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プロローグ
しおりを挟む「お義兄様…私は自国の貴族か他国にでも嫁がされるのでしょうか。」
「っ。そ、そんなことはない。
エミリーはエミリーの好きになった者と結婚すればいいのだ。その為の教養だ。
エミリーの好きなように生きろ。」
齢17と15。
16で成人となるこの国では、16になると婚約をしたり、そのまま結婚したりとその歳が節目にあたる。
そんな歳を数日に控えたエミレィナは、強風行き交う竜巻きの夜、義兄に最後の確認をしていた。
「…お義兄様。
私、お兄様のお側にずっといたいのです。」
ストレートのシャンパンゴールドの髪を耳にかけ、エミレィナは真っ直ぐにグリニエルの瞳を見つめていた。
唇を少し噛み、自身の決意は揺るがないことを見せる。しかし、断られたらどうしようかと濃いピンクの瞳は揺れていた。
「エミリー…。それじゃ私の…」
「っ。はい。私…お義兄様の専属潜入騎士となり、お義兄様のお役に立ちたいと思っております。」
「……………え?」
「養女であるエミレィナは他国にでも渡ったことにしてください。
私は髪色を変えて、エミリーとして生きていきます。
あっ。この事はもう潜入騎士隊長であるケインシュア様にはお伝えしてありますので、心配なさらないでください。」
笑顔を崩すことなく聞き返した言葉は、エミレィナの元には届かない。
そんなことにも気付かない彼女は、きっと前々から考え、計画を練っていたのだろう。
グリニエルはこの時の自分の行動を後々後悔することになるが、今の彼は自分のそばにいたいと考えて行動した愛しい義妹に、折れてしまった。
そうして彼女は、念願の希望を叶え、
2人の関係は義兄妹から主従関係へと変化した…。
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