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13 すれ違う想い
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待ちわびていたグラストン大神官からの返事が、ユレニアの手元にようやく届いた。
そこには、皇女に対して慇懃な調子で文章が書かれていた。準備ができ次第、すぐに皇宮に向かうとしたためられていることから、こちらの苦境を察してくれているのだろう。
筆跡をわざと自分の元の筆跡のままで書いたから、グラストン大神官ならルドヴィカとユレニアの中身が変わっていることがわかるはず。
聖女の体に入り込んでしまったルドヴィカも、大神官と同行するだろう。
(よかった……これでようやく元に戻れるんだわ)
午餐を終えたユレニアは、テラスに用意してもらったお茶を飲みながら、大神官から来た手紙を何度も読み返した。
しかし、教皇直轄領から皇都までは、早くとも馬で一週間はかかる。
移動魔法を使えば、あっという間に到着するらしいが、このヴェルク帝国では皇帝の命がなければ魔法の使用は許可されない。
万が一使えたとしても、ルドヴィカの体調が万全である必要がある。ただでさえ、移動魔法を使うと、おそろしく体力を消耗する。
しかも、神聖力は魔法とは相容れない異能なので、皇女のように強い神聖力の持ち主には悪い影響が及ぶかもしれない。
それでも……一週間かかるとしても、まったく先が見えない状況からは脱したのだ。
ようやく不確かな未来に、明るい兆しが見えてきた。
その一方で、ひとつだけ悲しいことがある……アデウスとの関係だ。
聖女の体に戻ったら、彼とは離れ離れになってしまう。恋心を抱くユレニアは複雑な心境だった。
(……でも、近くにいるから、欲張りになってしまうんだわ)
自分の想いを客観視すれば、そうとしか思えない。
アデウスを遠くから見るだけで幸せだと感じることもあれば、なぜ自分以外の女性を好きになのだろう、と恨みがましく思うこともある。
そしてまた、冷静さを取り戻して自分の強欲さを恥じてしまう。
アデウスを思うと、気持ちがあまりに揺さぶられて、とてつもなく苦しくなることもある。
(こんなの、私らしくないわ……きっと、教皇庁に戻って治癒の仕事をするようになれば平常心を取り戻すはずよ)
そう、自分に強く言い聞かせる。
心を落ち着けようと、ティーカップを持ち上げると庭園から皇女宮に向かって歩いてくる近衛兵の姿が見えた。
すっきりとした立ち姿に目が奪われたが、やはりそれはアデウスだった。
ユレニアはどんなに遠くからも、彼を見分けることができるのかもしれない。
そんな自分が、どうにも恥ずかしくて堪らなかった。
(あぁ……せっかく落ち着いてきたのに、また胸が痛くなってきたわ……)
ため息をつくユレニアに気づき、アデウスは遠くから頭を下げてきた。
「……簡易公判?」
聞き慣れない裁判用語を、ユレニアは聞き返した。
「非公開で行われる略式裁判だと思っていただければ」
「そうなの……」
アデウスの説明に、ユレニアは頷いた。
二人は夕暮れ時の庭園を散策している。話があると訪ねてきたアデウスを、散歩に誘ったのはユレニアのほうだった。
宮廷の裏庭には、鄙びた美しさがある。
皇宮で食される果物や野菜などを作る農園があり、羊や鶏などの家畜もゆったりとした敷居の中で飼われていた。
雅な皇宮の中で珍しく牧歌的なこの場所は、田舎での暮らしに慣れているユレニアにとって懐かしさを感じさせる場所でもあった。
たしかに、大きな噴水を忠心に幾何学的なデザインがされた前庭は、瀟洒ですばらしいとは思うが、ユレニアにとって落ち着く場所は裏庭のほうだ。
この場所を好んで散歩するのは、皇妃を始めとする宮廷の貴婦人方はあまりここに近寄らないからという理由もあった。
そのお陰で、アデウスと密談をしても人に聞かれる心配は少ない。
「……でも、陛下はどう思われるかしら? 当事者同士で話し合えって言って来たりしない?」
簡易公判とは言え、裁判官が立ち会う正規のものだ。
皇妃を裁くことを皇帝が許すとは、ユレニアには到底思えなかった。
「ご心配なさらなくても大丈夫です。ロベルシュタイン公爵が陛下に話をしております。近いうちに、召集がなされるでしょう」
「そこで、私は何をすればよいのでしょう?」
ユレニアは、不安そうに瞳を揺らす。
「私と共に原告として立っていただきたい。証人は近々参ります。皇女殿下の暗殺に関わるので極秘で動いておりましたが、実は下手人の中に一人だけ生き証人がいるのです」
「まあ!」
「その男の言う組織を調べたり証拠集めをしたりするのに手間取りましたが、ようやく片がついたそうです。これ以上、皇女殿下に被害が及ばないように、私も最大の努力をしたいと思っているのです」
近衛兵としての責務を全うしようとしているアデウスの姿は、ユレニアにとって眩しいものだった。
それと同時に、皇女に対する微かな妬ましさも湧いてくる。
彼が懸命に仕えているのは、ルドヴィカ皇女であってユレニアではない。あくまでユレニアは、元通りに体を交換して皇女の魂が戻るまでの代役なのだ。
(結局、私はアデウス様にとっては一番になれないんだ……)
こんな卑屈な気持ちは持つべきではない。
それくらい、ユレニアだってわかっている。
表面的に笑顔を向けるのはたやすいことだった。これまでだって、聖女としてそう努めてきたのに――。
倒れるほどではなくとも、これまで体力的にも精神的にもつらいことはたくさんあった。
それでも、助けを求める人々のほうが自分の何十倍もつらいと思って、聖女としての仮面を被って微笑んできた。
だから、そうすればいいだけのことなのに……なぜか、今だけはうまく仮面を被ることができなかった。
もうすぐ、アデウスと離れ離れになる。皆が元に戻るだけなのに、ユレニアの恋心だけは置いてきぼり……。
どんなに恋い焦がれてもアデウスには他に好きな人がいて、公式の場面では本物のルドヴィカ皇女に忠誠を誓っている。
彼にとって、ユレニアはほんの一時期の皇女の代役に過ぎないのに、ユレニアにとっては一生忘れられない相手になるのだろう。
(忘れなきゃ……忘れる準備をしなきゃいけないのに……)
そう思って、ユレニアは心を落ち着かせる。
「……もちろん、アデウス様のお望みのままにいたしますわ」
「ありがとうございます! 恩に着ます!」
喜ぶアデウスに相反して、ユレニアは悲しそうな笑みを浮かべる。
「そう言えば……大神官様から、返事が参りました」
「大神官様から……?」
「ええ。一週間ほどでこちらに到着するとのこと。簡易公判が終われば、私と皇女様は元に戻ると思いますわ」
なるべく事務的な口調で伝えると、アデウスは暫し口を噤んだ。
「そう……ですか」
予想したような反応が返ってこないことを、ユレニアは不審に思う。
(いったい、どうしたっていうの? アデウス様は、元通りの生活を望んでいらっしゃるわけではないのかしら……)
何かしらの痛みを堪えるような彼の表情に、ユレニアは首を傾げた。
「聖女様も……教皇庁に戻ることを、望んでいらっしゃるのですよね?」
「……そうですわね。教皇庁でも治癒者は一人でも多いほうがいいでしょうし」
そう答えると、アデウスは苦笑した。
「愚問でした。私も聖女様が一日でも早く、教皇庁に戻れるよう尽力いたします」
「ありがとうございます」
ようやく、聖女としての仮面を被ることが成功したようだ。
しかし、アデウスの反応にどこか期待をしてしまう自分がどこかにいる。
そんな期待は捨ててしまったほうがいいのに、そうできないのが歯痒かった。
(アデウス様にはご自身の道があるのよ。私がおかしな態度をとって、それを邪魔したらいけないわ)
よそよそしい態度を保ったまま、二人は皇女宮への帰路を歩き出した。
そこには、皇女に対して慇懃な調子で文章が書かれていた。準備ができ次第、すぐに皇宮に向かうとしたためられていることから、こちらの苦境を察してくれているのだろう。
筆跡をわざと自分の元の筆跡のままで書いたから、グラストン大神官ならルドヴィカとユレニアの中身が変わっていることがわかるはず。
聖女の体に入り込んでしまったルドヴィカも、大神官と同行するだろう。
(よかった……これでようやく元に戻れるんだわ)
午餐を終えたユレニアは、テラスに用意してもらったお茶を飲みながら、大神官から来た手紙を何度も読み返した。
しかし、教皇直轄領から皇都までは、早くとも馬で一週間はかかる。
移動魔法を使えば、あっという間に到着するらしいが、このヴェルク帝国では皇帝の命がなければ魔法の使用は許可されない。
万が一使えたとしても、ルドヴィカの体調が万全である必要がある。ただでさえ、移動魔法を使うと、おそろしく体力を消耗する。
しかも、神聖力は魔法とは相容れない異能なので、皇女のように強い神聖力の持ち主には悪い影響が及ぶかもしれない。
それでも……一週間かかるとしても、まったく先が見えない状況からは脱したのだ。
ようやく不確かな未来に、明るい兆しが見えてきた。
その一方で、ひとつだけ悲しいことがある……アデウスとの関係だ。
聖女の体に戻ったら、彼とは離れ離れになってしまう。恋心を抱くユレニアは複雑な心境だった。
(……でも、近くにいるから、欲張りになってしまうんだわ)
自分の想いを客観視すれば、そうとしか思えない。
アデウスを遠くから見るだけで幸せだと感じることもあれば、なぜ自分以外の女性を好きになのだろう、と恨みがましく思うこともある。
そしてまた、冷静さを取り戻して自分の強欲さを恥じてしまう。
アデウスを思うと、気持ちがあまりに揺さぶられて、とてつもなく苦しくなることもある。
(こんなの、私らしくないわ……きっと、教皇庁に戻って治癒の仕事をするようになれば平常心を取り戻すはずよ)
そう、自分に強く言い聞かせる。
心を落ち着けようと、ティーカップを持ち上げると庭園から皇女宮に向かって歩いてくる近衛兵の姿が見えた。
すっきりとした立ち姿に目が奪われたが、やはりそれはアデウスだった。
ユレニアはどんなに遠くからも、彼を見分けることができるのかもしれない。
そんな自分が、どうにも恥ずかしくて堪らなかった。
(あぁ……せっかく落ち着いてきたのに、また胸が痛くなってきたわ……)
ため息をつくユレニアに気づき、アデウスは遠くから頭を下げてきた。
「……簡易公判?」
聞き慣れない裁判用語を、ユレニアは聞き返した。
「非公開で行われる略式裁判だと思っていただければ」
「そうなの……」
アデウスの説明に、ユレニアは頷いた。
二人は夕暮れ時の庭園を散策している。話があると訪ねてきたアデウスを、散歩に誘ったのはユレニアのほうだった。
宮廷の裏庭には、鄙びた美しさがある。
皇宮で食される果物や野菜などを作る農園があり、羊や鶏などの家畜もゆったりとした敷居の中で飼われていた。
雅な皇宮の中で珍しく牧歌的なこの場所は、田舎での暮らしに慣れているユレニアにとって懐かしさを感じさせる場所でもあった。
たしかに、大きな噴水を忠心に幾何学的なデザインがされた前庭は、瀟洒ですばらしいとは思うが、ユレニアにとって落ち着く場所は裏庭のほうだ。
この場所を好んで散歩するのは、皇妃を始めとする宮廷の貴婦人方はあまりここに近寄らないからという理由もあった。
そのお陰で、アデウスと密談をしても人に聞かれる心配は少ない。
「……でも、陛下はどう思われるかしら? 当事者同士で話し合えって言って来たりしない?」
簡易公判とは言え、裁判官が立ち会う正規のものだ。
皇妃を裁くことを皇帝が許すとは、ユレニアには到底思えなかった。
「ご心配なさらなくても大丈夫です。ロベルシュタイン公爵が陛下に話をしております。近いうちに、召集がなされるでしょう」
「そこで、私は何をすればよいのでしょう?」
ユレニアは、不安そうに瞳を揺らす。
「私と共に原告として立っていただきたい。証人は近々参ります。皇女殿下の暗殺に関わるので極秘で動いておりましたが、実は下手人の中に一人だけ生き証人がいるのです」
「まあ!」
「その男の言う組織を調べたり証拠集めをしたりするのに手間取りましたが、ようやく片がついたそうです。これ以上、皇女殿下に被害が及ばないように、私も最大の努力をしたいと思っているのです」
近衛兵としての責務を全うしようとしているアデウスの姿は、ユレニアにとって眩しいものだった。
それと同時に、皇女に対する微かな妬ましさも湧いてくる。
彼が懸命に仕えているのは、ルドヴィカ皇女であってユレニアではない。あくまでユレニアは、元通りに体を交換して皇女の魂が戻るまでの代役なのだ。
(結局、私はアデウス様にとっては一番になれないんだ……)
こんな卑屈な気持ちは持つべきではない。
それくらい、ユレニアだってわかっている。
表面的に笑顔を向けるのはたやすいことだった。これまでだって、聖女としてそう努めてきたのに――。
倒れるほどではなくとも、これまで体力的にも精神的にもつらいことはたくさんあった。
それでも、助けを求める人々のほうが自分の何十倍もつらいと思って、聖女としての仮面を被って微笑んできた。
だから、そうすればいいだけのことなのに……なぜか、今だけはうまく仮面を被ることができなかった。
もうすぐ、アデウスと離れ離れになる。皆が元に戻るだけなのに、ユレニアの恋心だけは置いてきぼり……。
どんなに恋い焦がれてもアデウスには他に好きな人がいて、公式の場面では本物のルドヴィカ皇女に忠誠を誓っている。
彼にとって、ユレニアはほんの一時期の皇女の代役に過ぎないのに、ユレニアにとっては一生忘れられない相手になるのだろう。
(忘れなきゃ……忘れる準備をしなきゃいけないのに……)
そう思って、ユレニアは心を落ち着かせる。
「……もちろん、アデウス様のお望みのままにいたしますわ」
「ありがとうございます! 恩に着ます!」
喜ぶアデウスに相反して、ユレニアは悲しそうな笑みを浮かべる。
「そう言えば……大神官様から、返事が参りました」
「大神官様から……?」
「ええ。一週間ほどでこちらに到着するとのこと。簡易公判が終われば、私と皇女様は元に戻ると思いますわ」
なるべく事務的な口調で伝えると、アデウスは暫し口を噤んだ。
「そう……ですか」
予想したような反応が返ってこないことを、ユレニアは不審に思う。
(いったい、どうしたっていうの? アデウス様は、元通りの生活を望んでいらっしゃるわけではないのかしら……)
何かしらの痛みを堪えるような彼の表情に、ユレニアは首を傾げた。
「聖女様も……教皇庁に戻ることを、望んでいらっしゃるのですよね?」
「……そうですわね。教皇庁でも治癒者は一人でも多いほうがいいでしょうし」
そう答えると、アデウスは苦笑した。
「愚問でした。私も聖女様が一日でも早く、教皇庁に戻れるよう尽力いたします」
「ありがとうございます」
ようやく、聖女としての仮面を被ることが成功したようだ。
しかし、アデウスの反応にどこか期待をしてしまう自分がどこかにいる。
そんな期待は捨ててしまったほうがいいのに、そうできないのが歯痒かった。
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