脚フェチ王子の溺愛 R18

彩葉ヨウ(いろはヨウ)

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小話

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小話①グリニエル




扉が閉まったのは確かに見届けた。
しかし私は、数秒前の衝撃で、エミリーを部屋に帰してしまったのだ。


そうそれは、
あまりにも可愛らしく笑うエミリーの顔。
そしてあまりにも愛おしそうに私を見つめるその眼差しと、柔らかな手のひらに、私は息をするのも忘れて惚けたのが原因だ。



「~~っ…!」


ぶわっと私の胸の内で大きくなる気持ちは、早くエミリーを自分のものにしたいという独占欲。




先程エミリーと一緒に過ごそうとしたのだが、それは失敗してしまった。

想いが通じ合ったことに舞い上がり、あまりにも急きすぎたと思う。あの時のエミリーの困り顔は可愛…いや、本当に困惑しているようだった。


初めてではないとはいえ、やはり急ではいけなかったのだろう。いや、なんなら、隣で眠るだけでもいいから帰すべきではなかったかもしれない。



ただ私の腕の中で眠ってくれるだけで、私は満たされる。




……嘘ではない。





繋がりたいと思うのは事実だが、あまりにも急いて嫌われることだけは避けなければならない。

やっと実ったこの想いは大切にしなければならないと思うのだ。エミリーが決心できるまで気長に待とうじゃないか。

この10年の片想いに比べれば大した長さじゃない。



私はにやけるその顔を片手で押さえつつ、ベッドへと座る。


明日、又は明後日には、エミリーが私の恋人であると周りに見せつけることができる。


互いに付けたピアスは、互いが近付くことで輝きを増す。それを見れば彼女に近付く男など出てこないだろう。


「……早く正式に婚約したいものだ。」




ポッと出た本音に、私はカァァっと赤くなる。

「早く起きてエミリーと過ごそう…。」


そうしてベッドへと入り、目を瞑る。



エミリーと過ごす妄想は、時間の限りを尽くしたが、夢にまでは出てきてはくれなかった。

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