僕がサイコキネシスを使えるようになった日、少し始まる世界変遷譚

鏑屋アレン

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第二章 ジャックポットの実入りは微妙

中村瑞希の教室移動

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 昨日はUFOを見た中村瑞希だっただが、特別大きな興奮は無く、負の感情うごめく嫌な夜を迎えた。翌日、歯を食いしばって朝体を起こし学校へ向かう。昨日のUFOの事など、街中で10円玉を拾った程度にしか感じていなかった。いつも通りに始業のチャイムが鳴り、授業は始まる。
 授業と授業の間の休み時間。クラスは、いつもより騒々しい。次の授業は、物理室で行われるため移動の準備をしているのだ。瑞希も筆記用具、教科書等を準備する。移動が始まる。瑞希は、一人で行くことは全く気にしないが、教室に入るタイミングは気にしていた。早く行き過ぎて一人で待つのは嫌なのだが、あまりに遅くほぼ生徒が揃ってから教室に入るのは嫌だった。いったんトイレで用を足してから、教室に向かう。トイレで用を足すために一度教科書を置くとき、小便器の上の部分の荷物置きなのか分からない箇所に置くのは汚い気もするのだが、まぁ置くしかないと思う。教室は階が違う場所にあり、そこそこの距離がある。移動中、荷物を持っているように見せながら、実は念力を使い少し浮かせながら移動していると長めの廊下の遠目に、緑色のでかいものが見えた。
 目の前には、瑞希と同じクラスの女生徒が2人で話しながら歩いている。そして、その奥に緑のでかいものは見え、少しずつ生徒の方に向かってきている。瑞希は、一瞬目を疑ったが、直線状のため目を逸らすこともなく、それが何か分かった。河童だ。目つきは鋭く、口は横に大きく口先は尖っていて、緑色の顔だがそれが例え肌色で人間がそのような顔つきをしていても絶対に近づかないくらい、怖さを感じるものだった。それが、全身緑色で天井で体がつっかえ少し猫背になるくらいでかい。瑞希は、はっきりと恐怖し体が条件反射的に半歩下がったが、目は逸らさなかった。女学生は、普通に歩いている。なんか良く分からないSNSかなんかの話をしている。河童の存在に気が付いていない。瑞希は、念力を止め、教科書をぎゅっと握りしめ、河童を視線に入れながら女学生の後を歩く。河童に近づく。そしてすれ違う。横目に河童を視野に入れながらゆっくりと後ろを振り向き立ち止まる。視線を上に上げると
河童と目が合った。心臓が止まったと感じるくらい、冷や汗が出ていることを感じるくらい恐怖した。口からは、少し声がこぼれた。
 河童は、ニコッとし、軽く会釈して廊下を歩いて行った。瑞希は、その場で立ち尽くし河童の背中を見ていたが、立ち止まっている瑞希を不思議に思う生徒の視線を感じたので、軽く息を吐きだし教室に向かった。教室には、早くもなく、遅すぎもしないちょうどいいタイミングで着いた。
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