僕がサイコキネシスを使えるようになった日、少し始まる世界変遷譚

鏑屋アレン

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第1章 良い台待てば当たりやすいのに

中村瑞希の体育授業

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 体育の授業を、瑞希は好きではない。本来体を育てると書く体育は、一人で黙々と動物としての力を伝達を用いて育むモノだろうと思うが、複数人で行う授業が多い。今日の授業は、サッカーだ。クラスに20名しかいない男子生徒がランダムに半分に分けられて試合を行うだけの授業だ。どうやら、試合でどれだけサッカーをプレイしたが成績につながるらしいが、運動が不得手な瑞希はボールにほとんど触らないから成績は低いだろう。そもそも瑞希は成績を気にしていないから関係が無いのだけど、サッカー経験者や運動が得意な生徒が得をするならいいがクラスになじめている方がチームプレイはできるわけで、そうでない生徒が不利なことには到底納得していない。そんな事を考えながら、瑞希と同じくクラスにあまりなじんでいないクラスメイトとパスを出し合いウォーミングアップをする。
 サッカーの試合が始まると、瑞希は後ろの方に構えて、半径10メートルくらいを行ったり来たりする。決して、ボールに触れようともせず、そしてクラスメイトもボールをパスしようとしない。瑞希は、もしこの様子を成績にするのなら5段階中1か2だろうと思うが、これでも3になる。出席点とか色々あるらしいが、それでもサッカーと言う
競技をしていないし理解しようともしていないので、数学で言ったら問題を解いていないし公式を覚えていないわけだから、赤点にならないのは不思議である。今日も目でボールを追いかけ続けて授業が終わりにしようかとも瑞希は思ったが、念力が使えるのでスーパーシュートを放つことができる。それこそ、高校中退でプロになれるようなシュートができる。瑞希は、体育の先生に「そこら辺にいる連中、真面目にやらないかッ」と言われながら、そんなことを思った。しかし、こんなとこで目立っても仕様がないし、よくよくサッカーを見ているとボールを超能力で動かしたら物凄く不自然に映るなと思った。瑞希の筋肉で強いシュートが打てるわけもないので、超能力シュートは違和感だらけだ。正確なパスを出すことはできるが、簡単なパスならよっぽどじゃない限り、誰だって正確にできるものだ。
 さてどうしたものかと思いながら立っていると、クラスメイトの一人がゴール前で大きな声を出しパスをもらおうとしていた。シュートを打つ気だろう。瑞希は、出されたパスボールを、その生徒がノータッチでシュートを打とうとした瞬間に止めたら、生徒は盛大に空振りをした。ボールは、不自然にぴったとその場で止まっていた。
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