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言い出しっぺは負ける法則の巻

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 深夜に紛れて帝国に侵入するため準備を整える。
 全員予定より少し早く起床したのでのんびり食事をし、小屋を回収して出発した。

「そういえばだれか輝星に到着は夜になるって連絡したかー?」
「してないです」
「してないっす」
「リーダーしたよな?」
「こんな時だけ思い出したようにリーダーって呼ぶな、忘れてたよ、今からしておく」
「任せたー」
「トシさん大丈夫ですかー?」
「だいじょーぶ、何も問題ないぞー」

 何が大丈夫か……じゃんけんで負けたんだよ!マジックバックに馬車が入りっぱなしなのは知っていたが、あの馬っぽいのを呼び出す笛はイーヒが改良したいと言ったので返したままだった。

------------------------------------

「うへーまたこの道歩くのー?」
「馬車の荷台はあるぞ」
「荷台だけあってもな……やっぱり走るか?」
「じゃんけんだ!負けが引くでどうだ?」
「自分引きます!」
「光宙こういうのは平等だ、年下とか関係なし!」
「はい!」
「大丈夫だ、大概こういうのは言い出しっぺが負ける」
「いやいや、負けるって言うやつが負ける!」

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 回想終わりだよ!

「あの……本当に大丈夫ですか?」
「大丈夫大丈夫!普通に走ってるのと変わらないぞ」
「あ……違くて、こんなスピードで馬車大丈夫ですか?中で変な音してます」
「ヒカリ達が作ったんだちょっとやそっとじゃ壊れないはずだ」
「トシ!スピード落とせ!車軸!たぶん車軸が軋んでる音だ!」
「まじか!もうちょい落とすー!」
「馬想定だろ!トシ想定で作ってないだろうが!」
「怖かったの……お尻の下でピキッ!ピキッ!って怖かったの……」
「壊れる可能性が高いジェットコースターって感じだったねー」
「なんで楽しそうなのよ!」
「壊れてもトシさんが何とかしてくれるかなーって」
「チヨさんすげー」
「ふふーん!男を見る目は自信あるからねー!」
「過去を聞きたいが聞けない……」
「だって男で興味持てる人いなっかたしーその私がこの人凄いって思えるって事は凄い凄いはず!」
「凄い凄いって何よ」
「凄いより凄いって事!超凄いの上!」
「見えてきたぞーここからは歩くから降りろー」
「へ?見えてきたって何が?」
「何がって帝国だよ帝国バスクルが見えてきたんだよ」
「魔の森からまだ1時間も経ってないんですが、行きは半日、6時間歩きっぱなしでしたよ?」
「トシだからしょうがない」
「トシさんだしな」
「しょうがないしょうがない、この程度で驚いてたらキリがないっす」

 やっとみんな降りたか。楽しそうに話しやがって風の音で会話はほとんどわからなかったよ。

「んじゃ俺は誰運ぶ?」
「「「はい!」」」
「私はカズさんでお願いします」
「「「どうぞどうぞ」」」
「一番小さいメイは肩車な、背中にナルミ、前にメグリ、右リィナ、左チヨな」
「同時にですか?」
「拒否権はない、嫌なら太郎か光宙に頼む」
「「「……」」」

 しゃがんで全員を乗せ不壊で固定、よし!問題ないな。

「メイ、門の場所はどことどこだ?」
「ここからだと南西にひとつと」
「まてまて南西とかわからない、指であっちとかやってくれ」
「あっちとあっちなの」
「うっし、なるべくその間の見張りがいなそうなところ向かうけど、ずれると思うからずれたら指で向かう方向さしてくれ」
「方向音痴なの?」
「俺以上の方向音痴はあったことがない、三十路越えて地元の駅で迷子になった事もある」
「え?地元で?」
「いつもの道が工事で通れなくて、ってそれは今度、ここからはおしゃべり禁止なー」
「「「はい」」」
「いくぞ!」


 城壁を越えて入ってくる人間がいる事を想定していないのか侵入は実にあっさりしたものだった。カズの伝えた到着時間まで余裕があったので俺達は先に冒険者ギルドへ向かう……
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