36 / 126
第二章 生き別れの兄と白い狼
12 黒騎士
しおりを挟む
暗雲立ち込めるとはこの事だろうか、と納得するような空が広がっている。黒灰色の雲が重く立ち込め、時折そよぐ風はべたりと湿っていた。
ヒヒーン
馬が後ろ足で立ち上がり、いななきをあげる。あたりには砂煙がもうもうと立ち込めていた。武器のぶつかる金属音が灰色の空に響き、猛る兵士たちの声が途切れることなく聞こえてくる。
やや黄味を帯びてきている草原は、軍靴と馬の蹄に隙間なく踏み荒らされていた。
草原の騒乱を眼下にして、城壁の上から見下ろす影がある。
金獅子騎士団副団長のアリドザイルは、自らの上官であるエディーサ王国将軍エルガルフを振り返った。
「閣下、あれをご覧くだされ。一騎、エディーサの騎士とおぼしき者が」
指さす方向には、赤い敵国の騎士のマントが並ぶ中、目にも鮮やかな白い軍衣が閃いている。
周囲に味方はいない。
一騎だけが飛び込んでしまったようだった。
それは普通であるならば非常に危うい状況だ。八方の敵を一度に相手にして、命を保てるはずがないのだから。
この騎士に関しても、例外ではないと思われた。
だが、それは杞憂でしかない事を、この老副将は知ることとなる。
小柄なその白い騎士は、素早い動きで周りに敵を寄せ付けず、一騎ずつ確実に倒していた。敵の兵士達もどこかたじろいでいるように見え、その動きは鈍い。躊躇う敵兵に、白い騎士は容赦なく踊りかかってゆく。
アリドザイルは目をまるくして、驚きの溜息をついた。
「一体何者でしょうな」
エルガルフは微かに唇をほころばせる。
「戦場を一人で走り回るなど、あれぐらいしかいるまい」
「エルフェルム殿ですか、あれが………」
「ザイル老はあれの戦い方を見るのは初めてか」
「はい」
レンブル城での作戦会議で魔術に秀でているとは聞いていたが、物理攻撃にもとは聞いていなかった。重いグレイブ(穂先が剣状の槍)を鮮やかに操って次から次へと斬り結んでゆく、その光景は優雅な舞を見るようでもある。
「あの槍技はロイゼルド仕込みか」
確かに師弟だけあって、どことなく身のこなしが似ている気がする。
「しかし、むちゃくちゃですな。早死にしますぞ」
「あれは私の言うことなぞ聞きはしないよ」
「従者でもつけて、無茶できないようになされたらどうですか?」
「まだ従騎士だ。それに従者になる者が気の毒だろう」
「従騎士!」
「ロイとはぐれたな」
無茶をする、と小さく舌打ちする。
バサッと肩のマントを跳ね上げて、エルガルフは城の中へ歩き始めた。その後をアリドザイルが追う。
「第二軍を出す」
「はっ」
エルガルフとアリドザイルが城壁から姿を消したその後も、エルディアは一人敵に対峙していた。
「待て」
何人目かの犠牲者を足下に転がしたとき、エルディアの前に立ち塞がる者がいた。
「ほう、命知らずがいると思えば、まだ子供ではないか」
漆黒の鎧に漆黒のマント。
華やかな赤い羽根飾りと、肩の留め具に彫り込まれた精緻な紋章は高位の騎士を表していた。
背が高く、鎧の上からでもその均整の取れた体躯がわかる。隆々とした筋肉の形に打ち出した胴鎧を着けているが、その下の身体もそれと変わらないだろうと思われた。
手綱を引き、馬の足を止めて、エルディアは軽く首を傾げる。
「子供と侮ると痛い目を見るよ」
「なるほど、そうだな!」
そう叫ぶや否や、突然馬を操り大剣を振り下ろしてくる。
ガキーン
すれ違いざまに打ち合わされた金属が大きな衝撃とともに軋り声を上げる。
「止めたか」
「…………」
「子供のわりにはよくやる」
二合三合と立て続けに打ち合った。
その度に鍛えあげられた鋼の剣が白い火花をあげる。
キィン
黒騎士の繰り出す重く速い剣を、エルディアは稀有なる技で受け流してゆく。
一瞬でも気を抜けば、そこでこの世と永遠におさらばであろう。
(この男、強い!)
冷や汗が背筋を伝い落ちた。
リーチの長さでは槍の方がずっと有利だ。なのに相手は本来両手で扱う方が多い長剣を、馬を操りながら片手で軽々と振り回している。間合いを誤り懐に入られれば、かえってこちらが不利になる。
エルディアは密かに身体に掛けた強化魔法をさらに強めた。
味方との試合で打ち合うことはよくあるが、戦場の敵とこんなに張り合ったことは初めてではないだろうか。力も強いが、技にも鋭いキレがある。何より騎馬の操縦が格別で、まるで自分の足のように操っていた。
エルディアはなんとか隙がないかと狙っているのだが、なかなか踏み込めない。
黒騎士の方にも冑に隠されて顔は見えないが、その動きには驚きの色がありありと浮かんでいた。
「オーッ」
ブンッと腕を振る。
ガッキィン
それを踏ん張って受け止めたエルディアは、そのまま横に流してクルリと頭上で槍を回し薙ぐように斬り上げる。
キィーン
あっさり跳ね返された。
周囲の兵士たちは手を出す間がなく、ただ見守るのみ。
「ハァーッ!」
「っ!」
ガキーンッ
間合いを詰められたエルディアが、繰り出された剣先を回した槍の柄で止め石突を突き込む。だが、払いきれず頭に大剣を受けた。しかし同時に腹部に突き込まれた衝撃で、力の抜けた黒騎士の腕から大剣が飛んで落ちる。
エルディアの冑に亀裂が走り、二つに割れて落ちた。
「ちっ!」
魔力で防御してあったとはいえ、頭への強い衝撃に目眩を起こし、一瞬エルディアの動きが止まった。
その隙に黒騎士が素早く馬を引く。
エルディアが追おうとするより早く兵士が二人の間に割り込み、自軍の将を守ろうと動く。
「ヤァッ!」
襲う白刃をその持ち主ごと叩き斬った。
その兵士の最後には目もくれず、黒騎士の消えた方向をギッと睨む。
一斉に飛びかかろうとしていた兵士たちは、一様にその視線の迫力にのまれて斬り込むタイミングを失った。
次の瞬間、厚い雲をナイフで切った如く光の線が大地を走る。それは意思を持っているようにエルディアを照らし出した。
全身に朱色の飛沫を浴びたその姿は、されども不思議に神々しい空気を漂わせていた。
印象的なその瞳。吸い込まれそうなほど透き通ったエメラルドの、ただの輝石ではなく意志をたたえた強い視線。
兵士達は知らず知らず後退っていた。少年を取り囲むように広げられたその輪は、微動だにせず沈黙している。
どうしてこんなに畏怖を感じるのか。
この目の前の少年騎士に。
どうしてこんな恐怖すら覚えるのだろう。
エルディアはそんな戸惑いを気にする様子もなく、うるさげに頭を振った。銀粉を振り撒いたように、銀髪に光が弾ける。
「ウワーッ」
一人の騎士が重圧を振り払うように突っ込んだ。
ズバッ
重い音がしたかと思うと、ブシューッと血飛沫が天に噴き上がる。力を失った身体がガクリと地に崩れた。
難なく敵を葬ったエルディアは、グレイブを軽く一振りして血油を切る。眩しいものでも見るように少し目を細めて唇を引き結ぶ、その表情はまるで彼の死を悼むようにも見えた。そして周囲を見回す。
静かで穏やかな目だった。
それなのに威圧される。無言で服従を強いられている気がする。
敵軍の中で一人、狼狽えることもなく超然としたその様子は、ただただ異様な光景だった。
「退け………」
兵士たちの壁を押し分けて、新しい剣を受け取った黒騎士が姿を現した。二馬身ほど開けて、睨み合うように向かい合う。
黒騎士は大きく息を吐き、なるほどな、と小さく呟いた。
「トルポント軍が言っていた魔物とは其方のことだな」
「………」
「名は何という?」
「聞く前に名乗れ。それが礼儀だ」
「ヴェルワーン」
「エルフェルムだ」
フフッと黒騎士が笑う。
やはり、と呟いたような気がした。
まるで知っていたかのような反応に、エルディアの眉が不審げにひそめられる。
その時、兵士たちの背後から、エディーサ軍の鬨《とき》の声が上がった。砦から新たに吐き出された兵士達が、波のように押し寄せる。
波の一つが輪の一角を切り崩し、たちまちその場は両軍が入り乱れた。
退却のラッパが鳴り響く。
「残念だが、合図だ」
そう言うとヴェルワーンは素早く馬首を返して走り出す。しかし、少し離れて再び振り返るとエルディアに向けて手を挙げた。
「また、逢おう!エルフェルム」
そう言い残して、彼は森に向けて駆けていった。
その後ろをエルディアはあえて追わなかった。
ヒヒーン
馬が後ろ足で立ち上がり、いななきをあげる。あたりには砂煙がもうもうと立ち込めていた。武器のぶつかる金属音が灰色の空に響き、猛る兵士たちの声が途切れることなく聞こえてくる。
やや黄味を帯びてきている草原は、軍靴と馬の蹄に隙間なく踏み荒らされていた。
草原の騒乱を眼下にして、城壁の上から見下ろす影がある。
金獅子騎士団副団長のアリドザイルは、自らの上官であるエディーサ王国将軍エルガルフを振り返った。
「閣下、あれをご覧くだされ。一騎、エディーサの騎士とおぼしき者が」
指さす方向には、赤い敵国の騎士のマントが並ぶ中、目にも鮮やかな白い軍衣が閃いている。
周囲に味方はいない。
一騎だけが飛び込んでしまったようだった。
それは普通であるならば非常に危うい状況だ。八方の敵を一度に相手にして、命を保てるはずがないのだから。
この騎士に関しても、例外ではないと思われた。
だが、それは杞憂でしかない事を、この老副将は知ることとなる。
小柄なその白い騎士は、素早い動きで周りに敵を寄せ付けず、一騎ずつ確実に倒していた。敵の兵士達もどこかたじろいでいるように見え、その動きは鈍い。躊躇う敵兵に、白い騎士は容赦なく踊りかかってゆく。
アリドザイルは目をまるくして、驚きの溜息をついた。
「一体何者でしょうな」
エルガルフは微かに唇をほころばせる。
「戦場を一人で走り回るなど、あれぐらいしかいるまい」
「エルフェルム殿ですか、あれが………」
「ザイル老はあれの戦い方を見るのは初めてか」
「はい」
レンブル城での作戦会議で魔術に秀でているとは聞いていたが、物理攻撃にもとは聞いていなかった。重いグレイブ(穂先が剣状の槍)を鮮やかに操って次から次へと斬り結んでゆく、その光景は優雅な舞を見るようでもある。
「あの槍技はロイゼルド仕込みか」
確かに師弟だけあって、どことなく身のこなしが似ている気がする。
「しかし、むちゃくちゃですな。早死にしますぞ」
「あれは私の言うことなぞ聞きはしないよ」
「従者でもつけて、無茶できないようになされたらどうですか?」
「まだ従騎士だ。それに従者になる者が気の毒だろう」
「従騎士!」
「ロイとはぐれたな」
無茶をする、と小さく舌打ちする。
バサッと肩のマントを跳ね上げて、エルガルフは城の中へ歩き始めた。その後をアリドザイルが追う。
「第二軍を出す」
「はっ」
エルガルフとアリドザイルが城壁から姿を消したその後も、エルディアは一人敵に対峙していた。
「待て」
何人目かの犠牲者を足下に転がしたとき、エルディアの前に立ち塞がる者がいた。
「ほう、命知らずがいると思えば、まだ子供ではないか」
漆黒の鎧に漆黒のマント。
華やかな赤い羽根飾りと、肩の留め具に彫り込まれた精緻な紋章は高位の騎士を表していた。
背が高く、鎧の上からでもその均整の取れた体躯がわかる。隆々とした筋肉の形に打ち出した胴鎧を着けているが、その下の身体もそれと変わらないだろうと思われた。
手綱を引き、馬の足を止めて、エルディアは軽く首を傾げる。
「子供と侮ると痛い目を見るよ」
「なるほど、そうだな!」
そう叫ぶや否や、突然馬を操り大剣を振り下ろしてくる。
ガキーン
すれ違いざまに打ち合わされた金属が大きな衝撃とともに軋り声を上げる。
「止めたか」
「…………」
「子供のわりにはよくやる」
二合三合と立て続けに打ち合った。
その度に鍛えあげられた鋼の剣が白い火花をあげる。
キィン
黒騎士の繰り出す重く速い剣を、エルディアは稀有なる技で受け流してゆく。
一瞬でも気を抜けば、そこでこの世と永遠におさらばであろう。
(この男、強い!)
冷や汗が背筋を伝い落ちた。
リーチの長さでは槍の方がずっと有利だ。なのに相手は本来両手で扱う方が多い長剣を、馬を操りながら片手で軽々と振り回している。間合いを誤り懐に入られれば、かえってこちらが不利になる。
エルディアは密かに身体に掛けた強化魔法をさらに強めた。
味方との試合で打ち合うことはよくあるが、戦場の敵とこんなに張り合ったことは初めてではないだろうか。力も強いが、技にも鋭いキレがある。何より騎馬の操縦が格別で、まるで自分の足のように操っていた。
エルディアはなんとか隙がないかと狙っているのだが、なかなか踏み込めない。
黒騎士の方にも冑に隠されて顔は見えないが、その動きには驚きの色がありありと浮かんでいた。
「オーッ」
ブンッと腕を振る。
ガッキィン
それを踏ん張って受け止めたエルディアは、そのまま横に流してクルリと頭上で槍を回し薙ぐように斬り上げる。
キィーン
あっさり跳ね返された。
周囲の兵士たちは手を出す間がなく、ただ見守るのみ。
「ハァーッ!」
「っ!」
ガキーンッ
間合いを詰められたエルディアが、繰り出された剣先を回した槍の柄で止め石突を突き込む。だが、払いきれず頭に大剣を受けた。しかし同時に腹部に突き込まれた衝撃で、力の抜けた黒騎士の腕から大剣が飛んで落ちる。
エルディアの冑に亀裂が走り、二つに割れて落ちた。
「ちっ!」
魔力で防御してあったとはいえ、頭への強い衝撃に目眩を起こし、一瞬エルディアの動きが止まった。
その隙に黒騎士が素早く馬を引く。
エルディアが追おうとするより早く兵士が二人の間に割り込み、自軍の将を守ろうと動く。
「ヤァッ!」
襲う白刃をその持ち主ごと叩き斬った。
その兵士の最後には目もくれず、黒騎士の消えた方向をギッと睨む。
一斉に飛びかかろうとしていた兵士たちは、一様にその視線の迫力にのまれて斬り込むタイミングを失った。
次の瞬間、厚い雲をナイフで切った如く光の線が大地を走る。それは意思を持っているようにエルディアを照らし出した。
全身に朱色の飛沫を浴びたその姿は、されども不思議に神々しい空気を漂わせていた。
印象的なその瞳。吸い込まれそうなほど透き通ったエメラルドの、ただの輝石ではなく意志をたたえた強い視線。
兵士達は知らず知らず後退っていた。少年を取り囲むように広げられたその輪は、微動だにせず沈黙している。
どうしてこんなに畏怖を感じるのか。
この目の前の少年騎士に。
どうしてこんな恐怖すら覚えるのだろう。
エルディアはそんな戸惑いを気にする様子もなく、うるさげに頭を振った。銀粉を振り撒いたように、銀髪に光が弾ける。
「ウワーッ」
一人の騎士が重圧を振り払うように突っ込んだ。
ズバッ
重い音がしたかと思うと、ブシューッと血飛沫が天に噴き上がる。力を失った身体がガクリと地に崩れた。
難なく敵を葬ったエルディアは、グレイブを軽く一振りして血油を切る。眩しいものでも見るように少し目を細めて唇を引き結ぶ、その表情はまるで彼の死を悼むようにも見えた。そして周囲を見回す。
静かで穏やかな目だった。
それなのに威圧される。無言で服従を強いられている気がする。
敵軍の中で一人、狼狽えることもなく超然としたその様子は、ただただ異様な光景だった。
「退け………」
兵士たちの壁を押し分けて、新しい剣を受け取った黒騎士が姿を現した。二馬身ほど開けて、睨み合うように向かい合う。
黒騎士は大きく息を吐き、なるほどな、と小さく呟いた。
「トルポント軍が言っていた魔物とは其方のことだな」
「………」
「名は何という?」
「聞く前に名乗れ。それが礼儀だ」
「ヴェルワーン」
「エルフェルムだ」
フフッと黒騎士が笑う。
やはり、と呟いたような気がした。
まるで知っていたかのような反応に、エルディアの眉が不審げにひそめられる。
その時、兵士たちの背後から、エディーサ軍の鬨《とき》の声が上がった。砦から新たに吐き出された兵士達が、波のように押し寄せる。
波の一つが輪の一角を切り崩し、たちまちその場は両軍が入り乱れた。
退却のラッパが鳴り響く。
「残念だが、合図だ」
そう言うとヴェルワーンは素早く馬首を返して走り出す。しかし、少し離れて再び振り返るとエルディアに向けて手を挙げた。
「また、逢おう!エルフェルム」
そう言い残して、彼は森に向けて駆けていった。
その後ろをエルディアはあえて追わなかった。
0
お気に入りに追加
74
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
私ではありませんから
三木谷夜宵
ファンタジー
とある王立学園の卒業パーティーで、カスティージョ公爵令嬢が第一王子から婚約破棄を言い渡される。理由は、王子が懇意にしている男爵令嬢への嫌がらせだった。カスティージョ公爵令嬢は冷静な態度で言った。「お話は判りました。婚約破棄の件、父と妹に報告させていただきます」「待て。父親は判るが、なぜ妹にも報告する必要があるのだ?」「だって、陛下の婚約者は私ではありませんから」
はじめて書いた婚約破棄もの。
カクヨムでも公開しています。
僕のおつかい
麻竹
ファンタジー
魔女が世界を統べる世界。
東の大地ウェストブレイ。赤の魔女のお膝元であるこの森に、足早に森を抜けようとする一人の少年の姿があった。
少年の名はマクレーンといって黒い髪に黒い瞳、腰まである髪を後ろで一つに束ねた少年は、真っ赤なマントのフードを目深に被り、明るいこの森を早く抜けようと必死だった。
彼は、母親から頼まれた『おつかい』を無事にやり遂げるべく、今まさに旅に出たばかりであった。
そして、その旅の途中で森で倒れていた人を助けたのだが・・・・・・。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※一話約1000文字前後に修正しました。
他サイト様にも投稿しています。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします
暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。
いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。
子を身ごもってからでは遅いのです。
あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」
伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。
女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。
妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。
だから恥じた。
「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。
本当に恥ずかしい…
私は潔く身を引くことにしますわ………」
そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。
「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。
私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。
手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。
そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」
こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる