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三章 オモテとウラのカオ
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「って、誰もいない……」
般若のような顔が、次は目をぱちくりとさせる。
当然だ。私の姿は視えていない。
だから、なにもないところから飛んできたと思ってるんだ。
「こわいんだけど……って、ち、違う!別に怖がってなんかねぇし! も、もういいや!」
心霊現象だと思ったのかもしれない。
顔色を真っ青にさせて、そそくさとその場からいなくなった。
ホッとすると同時に、ひやりとする。
まずい…!やってしまった。
いじめっ子とはいえ、人にペットボトルを投げてしまった。
それに、担当ではない人を助けたことになる。
これも立派なルール違反だ。
自分のしたことに後悔していたときだった。
「……ありがとう」
背後からぽつりと小さい声。
確かに聞こえた。
だけど、お礼を言われるなんてありえない。
私の姿は視えないはずなのに……。
ぐるりと振り返ると、そこには誰もいなかった。
飛鳥先輩の声に似ていたような気もしたけれど。
気のせいかな……。
耳に届いた「ありがとう」の言葉は空耳だったのかもしれない。
この時は、そう思っていたんだ。
**
「気分さがるわー」
3年2組の教室。国語の授業。
担当の田口先生が黒板に向かって授業をしていると……。
「うわー。次田口先生の授業だったんだ……」
「今日も、田口先生機嫌悪くない?」
「いつものことでしょ」
あちこちから悪口が聞こえてくる。
みんなひそひそ声で話しているつもりなんだけど。
教壇の前に立つと、結構聞こえてくる。
私も知らなかったよ。
陰口がこんなに筒抜けだなんて……!
教壇の前に立つ私のすぐ横には田口先生。
つまり、田口先生にも生徒たちの陰口が聞こえてるってこと。
それなのに、知らんぷりをして授業を進めてる。
意外だなぁ。怒鳴って注意するかと思ってた。
般若のような顔が、次は目をぱちくりとさせる。
当然だ。私の姿は視えていない。
だから、なにもないところから飛んできたと思ってるんだ。
「こわいんだけど……って、ち、違う!別に怖がってなんかねぇし! も、もういいや!」
心霊現象だと思ったのかもしれない。
顔色を真っ青にさせて、そそくさとその場からいなくなった。
ホッとすると同時に、ひやりとする。
まずい…!やってしまった。
いじめっ子とはいえ、人にペットボトルを投げてしまった。
それに、担当ではない人を助けたことになる。
これも立派なルール違反だ。
自分のしたことに後悔していたときだった。
「……ありがとう」
背後からぽつりと小さい声。
確かに聞こえた。
だけど、お礼を言われるなんてありえない。
私の姿は視えないはずなのに……。
ぐるりと振り返ると、そこには誰もいなかった。
飛鳥先輩の声に似ていたような気もしたけれど。
気のせいかな……。
耳に届いた「ありがとう」の言葉は空耳だったのかもしれない。
この時は、そう思っていたんだ。
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「うわー。次田口先生の授業だったんだ……」
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みんなひそひそ声で話しているつもりなんだけど。
教壇の前に立つと、結構聞こえてくる。
私も知らなかったよ。
陰口がこんなに筒抜けだなんて……!
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つまり、田口先生にも生徒たちの陰口が聞こえてるってこと。
それなのに、知らんぷりをして授業を進めてる。
意外だなぁ。怒鳴って注意するかと思ってた。
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