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ロックは空気

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 鞄から飛び出したぴーくーはトキの両肩に乗り、ついでのロックは俺の頭の上で…たぶんヌンチャクを披露している。

 「!!!…白龍と黒龍じゃと!!!」
 「ぴーちゃんとくーちゃんです!」
 「ぴー!」
 「くー!」

  お婆さんはかなりびっくりしている。

 「えっと?白龍と黒龍は珍しいんですか?」
 「…知らんのか?…お主…転生者か!?」
 「転生者ってというか転移者?迷い人ってやつですね」
 「今は迷い人と言うんじゃったな…全員…ではなさそうだが…」
 「何人かは迷い人です、でもぴーくーに誰もそこまでの反応しなかったよな?」
 「私達とほとんど最初から一緒にいるしね」
 「一緒にいるのが普通です、ぴーちゃんもくーちゃんも家族ですからね」

  ルナとフィアも似たような反応だ。

 「この世界には神の使いとされる龍がおり、落ちた神…落神と呼ばれる者との戦いでその身に呪いを受け封印された白龍と黒龍の話は知っておるか?」
 「婆の使いだった白龍の話は聞いた気がするけど…よく覚えてないな?」
 「婆?…女神ソレ様の事では…ないだろうな?」
 「それだそれ!婆にトラウマ植え付けられたからな、死んだ俺をこの世界に送ってくれたことには感謝しているが…ん?すでに感謝の方が大きいな…トラウマも…もう平気だし…婆呼びはやめようかな?」
 「会ったのか?!ソレ様に会ったのか!?ごほっごほっ」

  興奮しすぎて咳き込んでしまったお婆さんが落ち着くまで一旦休憩だ。みんなと生活するようになりトラウマは全くなくなっていた。これからはソレ婆ちゃんとでも呼んでやるかな。

 「すまんな、年甲斐もなく興奮してしまった…ソレ様の話…聞きたいのだが…いいかの?」
 「俺もそんなに知ってる訳じゃないけど、前の世界で死んで使い物にならなかった肉体を再生してもらって
、この首輪と一緒にこっちに送ってもらったって位なんだが」
 「肉体を再生?こちらに来る者は成長段階の状態でこちらに来るのではないのか?」
 「ん?どういう事だ?」
 「わしも聞いた話で確証はないのだが、前世で死んだ者はこちらに来る時にその者がこちらの世界で対応できるように成長期の姿で再構築されると聞いたのだが…幼い者などは、そのままの姿らしいが…」
 「そういえば…ミヤコ姉ちゃんや他のみんなも12歳から15歳位の姿でこっちに来てるな…」
 「寿命を全うし転生した場合は0歳にして亡くなってしまった身体に宿るとも言われておるが…正確には解っておらぬ」

  ミヤコ姉ちゃんは病気だった…病気は寿命じゃないのかな?

 「肉体を作り直すなど…それでソレ様は今何を!?」
 「寝てる?」
 「寝てる?!」
 「俺のいた世界の神様やりながら、こっちに来る適性のある男を探してたとかなんとか?それで俺に干渉して力が足りないから数年寝るとかなんとか?そんな事、言われた気がするが…夢か?良く解らん」
 「なんとかが多いな、それでも生きていてくれたのか…」

  余程嬉しいのか泣かしてしまった…その間にノアがみんなの分のお茶を入れなおしてくれた…さっきより美味いが言えないな…

「なんどもすまんな…こんなに嬉しい事が生きているうちにあるとはな…ソレ様が肉体を与えたと言う事はソレ様の息子とも言えるの…わしの事も本当の祖母と思ってくれて構わんぞ?」
 「それならトキのお婆ちゃん?」
 「俺の祖母ならみんなのお婆ちゃんだな」
 「わーい!お婆ちゃん!」

  さっきまでのヨシコ御伽噺はすっかり忘れてしまったようで、みんな一気になついてしまった。

 「それで…お婆さんは何者なのですか?」
 「勝手に盛り上がってしまってこちらの事は言っておらなかったな」
 「いえ、なんとくなくなんですが悪い人ではないと解っていたので問題ないですよ」


  この善意、悪意がなんとなく解る力もソレ婆ちゃんがくれたものなのかな?
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