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できること②グリニエル目線
しおりを挟むグリニエル目線
パーティーから丸三日が経つ。
あれから私は執務をすることはできず、基礎的な知識を補うために読書の日々を過ごしている。
執務室にいては仕事の話を持ってこられてしまうからと、離れた静かな一室で過ごしているのだが、少しケインシュアには申しわけない。
私に持ってこられた仕事はケインシュアが分け、ケインシュアでも捌ける物は彼が行い、それ以外はブルレギアスに持ち越される。
みんながとても慌ただしく過ごす中、何もできない自分が苦しい。
しかし、自分にできることは知識を取り入れることだけだと奮い立たせるしかない。
ここからは中庭が見え、3日続けてその場所を訪れるエミレィナを見ていると、なんだか少し心が和らぐのが救いだ。
「…今日も来たのか…。」
何をするわけでもなく、ただ地べたへと座り過ごす彼女は、何を考えているのだろうか。
彼女は毎日眠りこけてしまうまでそこで過ごし、しばらくすると側近のルキアという者が彼女を抱き抱えて立ち去る。
その姿を、私は3日続けて見ていると、思うこともある。
「そんなに眠いなら部屋にいればいいものを…」
なぜここに出てくるのか。
きっと今日も眠りこけて運ばれるのだろう。
そう思って彼女に目をやると、何やら今までと違う様子があった。
「猫か…?」
膝には銀色の毛色をした猫を乗せ、一緒に陽を浴びている。
珍しい毛色のそれは随分と綺麗で、すぐに飼い猫だろうと思った。
「……。」
いつまで見ていても飽きない。
しかし何故か胸がザワザワとした。
「微笑ましいはずなのに、何故こんなにイライラするのだ…。」
最初、私と想い合っている娘だと言われた時は、その胸の痛みのせいで彼女を受け入れたくない一心で酷いことを言った。
しかし、いざパーティーで話してみれば、とても謙虚で真っ直ぐで、私は彼女が悪いものではないということに気づいた。
こうやって毎日見ているうちに、私は彼女を見るのが、少し楽しみになったような気もする。
まあ、ドキドキという感情は無いが、私自身が彼女に嫌悪感を抱いていなかったことは確かだろう。
私はそのまま本を読み進め、お昼に差し掛かる時間になると、ふと彼女が気になって目をやった。
いつもこの時間には眠りこけて抱き抱えられていくのだ。今日も同じなのだろうか。
そう思って目をやった。
「っ!」
彼女を見るのと同時くらい。
彼女の膝から降りた猫が姿を変え、彼女専属の側近になったのを見た。
その瞬間、私はその中庭へと急いだ。
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