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6 水の神殿3
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私が竜に護られているとして、そんな事は十七年間全く感じたことがなかった。
どうしていきなり今頃になって翼が出て来たんだろう。
「ねえ、この翼って出し入れコントロールできるって言ってたよね?どうやるの?」
「念じれば出るはずです」
「そんな簡単に?」
うーむ、試してみたいが今は無理だな。服が破れてしまう。
「ルーラは今まで翼の事を知らなかったのか?」
不思議そうな女王様に私はコクコクと首を振る。
「このところ背中痛いなーとは思ってたけど、急に出てきたんだよ」
あんな事がなけりゃこっちに来ることなんてなかったかも知れない。
「次元を繋いだ時、こちらの影響が出たのでしょうか?」
「というより風が呼んだのでしょう」
乱暴な呼び方だわね。
「それで、具体的に私はどうすればいいの?家には帰れないの?」
アルファさんがなんとも綺麗に首をかしげた。
「まずは鏡を元に戻して、魔物を追い出さなくてはなりませんね。ビスラに向かいます。それが済めばお帰ししても良いのですが………」
そこで言葉を切って、リューンを見やる。
「神殿に残っていただけないですか?もともとはこちらの方ですし、翼を持つ神官は是非とも欲しいのですが」
「リューン、貴方がいるでしょう?私は絶対帰る。パパやママがいるもの」
本当の親じゃなくたって、私のパパとママだもの。
でも、あんまり長引くと困るな。留年しちゃう。
そんなに長く行方不明になっていたら、絶対事件になってるよ。
「どのくらいかかるのかな………」
「戻った時の事なら心配ありません。私が行ってリューンと二人で記憶を操作します」
え、そんなこと出来るんだ。怖!
「風と水の二つの鏡が揃えば、向こうでも呪をふるうことができますからね」
不安げな顔をしていたのだろう、アルファさんが優しく言ってくれた。
ふと横を見ると、女王様がキラキラした目でアルファさんを見つめていた。
「な、なんです?ルイリーン」
「ふふふふふふふ」
アルファさんがジト目で見返す。
「まさか一緒に連れて行けなんていうつもりではないでしょうね」
「当たりだ!」
「駄目です!王が国を離れてどうするんですか」
「いいじゃないか、ちょっとくらい。どんなところか見て見たい!」
「駄目ですったら!まったく、貴女って人は………」
「けちー!前はあっさり許してくれただじゃないか」
「あれはあれ、貴女に必要だったからです。面白半分に行って、もし何かあったらどうするんですか」
「じじむさい心配するな。だいじょーぶだって」
「じっ………私はまだ二十一です」
「言葉のあやだ」
二人の押し問答を聞きながら、私は笑ってしまった。
なんか、女王様にかかるとアルファさんもだんだん神官らしくなくなってくるのね。
私は隣のリューンを引き寄せて囁いた。
「ねえ、もしかしてあの二人って………」
思った通り、リューンは頷く。
「わかります?」
「なんとなく」
へー、無敵の美男美女カップルだ。
「アルファーディ様、ビスラに連絡は?」
リューンが二人のじゃれあいに割り込む。
「もうとってあります。ですが………」
アルファさんがくもり顔で告げた。
「ビスラの王は魔物に襲われて、怪我をしたそうです」
「ええっ、王が?」
リューンが目に見えて青くなる。
よっぽど大切な王様なのね。
「まあ、あいつのことだからすぐに治るだろう。心配するだけ損だぞ、リューン」
女王様がカラカラと笑って軽ーく言った。
国同士お互いの王様は知り合いでもおかしくないけど、なんか変。あっけらかんとしている。
女王様が片目をつむって、私に言った。
「なかなか頼りになるやつだから安心しろ」
「ありがとう、女王様」
「ルイリーンだ。そう呼んでくれ」
「え、そ、そう?」
いいのかな?
アルファさんも笑っているからいいのだろう。
なんだか気さくな女王様だ。でも私好きだなー。
こんな王様だったら、きっと国民にも好かれているんだろうな。
知らない世界に来た、その不安がふわっと薄れた。
ビスラの、私の生まれたという国の王様はどんな人だろう。
いい人だといいな。
私はちょっぴり楽しみになった。
どうしていきなり今頃になって翼が出て来たんだろう。
「ねえ、この翼って出し入れコントロールできるって言ってたよね?どうやるの?」
「念じれば出るはずです」
「そんな簡単に?」
うーむ、試してみたいが今は無理だな。服が破れてしまう。
「ルーラは今まで翼の事を知らなかったのか?」
不思議そうな女王様に私はコクコクと首を振る。
「このところ背中痛いなーとは思ってたけど、急に出てきたんだよ」
あんな事がなけりゃこっちに来ることなんてなかったかも知れない。
「次元を繋いだ時、こちらの影響が出たのでしょうか?」
「というより風が呼んだのでしょう」
乱暴な呼び方だわね。
「それで、具体的に私はどうすればいいの?家には帰れないの?」
アルファさんがなんとも綺麗に首をかしげた。
「まずは鏡を元に戻して、魔物を追い出さなくてはなりませんね。ビスラに向かいます。それが済めばお帰ししても良いのですが………」
そこで言葉を切って、リューンを見やる。
「神殿に残っていただけないですか?もともとはこちらの方ですし、翼を持つ神官は是非とも欲しいのですが」
「リューン、貴方がいるでしょう?私は絶対帰る。パパやママがいるもの」
本当の親じゃなくたって、私のパパとママだもの。
でも、あんまり長引くと困るな。留年しちゃう。
そんなに長く行方不明になっていたら、絶対事件になってるよ。
「どのくらいかかるのかな………」
「戻った時の事なら心配ありません。私が行ってリューンと二人で記憶を操作します」
え、そんなこと出来るんだ。怖!
「風と水の二つの鏡が揃えば、向こうでも呪をふるうことができますからね」
不安げな顔をしていたのだろう、アルファさんが優しく言ってくれた。
ふと横を見ると、女王様がキラキラした目でアルファさんを見つめていた。
「な、なんです?ルイリーン」
「ふふふふふふふ」
アルファさんがジト目で見返す。
「まさか一緒に連れて行けなんていうつもりではないでしょうね」
「当たりだ!」
「駄目です!王が国を離れてどうするんですか」
「いいじゃないか、ちょっとくらい。どんなところか見て見たい!」
「駄目ですったら!まったく、貴女って人は………」
「けちー!前はあっさり許してくれただじゃないか」
「あれはあれ、貴女に必要だったからです。面白半分に行って、もし何かあったらどうするんですか」
「じじむさい心配するな。だいじょーぶだって」
「じっ………私はまだ二十一です」
「言葉のあやだ」
二人の押し問答を聞きながら、私は笑ってしまった。
なんか、女王様にかかるとアルファさんもだんだん神官らしくなくなってくるのね。
私は隣のリューンを引き寄せて囁いた。
「ねえ、もしかしてあの二人って………」
思った通り、リューンは頷く。
「わかります?」
「なんとなく」
へー、無敵の美男美女カップルだ。
「アルファーディ様、ビスラに連絡は?」
リューンが二人のじゃれあいに割り込む。
「もうとってあります。ですが………」
アルファさんがくもり顔で告げた。
「ビスラの王は魔物に襲われて、怪我をしたそうです」
「ええっ、王が?」
リューンが目に見えて青くなる。
よっぽど大切な王様なのね。
「まあ、あいつのことだからすぐに治るだろう。心配するだけ損だぞ、リューン」
女王様がカラカラと笑って軽ーく言った。
国同士お互いの王様は知り合いでもおかしくないけど、なんか変。あっけらかんとしている。
女王様が片目をつむって、私に言った。
「なかなか頼りになるやつだから安心しろ」
「ありがとう、女王様」
「ルイリーンだ。そう呼んでくれ」
「え、そ、そう?」
いいのかな?
アルファさんも笑っているからいいのだろう。
なんだか気さくな女王様だ。でも私好きだなー。
こんな王様だったら、きっと国民にも好かれているんだろうな。
知らない世界に来た、その不安がふわっと薄れた。
ビスラの、私の生まれたという国の王様はどんな人だろう。
いい人だといいな。
私はちょっぴり楽しみになった。
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