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お土産は魚

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 カズの件がどうなったのかは今度でいいかな。……別の実験だな。

(おっすおっす)
(おい!!ここ数時間念話が通じなかったがなにが起きた!?)
(ん?特に何も?)
(ライスタールに男性兵が集められたと連絡が来たのだ!その後、トシ達に連絡が取れなくなり……)
(なんでだろ?もしかしたらロエの屋敷の結界内にいたからか?でもみんなとは念話できてたし?)
(ロエ大魔王の屋敷?!)
(男性兵は勘違いだぞ、もう断ったから大丈夫だ)
(断った?まて!しっかり順を追って話せ!)
(……俺にそれを求めるのか?)
(できる範囲でいい、あとで詳しく別に聞くが今はトシでいい)
(トシでいいって……よっぽど焦ってんだな)
(そうに決まってんだろ!使者全員と連絡が付かなくなった上に兵が集められたなんて聞いたら!)
(……まず兵の件は勘違いから起こった悲しい事件だ)
(それで?)
(なんか俺達一行をライスタールを亡ぼしに来たとか思っていたらしい、献上品として受け取れとか言われてさ)
(……トシ達の力が解るやつがいたのか……)
(ロエがそっち系のスキルいっぱい持ってるみたいだな)
(……さっきから気になってたのだが……トシ……ロエ大魔王を……)
(元大魔王になった)
(……いつ戻る?詳しく把握したい)
(丁度いい!実験に付き合ってくれ)
(ん?なんの実験だ?)
(多分だが……とにかくサリアの屋敷に来てくれ)
(……了解、ライスタールが問題ないのならすぐに行けると思う)

「ピン?」
「なんです?」
「会話聞こえてた?」
「聞こえないですよ?とししゃまがピンに語りかけてくれないと中にいると聞こえないです」
「もしかしてジルベルの屋敷にいると念話って使えないのか?」
「です!とししゃまの契約者は使えるようにしたです!」
「やっぱそうだったか、契約者以外も念話を通じるようにできるか?」
「できるですよ!もどったらやりますです!」

 ラグナが屋敷に到着するまで時間があるので、訓練所のみんなに魚の差し入れでもしちゃうかな。ラグナに一言伝え訓練所に移動する。

「こんちわー!」
「あー!としさまー!」
「おー!ひさしぶりだな、オリビアさん達の誰かいるか?」
「よんでくるねー!」

 俺に気が付いた子が集まってきた。サリア周辺の孤児院の子達がどんどん増え、実質サリア領土にある孤児院の7割、3桁近い人数が訓練所に住んでいる。

「としさまー今日はどうしたんですか?」
「んー?今日はお土産渡そうと思って少し寄ったんだよー」
「おみやげ!おかし!?」
「ごめんなーお菓子じゃないんだよ、今日はお魚だよ」
「おさかなー!おさかなひさしぶりー!」
「としさまおさかないっぱい?」
「みんなで食べれる分はあるかな?」

 呼びに行ってくれた以外の子がどんどん集まってきてしまった。特に小さい子が突っ込んで来て、少し年齢の高い子や研修生的にここにいるお姉さん方は少し離れて会話に混ざっている。

「トシ君いらっしゃい」
「ソフィアさんこんにちわ、もうこんばんわかな?」
「相変わらず子供ホイホイだね」
「子供ホイホイとかやめて、ってトシ君?前まで呼び捨てじゃなかった?」
「あー、一応わたし達の実質オーナーみたいな人だから呼び捨てはどうかなーと」
「別に気にしないのに」
「あはは、トシ君はそう言ってくれても体面もあるしね、二人っきりになる事があったら呼び捨てにするよ」

 訓練所の代表的な立場にあるオリビアさん、ネルティさん、ソフィアさんは仮契約状態にある。軌道に乗るまでって言われて、手に契約をしたのだが出会った頃からソフィアさんはグイグイ来るんだよな。

「それで今日はどうしたの?ライスタールに行ってるって聞いてたんだけど?」
「アリア達と一緒に襲撃されたって聞いたから様子見とお土産をちょっとね」
「おぉ!お土産!」
「港で新鮮な魚を買えたからさ、それより襲撃された時にいた子は大丈夫?」
「平気平気!どっちかというとアリアちゃんと一緒に追いかけようとした子の方が多かったみたいよ」
「みんなやる気満々なのか」
「でもレイちゃん達に袋にされたアリアちゃん見て怖気づいたって聞いたよ」


 袋って……ラグナが屋敷に到着するまでみんなと話をして、結局持っていたお菓子をあげてしまった、非常食が……すぐに食べれるお菓子がないと何となく不安なんだよ……
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