてゼノを狙っているのかしら?悪いことは言わないから止めときなさい。
どれだけの女の子が泣いてきたことか…」
「おい。余計なことを言うな。」
ヴィクトリア様だと気付かれはしなかったものの、余計な一言に俺は黙っていられなかった。
むしろリアが俺を狙っていてくれれば万万歳なのだから応援してほしいくらいだ。
「ゼノは一途だから誰とも付き合わないわよ。上手くやれば私みたいに一夜くらいは…」
そこまで言われて俺は持っていたパンをルーアの口に突っ込んだ。
「俺はリアと過ごしたいんだ。分かったらそれやるから帰れ。」
低い声でそう言うと、ルーアははいはいと歩いて行った。
俺は誰ともしたことはない。
長い片想いの相手の前で話す冗談にしては悪意があると苛立った。
「…。」
「リア。さっきのは…」
誤解だと言おうとして阻まれた。
リアはスッと立ち上がり、お手洗いに行くとその場を離れた。
俺は仕方なくその場で待つことになったが、リアが戻ってこないのだ。
平日の今、トイレが混むわけがないと不安になる。
俺は咄嗟に自分の影に魔法をかけて5つに散りばめた。
リアに何かあったのかもしれない。
トイレまで付いて行けばよかったと考える余裕もなかった。
「…見つけた。」
俺の魔力によって動いている影はリアを見つけたようだ。
北か。公園の北側はあまり整備されておらず、人目もあまりない。
俺は急いでリアのところへと向かった。
___________
私はゼノから離れ、痛む胸を押さえた。
「あれ、お嬢ちゃん可愛いねえ。」
すると不意に声をかけられた。
私は足早にゼノの元へと戻ろうとしたが、男3人に囲われてしまえば身動きが取れなくなってしまった。
「ふへへ。今回は当たりだな。」
ニタニタとする男に顔を掴まれ、男の方を向かせられた。
「1人で歩いていたら危ないんだぜ。」
私の腕をしっかりと掴んでいる男はなぜか息が上がっている。
「ここまで来れば邪魔は入らねぇさ。」
そう言って木に押し付けられた私は、血の気が引くのが分かった。
怖い。
私がゼノから離れたばっかりに…
ゼノ…
ごめんなさい。
助けて…。
涙を流しながらそう心の中で思うと同時に、私は意識を手放した。
昨日の夕方に前倒しした分の執務を終えることができ、今日はヴィクトリア様と2人で街へ出かけることになった。
俺は街で浮かない様に私服に着替え、腰には念のために剣を挿す。
コンコン。
「ゼノね。入って良いわよ。」
「失礼します。
おはようございます、ヴィクトリア様。」
礼をして顔を上げると、そこには茶髪の女性がいた。
「…ヴィクトリア様?」
いつもと違う茶色の髪を束ね、薄いメイクを施しているが、きっとヴィクトリア様だろうと分かった。
「シャノン。
ゼノにはすぐバレてしまったわよ。
これで街に出たらすぐに分かるのではないかしら?」
「……いいえ。
ゼノのヴィクトリア様に対する勘が鋭過ぎるだけです。一見普通の町娘ですので、安心してください。」
「そう?なら良いのだけれど。」
すぐに気付いてはいけなかったのだと思い、俺は口を噤む。するとシャノン卿が口を開いた。
「ゼノ。今日はヴィーをヴィクトリア様として扱わない様に。
ヴィクトリア様だとバレてしまえば、街で騒ぎになってしまうからな。分かったね?」
ヴィクトリア様が街を歩けば目立ってしまう。だから変装をしているのだ。
自分も目立たない様に私服を着ているのだから、ヴィクトリア様が変装するのも当たり前だと思った。
「分かりました。」
「それと、街ではヴィクトリアの名も出してはいけない。今日は…」
「リア。リアって呼んで?」
ニッコリと笑い、シャノン卿の後ろから顔を出した彼女は可愛かった。
「よし、では準備が整ったから行ってくるといい。ゼノ。ヴィーを頼んだ。」
「はい。かしこまりました。」
俺は胸に手を当てて礼をした。
人目の付かない場所で馬車から降り、街を歩く。
「リア。手を。」
リアはニッコリと笑い、手を重ねてくれた。俺は自分の手にそっと重なる柔らかな手をクルリと繋ぎ直した。
「申し訳ございません。街ではこの繋ぎ方の方が目立ちませんので。」
耳元でこっそりと伝えるとコクコクと頷いてくれた。
街中でヴィクトリア様と手を繋いで歩ける日が来るなんてと思いながら、リアの横顔を盗み見た。
「街中を歩けるなんて嬉しいわ。」
ルンルンと足取りが軽いリアはキョロキョロと店を見渡している。
「今日はどこに行くのかしら?」
「もう少し行ったところのお店でランチを買って、公園で食べようかと思うのです。」
「それは素敵ね。
…でもゼノ。あなたの言葉遣い、崩さないと怪しまれてしまうわ。もっと友人のようにしてくれないと…。」
こっそりと話すのに顔を近付けてくるリアにドキッとした。
「っ。すみま…。
わ、悪い。気をつけるよ。」
そう言うと彼女はニッコリと笑ってくれた。
「ここの店はよく通っていたんだ。」
「パーニス?」
「ああ。パン屋だ。」
カランと鈴がなり、ドアを開くと懐かしい顔があった。
「おや、ゼノじゃないか。見ないうちにまた格好良くなって。」
ニコニコと俺を迎え入れたのは店主のラムリおばさん。通称パニさん。
「パニさん。久しぶり。テイクアウトしたいんだ。」
にこやかにそう告げ、パンを選ぼうとガラスケースを眺めた。
パーニスには幼い頃からお世話になっている。安くて美味しい、そのためほぼ毎日、ここのパンを食べていたのだ。
「あらまあ、随分と可愛い子とデートしているんだね。町の娘たちが知ったら大騒ぎだろうに。」
ニコニコと笑いながら余計なことを口から滑らせるパニさんに俺はハラハラする。
「ゼノはモテるのですか?」
「モテるなんてもんじゃないさ。
あまり喋らないが、イケメンで優しい。その上強くて頼りになるのだからね。
取っ替え引っ替えさ。」
「パニさん…」
取っ替え引っ替えなんてしたことなどない。絶賛片想い中なのだから、本人相手に余計なことを言わないでくれと視線を送る。
「でもね、いくら町娘に囲まれてチヤホヤされてもゼノは一途なんだ。もう5年くらいになるのかな?」
ニタニタと俺の片想い相手に想いをバラしていく。
「っ。パニさん。ここのパン1個ずつ入れて。あとアレも。」
とにかくリアからパニさんを引き離そうと多めに注文をして会計を済ませた。
「はいよ。また来ておくれよ。
お嬢ちゃん。ゼノの報われない片想いを止めさせられるように頑張るんだよ。応援してるからね!」
「…うふふっ。」
明らかに勘違いをしているパニさんと、とりあえず話を合わせるリア様は何だか見ていられないので、すぐに店を出て、歩き出す。
「ゼノがモテることにどうして気づかなかったのかしら。」
「まあ、モテると言ってもきっとリアが考えているほどモテてはいないよ。
それに、シャノン卿の方が格段に人気があるぞ。」
「そうなの?
…ゼノの良さを分かってもらえるのは嬉しいのに、なんだかモヤモヤするわ。」
それはヤキモチというものなのだろうか。期待してしまう気持ちを抑えるようにギュッと手を握った。
「…ゼノに想われている女性が羨ましい。」
ボソッと呟いたリアの声は俺には届かなかった。
それから俺たちは今街で流行っているというフルーツスムージーを購入して公園に着いた。
「わぁ。素敵な場所ね。」
「よくここで昼寝をしていたんだ。」
訓練後はここに立ち寄って寝るかボーッと過ごしていたことを話す。特に木陰はあまり人が通らない為最適だったのだ。
「ふふっ。素敵な過ごし方だわ。」
流石に木陰にリアを連れ込む訳にもいかず、ベンチに座って袋を開けた。
「どのパンがオススメなの?」
「俺の好きなパンばかりだよ。」
咄嗟に俺と表現してしまったことに口を抑えた。
「初めて聞いたわ。ゼノの一人称は俺だったのね。なんだかドキッとしたわ。」
「流石に仕事の時は気を付けているんだけど。野蛮っぽくて怖くないか?」
「いいえ。怖いだなんて。むしろ普段見れないゼノを知れて嬉しいわ。」
そう言って笑っていた。
「ふっ。ありがとう、リア。」
そう言ってリアの頭を撫でる。
するとリアの顔がみるみるうちに赤くなっていった。
「ゼノ。今日は…」
「あっれー?ゼノ⁈」
名前を呼ばれて視線を移す。
「げっ。」
紫の髪に切れ長の目をした幼馴染のルーアがいた。
「ルーア…」
今日は会いたくなかったと心から思う。
頭を押さえ、なぜ会ってしまったんだと後悔した。
特にリアとは会わせたくなかったのだ。
「つれないなぁ。休みならそう言ってくれればデートの1つや2つ、してやったのに。」
ニカっと笑った彼女は俺の肩を抱き、あははと笑っていた。
「ふざけるな。お前と出かけるくらいなら休みなんていらない。」
「ったく。私の美貌に靡かないのはゼノくらい…ん?だぁれ?この子は。」
ジッとリアを見つめられ、ヤバいと焦る。勘のいいルーアならリアがヴィクトリア様だと気付きかねない。
「そんなに見るな。リアに失礼だろう。」
リアを庇うように前に立つと、ルーアはニヤリと笑った。
「リアちゃんって言うのね。
…もしかしてゼノを狙っているのかしら?悪いことは言わないから止めときなさい。
どれだけの女の子が泣いてきたことか…」
「おい。余計なことを言うな。」
ヴィクトリア様だと気付かれはしなかったものの、余計な一言に俺は黙っていられなかった。
むしろリアが俺を狙っていてくれれば万万歳なのだから応援してほしいくらいだ。
「ゼノは一途だから誰とも付き合わないわよ。上手くやれば私みたいに一夜くらいは…」
そこまで言われて俺は持っていたパンをルーアの口に突っ込んだ。
「俺はリアと過ごしたいんだ。分かったらそれやるから帰れ。」
低い声でそう言うと、ルーアははいはいと歩いて行った。
俺は誰ともしたことはない。
長い片想いの相手の前で話す冗談にしては悪意があると苛立った。
「…。」
「リア。さっきのは…」
誤解だと言おうとして阻まれた。
リアはスッと立ち上がり、お手洗いに行くとその場を離れた。
俺は仕方なくその場で待つことになったが、リアが戻ってこないのだ。
平日の今、トイレが混むわけがないと不安になる。
俺は咄嗟に自分の影に魔法をかけて5つに散りばめた。
リアに何かあったのかもしれない。
トイレまで付いて行けばよかったと考える余裕もなかった。
「…見つけた。」
俺の魔力によって動いている影はリアを見つけたようだ。
北か。公園の北側はあまり整備されておらず、人目もあまりない。
俺は急いでリアのところへと向かった。
___________
私はゼノから離れ、痛む胸を押さえた。
「あれ、お嬢ちゃん可愛いねえ。」
すると不意に声をかけられた。
私は足早にゼノの元へと戻ろうとしたが、男3人に囲われてしまえば身動きが取れなくなってしまった。
「ふへへ。今回は当たりだな。」
ニタニタとする男に顔を掴まれ、男の方を向かせられた。
「1人で歩いていたら危ないんだぜ。」
私の腕をしっかりと掴んでいる男はなぜか息が上がっている。
「ここまで来れば邪魔は入らねぇさ。」
そう言って木に押し付けられた私は、血の気が引くのが分かった。
怖い。
私がゼノから離れたばっかりに…
ゼノ…
ごめんなさい。
助けて…。
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