limited wappers

limited

文字の大きさ
上 下
4 / 15

光時廻計の思惑

しおりを挟む
篠山宇は、ゲームに参加を申し込んでしまったみたいだし…参加しろと遠回しに言われているような気がしてならない。しかし、篠山宇遅いな。14時までに光時廻計という他クラスの生徒を連れて様子を見に来るとメールで送信してきたのに、もう17時を回っている。事件に巻き込まれていなければいいのだが。

ピンポーン

ガチャッ

「はい、水星宙ですが。」

「君が、水星宙君か。僕は、光時廻計。宙君、ゲームに参加すべきだよ。参加しないというのなら、宇君がどうなっても知らないということになりかねないということだよ。」

「君が、光時廻計さん。明日、参加を申し込むところだよ。廻計さんには、関係ないだろう。だって、君は参加者じゃないのだから。」

「僕も、参加者なんだ…。シリテスさんに頼み込んで、参加権を獲得した。どうしてだか、理由を知りたい?それはね…。」

嫌な胸騒ぎがした。この世界を、脅かす得体の知れない出来事が起こる予感が脳裏を過った。彼は何故、僕と宇に今になって近付いて来たのだろう。他クラスで、話したことも面識も一切ないのに。疑問と違和感だけが残った。

「それは…。いや、何でもない。大した理由ではないから、言わないでおくよ。」

「す ごく言いにくいんだけどさ…僕と篠山さんに近付いた理由を教えてほしい…。」

水星宙、君はシリテスとフィアリが言ったように開かずの扉を開けてしまい、その責任を被る必要があると判断し、彼らは水星宙にゲーム参加を促した。ということはつまり、彼は自らの手で終わらせなければならないということか…。それにしても、大変なことを仕出かしたものだ。水星宙、一体何者なのだろうか。

「近付いたのは、ずっと仲良くなりたいと思って。僕、昔から引っ込み思案なところがあって人に声を掛けるのが苦手なんだ。言わないと伝わらないって散々親に言われて…。今日こそは、言わないと…って思って言うことにした。昨日、宇君に僕のことを打ち明けたら…仲良くなれたんだ。それに、宇君が君の名前を言っていたからどんな人か気になって…。」

「そうだったんだね。言うの大変だったのに、ごめんね。篠山さんと僕と仲良くなりたかったんだね。僕、友達少ないから仲良くなれて嬉しいよ。ありがとう、光時廻計さん。」

もう少し、水星宙の様子を伺うとしよう。

「そういえば、篠山さん知らない?」

「宇君…一緒に、宙君の家に行くと言っていたけど…遅いな…。僕、宇君の様子見に行くね。たぶん…学校にいるかもしれないから…。」

宇は、まだ学校にいるのか… 。何かあったのだろうか…。僕だって、篠山宇の様子を見に行きたいが身体中熱で覆われていて歩くのもままならない。通常ならばベッドで安静にしていなければいけない状態なのだが、僕は布団を剥がし制服に着替え、おぼつかない足取りで階段を一段一段下りて行く。それを見かねた彼は、僕を抱き抱え部屋へと運んだ。

「熱がもっと悪化するといけないから、寝てて。宇君のことなら、僕に任せて大丈夫だから。」

「僕だって、心配なんだよ…。寝てたら、篠山さんを捜せないでしょう…。頼むから、邪魔しないで…。」

「宙君の為を思って言っているんだよ。君が、こんな状態ならこのゲームが一向に終わらないだろう。」

ゲームが終わらない…。それは、一体どういう意味なのだろうか…。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 『修羅の国』での死闘

橋本 直
SF
その文明は出会うべきではなかった その人との出会いは歓迎すべきものではなかった これは悲しい『出会い』の物語 『特殊な部隊』と出会うことで青年にはある『宿命』がせおわされることになる 法術装甲隊ダグフェロン 第三部  遼州人の青年『神前誠(しんぜんまこと)』は法術の新たな可能性を追求する司法局の要請により『05式広域制圧砲』と言う新兵器の実験に駆り出される。その兵器は法術の特性を生かして敵を殺傷せずにその意識を奪うと言う兵器で、対ゲリラ戦等の『特殊な部隊』と呼ばれる司法局実働部隊に適した兵器だった。 一方、遼州系第二惑星の大国『甲武』では、国家の意思決定最高機関『殿上会』が開かれようとしていた。それに出席するために殿上貴族である『特殊な部隊』の部隊長、嵯峨惟基は甲武へと向かった。 その間隙を縫ったかのように『修羅の国』と呼ばれる紛争の巣窟、ベルルカン大陸のバルキスタン共和国で行われる予定だった選挙合意を反政府勢力が破棄し機動兵器を使った大規模攻勢に打って出て停戦合意が破綻したとの報が『特殊な部隊』に届く。 この停戦合意の破棄を理由に甲武とアメリカは合同で介入を企てようとしていた。その阻止のため、神前誠以下『特殊な部隊』の面々は輸送機でバルキスタン共和国へ向かった。切り札は『05式広域鎮圧砲』とそれを操る誠。『特殊な部隊』の制式シュツルム・パンツァー05式の機動性の無さが作戦を難しいものに変える。 そんな時間との戦いの中、『特殊な部隊』を見守る影があった。 『廃帝ハド』、『ビッグブラザー』、そしてネオナチ。 誠は反政府勢力の攻勢を『05式広域鎮圧砲』を使用して止めることが出来るのか?それとも……。 SFお仕事ギャグロマン小説。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ベル・エポック

しんたろう
SF
この作品は自然界でこれからの自分のいい進歩の理想を考えてみました。 これからこの理想、目指してほしいですね。これから個人的通してほしい法案とかもです。 21世紀でこれからにも負けていないよさのある時代を考えてみました。 負けたほうの仕事しかない人とか奥さんもいない人の人生の人もいるから、 そうゆう人でも幸せになれる社会を考えました。 力学や科学の進歩でもない、 人間的に素晴らしい文化の、障害者とかもいない、 僕の考える、人間の要項を満たしたこれからの時代をテーマに、 負の事がない、僕の考えた21世紀やこれからの個人的に目指したい素晴らしい時代の現実でできると思う想像の理想の日常です。 約束のグリーンランドは競争も格差もない人間の向いている世界の理想。 21世紀民主ルネサンス作品とか(笑) もうありませんがおためし投稿版のサイトで小泉総理か福田総理の頃のだいぶん前に書いた作品ですが、修正で保存もかねて載せました。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

シーフードミックス

黒はんぺん
SF
ある日あたしはロブスターそっくりの宇宙人と出会いました。出会ったその日にハンバーガーショップで話し込んでしまいました。 以前からあたしに憑依する何者かがいたけれど、それは宇宙人さんとは無関係らしい。でも、その何者かさんはあたしに警告するために、とうとうあたしの内宇宙に乗り込んできたの。 ちょっとびっくりだけど、あたしの内宇宙には天の川銀河やアンドロメダ銀河があります。よかったら見物してってね。 内なる宇宙にもあたしの住むご町内にも、未知の生命体があふれてる。遭遇の日々ですね。

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

処理中です...