上 下
353 / 559

濡れた髪は好物です

しおりを挟む
 全員到着したのでコテージに移動した、屋敷ほどないが少し広めの風呂には4,5人なら余裕で入れる広さがある、マラソン組はみんな一緒に入浴中だ。

 「みんなお肉が食べたいと思いますので、ファング系がいいですかね?」
 「そうだな……ブラックファングのステーキと昼のシチューでいいかな?」
 「昼のシチューは完食されました」
 「そうだったか?美味くてみんなお代わりしまくってたからな」
 「……クリームシチューまた食べたいですか?」
 「食べたいけど、作り直すならみんな別のがいいと思うかな?」
 「そうですね、リクエストありますか?持ってきた食材で答えられるかはわかりませんが」
 「豚汁とかできる?」
 「豚汁なら……お肉とお野菜も少しお願いします」
 「キッチンに置いておくよ」

  頼まれた食材をキッチンに置いて、俺の仕事は終了してしまった。今回の旅は完全に鞄しか役に立ってないぞ……

「ノア、手伝います」
 「どれから切ればいい?」
 「僕にできる事ある?」
 「……料理は食べる専門、教えてくれるか?」

  風呂から上がったみんなが料理を手伝い始めた。ほとんどのメンバーが料理できるのでキッチンはいつも楽しそうな声が聞こえている、ノアが来てからは屋敷の料理はノアが仕切っているような感じがするが別に威張り散らすとかじゃなく、自然とそんな風になっている。

  それにしても風呂上りは危険だ!正確には……濡れている髪が好きなだけなんだが、濡れるってだけでいい、髪に限らず、服も濡れるとテンションがあがる。部屋着にとヒカリ達が作った少し大きめのスエットっぽい服に濡れた髪……殺しにかかっているとしか思えない……

「濡れた髪がそんなにいいのですか?」
 「さいこーだな……」
 「ブカブカの服がいいのですか?」
 「さいこーだ……」
 「その二つを合わせると?」
 「さいきょうだな……」
 「……」
 「おぉおお!びっくりした!いつから横に?」
 「みんなからお風呂入ってどうぞと変わってくれまして、浴場に向かおうとしたら野獣が襲う機会を伺っていたので観察していました」
 「だいじょうびだ」
 「そのセリフで大丈夫ではないかと」

  いつのまに……別の事に集中すると人の気配とか解らなくなる、特に周りにみんなしかいないと気が抜けてしまう。

 「ではさっさと行きましょう」
 「俺もか?」
 「背中流して欲しいと言ってたではないですか」
 「そうだな……お願いするか」

  ノアに背中を流してもらった事はあるが、いつもはぴーくーやロックが必ずいたから……俺は今、緊張してるのか?準備をするからと先に浴場にいるのだが落ち着かない。

 「お待たせしました」
 「あれ?メイド服……じゃないのか?!」
 「洗濯中です、わざわざ入浴の為に新しいメイド服を出すのもなんですし湯着はないので水着です」
 「あーあーそうか?ビキニ?ビキニの水着?」
 「横の紐を引っ張ると脱げてしまうので絶対にやめてください」

  フリか?!フリなのか?!……ノアの髪に近い色の黒に近い紫のビキニ……長い髪をお団子にして……全てがいつもと違う。

 「あの……そんなにジロジロと見られると……殴りますよ?」
 「殴られる位で見てていいならどうぞ」
 「馬鹿な事言ってないで頭洗うので座ってください」
 「……はい」

  丁寧に全身を洗ってくれる……その後は特にイベントも起らず……イベントも起きず……

「今日もいい天気だねー!」
 「そろそろ冬も終わりですね……風がきもいちいい」
 「ほんとだねーぽかぽかしてて……トシ様?」
 「……ん?」
 「元気ないですか?」
 「元気すぎる感じだな」
 「それならいいのですが?」


  今日中にダンジョンへ到着しダンジョン前で一泊し明日が本格アタックだ!頑張れ俺!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性奴隷を飼ったのに

お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。 異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。 異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。 自分の領地では奴隷は禁止していた。 奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。 そして1人の奴隷少女と出会った。 彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。 彼女は幼いエルフだった。 それに魔力が使えないように処理されていた。 そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。 でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。 俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。 孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。 エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。 ※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。 ※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜

平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。 『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。 この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。 その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。 一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

ヒューマンテイム ~人間を奴隷化するスキルを使って、俺は王妃の体を手に入れる~

三浦裕
ファンタジー
【ヒューマンテイム】 人間を洗脳し、意のままに操るスキル。 非常に希少なスキルで、使い手は史上3人程度しか存在しない。 「ヒューマンテイムの力を使えば、俺はどんな人間だって意のままに操れる。あの美しい王妃に、ベッドで腰を振らせる事だって」 禁断のスキル【ヒューマンテイム】の力に目覚めた少年リュートは、その力を立身出世のために悪用する。 商人を操って富を得たり、 領主を操って権力を手にしたり、 貴族の女を操って、次々子を産ませたり。 リュートの最終目標は『王妃の胎に子種を仕込み、自らの子孫を王にする事』 王家に近づくためには、出世を重ねて国の英雄にまで上り詰める必要がある。 邪悪なスキルで王家乗っ取りを目指すリュートの、ダーク成り上がり譚!

強制無人島生活

デンヒロ
ファンタジー
主人公の名前は高松 真。 修学旅行中に乗っていたクルーズ船が事故に遭い、 救命いかだで脱出するも無人島に漂着してしまう。 更に一緒に流れ着いた者たちに追放された挙げ句に取り残されてしまった。 だが、助けた女の子たちと共に無人島でスローライフな日々を過ごすことに…… 果たして彼は無事に日本へ帰ることができるのか? 注意 この作品は作者のモチベーション維持のために少しずつ投稿します。 1話あたり300~1000文字くらいです。 ご了承のほどよろしくお願いします。

分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活

SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。 クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。 これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

処理中です...