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オークション3

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20年前、ジョルジュワーン。
その世はまだ魔物や魔族が蔓延っており、不安定なものだった。


その世界を整えるべく、聖女として神に選ばれたのは、ヴィサレンス帝国の第3継承権を持つ、第2皇女レティシアーナ・ヴィサレンスだ。

その者と共に世界の秩序を正す為、各国からは強者が集められ、旅をして回った。


そうして無事に魔族の浄化を行い、レティシアーナは役目を全うする事ができた後、勇者であったアルフレッド様と結ばれ、エミレィナを授かった…

というところまでは、神殿に仕えるジークロウザに教えてもらった通りだったよ。」




「しかし、彼女には問題があった。

それは、勇者に選んだ者との子を授かることは、神に許されてはいないことだということだ。

つまり、聖女と勇者は惹かれあってはならないもので、それを揺るがせば、聖女の命は3日と持たないと言い伝えられていたそうだ。


そしてそれを知った父上は、彼女を説得しようと何度も手紙を出していたようだよ。」


聖女の力を欲していた為にレティシアーナを死なせたくなかった。そう思うにしては、彼は随分とレティシアーナに拘りを見せている。

これ程になるまでに彼女の死を引きずるのは不自然な気がしてならなかったのだ。


するとまた部屋の扉が開き、隊長と隊長の手によって拘束された先程の従者、そしてサターシャが入ってきた。

サターシャは私の元へと駆け寄り、ブルレギアス様の保護魔法が解けた私に解剤を打つ。


すると、その中で隊長が口を開いた。

「…どうやらそれだけじゃないらしいがな。」



そう言って捕らえている男の背をトンっと押し、話すように促すと、今度はその男が話し始めた。



「っ……陛下は…心からレティシアーナ様を愛してらっしゃいました。



…勇者と共になることで、命が尽きてしまうくらいなら、私の元へ来いと言っても、王妃様がいるからと何度も断られ、何か彼女を救う手立てや方法はないものかと奔走されておりました。

レティシアーナ様はどんな誘いも願いも拒み続け、レティシアーナ様はどんどんアルフレッド様に想いを熱くするばかりでした。


そしてついに、出産後3日で命を落とされたのです。




それからというもの、陛下はその娘であるエミレィナ様を大層可愛がり、将来は自分の子と結婚させるとお決めになられました。」




「日を追うごとに、エミレィナ様はこの王宮から出ることを計画し、ブルレギアス様には何度も婚約を急くようにと声を掛けるようになりました。


それなのに、2人の距離は一向に縮まることはなく、陛下はどんどん不安に飲み込まれていきまして……

そんな時です。
陛下の元に、薬師がやってきました。
その者は不安がなくなる薬と称して陛下に薬を渡し、そのまま姿を消したのです。

初めは何の違和感も持たずに使っておりました。
しかし、ある時、ずっとレティシアーナ様の名前を口にするようになり、私は陛下に気を取り戻してもらう為に。と人身売買の組織に目を向けました。

ヴィサレンスの女が入ったら真っ先に連れてこい。そう言って取引をしたのです。
その血を持つものが陛下の前に現れてくれれば、また以前のように戻ってくれると本気で思っておりました。」





そもそも、陛下は愛した人を目の前で無くした悲しみに耐え、私とブルレギアス様の婚約がまとまらなかったことを引き金に、彼は麻薬に飲まれてしまった。ということだ。



「…どうして私たちに何を知らせなかったんだ。そうすれば解剤だってすぐに研究する事ができたかもしれないというのに。」

ずっと黙っていたグリニエル様は、その身勝手な話を聞いてその男を責めた。


「…申し訳、ございません。
レティシアーナ様への想いは秘密事項とされておりまして、訳を話すにはどうも…。」

つまり国王陛下に止められていたのだろう。
忠誠心の高すぎる事が災いしたということだ。



私はサターシャに手足に付けられていた枷を外してもらい、ゆっくりと起き上がる。

陛下はまだ幻覚を見ているらしく、私を見ながらも何度も母の名を読んでいた。



「陛下。サターシャの作った解剤をお飲みください。時間は掛かりますが、きっと以前のように戻れることでしょう。」

陛下にそう言い、近づくのはブルレギアス様だ。体内に染み込んだ麻薬は、注射だけでは
解毒する事ができない。その為、錠剤の薬が握られていた。

「陛下。口を開けてください。これを飲めばもう楽になる事ができます。」


薬を飲めばレティシアーナの幻覚に惑わされ、苦しむことはなくなる。そうして渡した薬だったが、陛下はそれを手で払った。


「っ。」


パシンっと音を立てて払った手からは薬が落ち、陛下は少し震えていた。


「…レティと会えなくなるのは嫌なんだ。私は苦しくとも彼女と共にありたい…。」

よほど母を好きだったのだろう。彼はどうしてもその薬を飲もうとはしなかった。


「…サターシャ。薬を頂戴。」

私はまだ力が入りきらない足を奮い立たせ、その足で陛下の元へと歩み寄った。
そうして彼の前に座り込み、視線を合わせると、にっこりと微笑む。

「レティ……。」


「…。私は苦しむあなたを見たくないわ。あなたがいてくれたから、は自分の意思を通し、安心して子を託す事ができたのです。
私のことを想ってくれてありがとう。

だから、もう。終わりにしましょう…。」


母の正解はわからないままにそう言い、陛下の口に薬を入れてやる。

そうしてまたにっこりと微笑むと、彼の瞳からは涙が溢れた。


「レ、ティ…。」

目の前にいる男は、一国の王の姿ではなく、ただ1人の男としての姿だった。


一途に人を愛し、その人を失ってもなお、その人を思うというのは、恋心を知らない私には分からないものだった。





「エミリー!」

座り込む私に駆け寄ってきたのは、グリニエル様だ。
とても心配そうに顔を覗きこまれ、まだ薬の抜け切れていない私は、先程のように彼に甘えたくて仕方がなくなった。


「エル義兄さま…。」

彼の顔を見た途端に熱が振り返し、私は彼に手を伸ばす。そうして彼の胸に収まれば、その胸にスリスリと顔を擦り付けた。


「エ、エミリー?」





当たり前だがグリニエル様は混乱している。

日頃甘えることなどしない私が、急に人前でくっついてきたことで、彼は石のように固まってしまった。






「あらあら、エミリーの欲望は殿下に対する甘え、だったみたいネ。
さっき解毒は済んだから、もう別の部屋で休んでも大丈夫よ。あとは抜けるのを待つだけだかラ。」



陛下の介抱を始めていたサターシャにそう言われ、グリニエル様は私を横抱きに抱き上げる。

そうして従者は隊長、陛下はサターシャとブルレギアス様に頼み、その場を後にした。








________

私が連れてこられたのは、ついこの間まで使っていた元私の部屋だ。


ローザが部屋の用意を整えて、さらには軽食までもを並べていてくれた。
きっと殿下かブルレギアス様がローザに声をかけていてくれたのだろう。


「ローザ。あとは用があるときに呼ぶよ。少し休んでいてくれ。」


急に頼んだ仕事だった為、用がない限りは休んでいてもらいたい。その私の気持ちを分かってくれる殿下は、私の代わりにローザに伝えてくれた。

ローザは私たちに一礼し、殿下に横抱きされる私に優しく微笑んだあと、そのまま部屋から出て行った。




普段の私なら、恥ずかしさでどうにかなりそうなことなのだが、今の私はまだ彼に甘えていたい欲で満たされている為、ローザの視線など痛くも痒くもない。



「まさかエミリーの欲が私に対しての甘えだとは思ってもいなかったよ。」

そう言いながら私を席に座らせようとする彼の首に、私はがっしりと腕を回す。


「ぅおっ…エ、エミリー。そんなにくっついていたら食べられないだろう?少し何か食べるといい。」






「…後で食べます。今はこうしていたいのです。殿下が代わりにお召し上がりください。」


私がそう言って彼を見上げると、彼はウッと小さく声を漏らした。


「それとも、このままだと迷惑でしょうか…?」

「そ、そんなことはないぞ。
好きなだけ甘えるといい…
だが私は今胸がいっぱいで食べられそうにないからな……まあ。それはいい。
本当に食べなくとも平気かい?
なんなら私が食べさせて…。」

「いいのですか?」


私はその言葉を待っていたかのように被せ気味にそう言った後、近くにあった椅子を引き寄せ、ぴったりと隣り合うように準備をする。

そうしてすぐにあーんと口を開けて待った。

「っ。」



彼は自分から言ってきたことだというのに一瞬動きを止めた。かと思えばサンドイッチに手を伸ばし、私に食べさせてくれるのだ。


その時間は、ここ最近の私の出来事の中で1番と言ってもいいほどに幸せな時間だった。
陛下がこの麻薬にハマってしまう理由がなんとなくだが分かる。


私の場合は本人に満たしてもらう事ができるが、陛下は幻覚にを通して満たされていた事だろう。

私は解剤を投与してもらった為、もうすぐ薬が抜け切る事ができるが、陛下は長い時間麻薬に手を染めていた為、薬を出し切る為にはもっと時間がかかると予想される。

それまでは快楽に打ち勝つ為にきっと苦しむこととなる。

できるならどうにかしてあげたいと思うのは、やはり幼い頃に沢山可愛がってもらう事ができたからだろう。

先程のことなど、仕方がなかったことだと、私の中ではもう処理する事ができている。

「…陛下はどうなるのでしょうか。」

少し落ち着いてきた私は、隣にいる殿下に問いかけた。

「陛下はまず身体を清める事が、法に触れた処罰ということとなるだろう。あの状態では解毒することが相応の苦となるだろうからね。」



「…陛下はそもそも誰かに嵌められたのだろう。そうでなければ慎重派の父上が見知らぬ薬師の薬を飲むなどあり得ない事だ。

それに5年もの間、王妃である母上が陛下の変化に気づかなかったというのも引っかかる。
不本意だが、兄上と話をしてどう調べていくかを考える必要があるだろう。」



彼がいつになく真剣な話をしているというのに、欲望にまみれた私はどうしても彼に触れたくなって彼の手を握る。

そうしてサワサワと彼の手を堪能した私は、彼の手を自身の頭へと動かした。


「…撫でてくれますか?」

彼は眉を下げながらも私の頭を撫でてくれる。

すると私はニコニコと笑みを溢した。


「まあ、とりあえずは、エミリーが無事でよかったというところかな。
父上にはもちろん何をされて……
されていないだろうね?」

彼が入ってきたとき、私は陛下に覆い被さられていたことを思い出す。

「ええ、大丈夫です。薬を飲まされるのにキスはされましたが、交わることはありませんでしたし。」


私のその言葉に、殿下はさらに眉のシワを深くした。

「…。」

「キスだって唇と胸だけですし、なんてことはありません。」

私は本当にそう思っている。
キスやキスマークなどは潜入の仕事をしていればたまにしなければならないこともある為、気にしないようになったのだ。


「エミリー。…うがいをしよう。
後は胸の消毒もだ。」

急に何を言い出すかと思えば、なんともおかしなことだった。

あれから大分時間が経っているのだからうがいなどしたところで意味はない。

しかし、彼がそうしたいと言うのなら、の私は拒むことなどしないのだ。





「ほら、ぺってしなさい。」

随分と慣れたように甘やかしてくれる彼に、私はすんなりと従う。

そうしてローザに消毒液を用意させた殿下が部屋を出ようとするので、私は彼の腕を引っ張ってそれを止めた。


「お義兄さま。…行かないでください。
離れたくないのです。だから、…消毒もしてくれませんか?」


ローザの前でそんなことを口走ったわたしは、正気に戻ったら頭を抱えることだろう。

ローザは先程と同じように微笑みながら部屋を後にする。

私は静かにドレスを緩め、胸の膨らみについた赤い印だけを彼に晒した。


胸の膨らみが見えるだけの谷間。全ては見せていないのに、殿下は真っ赤な顔をしていた。

「…エミリー。少しひやっとするからね。」


ガーゼに消毒液を浸し、私の胸にトントンと乗せる。


後でシャワーに入るのだから消毒など必要ないとは思うのだが、彼の提案を否定することは、例の如くの私にはできなかったのだ。



消毒を終えた殿下はガーゼをテーブルに置き、椅子に座る私の前で前屈みになる。

そしてそのまま私のドレスに手をかけてくるので、私は着せてくれるのだと思って待つと、彼は私の赤い印にキスを落とし、そのままその上から赤い花を色付かせた。


「っ。」


「エル…義兄、さまぁ…っ。」




ちゅぅっと肌を吸われたことに、私の全身は雷が走ったかのようにピクッとなる。
今までにされたことのあるものとは全く以って違うその衝撃に、私は不思議と嫌な気持ちにはならなかった。




そして、吸われた衝撃でか、それとも丁度麻薬が切れたのか、急に恥ずかしさを取り戻した私は彼の肩を押して胸元を隠す。


「も、もう!
そこまでしてくれなくとも大丈夫です!
キスもセックスも潜入していれば頻繁でなくともあることなのですから、この程度では気にする部類に入りませんっ。」



気にしないと言いながら、彼にされたことに動揺したのは、仕事としてではないから…だと思う。

私は混乱しており、彼にそう言い放つと、彼はよろめきながら私に確認をしてきた。





「なっ……エ、エミリーはもう…処女おとめでは…」

「ええ、もう随分前に大人になっておりますのでご心配なく!
気持ちがなくともしたことだってありますし、陛下にされたことなど、本当に大したことには入りません。
ですが、今日は疲れましたので、もう休みたいと思いますわ!」




私はそう言った後、ほぼ石化したような殿下を部屋から押し出し、今日の礼と先ほどまでの無礼を詫びてすぐに扉を閉じた。








明日から殿下にはどんな顔をして会えばいいのかわからない。

そう考えると、疲れているのになかなか
寝付くことができなかった。
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