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演技指導

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「サリアが……まさか本当に……」
「ライスタールを亡ぼしに来たっていうの?……条約を再度結ぶと言うのは嘘だったの……」
「間違いないのよね?」
「わからないの!?……7人全員が1人で国と戦える戦力……特にあの男……化物としか……」
「どうするの!?」
「ラスソルツの海域に入って直ぐに判明したのじゃが……時間が足りなすぎる……」
「近くの町などの男性は全て集めましたが……それだけで大丈夫でしょうか……」
「いざとなれば……命に代えても……国は守る!」
「ロエはそんなに強くないでしょ?なにか策を……」
「はっきり言わないでよ!」
「索敵と探知に極振りスキル構成でなにができるの?」
「あたしのせいじゃないもん……」
「魔王なんでしょ!口調が素になってるわよ」
「もういいでしょ?あなた達しかいないんだし……明日でライスタール無くなるかもだし……」
「「「……」」」

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 どうしよう……グレミオより厳ついおっさんが出てきたらちゃんと話せないかも……レラムみたいな魔王だったらいいな……

「トシ?どうしたの?」
「緊張してるのですか?」
「国王と初めて会う時ってなんだかんだで何とかなってたけど正式に会うのってさ……」
「今回はフィアの護衛なのよ?後ろで立ってればいいだけよ?」
「あ!そうだった!俺は話さなくていいんだ!」
「でもちゃんと話は聞いてよね」
「おう!任せろ!」

 そうだ!そうだ!俺はおまけなんだ!舐められない様にキリっと立ってればいいだけだ!

「余計な事言わなくていいのよ、ニヒルに笑みを浮かべてるだけでいいわ」
「こんな感じか?」
「……なにそれ?」
「ニヒル?……ニヒルってなんだ?」
「まずはその唇やめて……」

 アヒル口はダメらしい……アヒルは関係ないのか?表情の指導が謁見まで続いた……難しい……

 ミニスカさんが呼びに来た、案内に従い……どこの国も同じだな、デカい扉の前で待たされる。この時間はいつも緊張する。巨大な扉がゆっくり開かれて、ミニスカさんの合図で中に入る……

(人多すぎじゃないか!?)
(きょどらないで下さい!練習の通りに!)
(そうだな……)

 まだ玉座に誰も座っていないが、その周りには数えたくない程の人がいる……さらにそれを囲う様に全身鎧の兵隊さんが……

 よし!威厳で負けない様に茶色の限界まで全身に魔力を纏い、空気に魔力を送るように……体外に魔法としては発動しないが無意味に出すのは何とか……
 
(なにやってるのよ!)
(え?威厳を出そうかと?)
(早く引っ込めて!ああ……何人か倒れちゃった……)
(……まじか……軽くなんだけど……)
(いいから魔力引っ込めて!)
(はい……)

 兵隊さん達は耐えたっぽいが貴族の様な人達の中には耐えられなかったのか、付き人?に肩を貸して貰ったり、隠れて部屋から出て行く人たちも……あーあ、やっちゃった。

(やっちゃったではないです!全員腰が引けちゃってるじゃないですか!)
(威厳の出し方って難しいな)
(魔力では威厳になりません!威圧以外の何物でもないです!)
(魔闘気が正解か?)
(練習通り立っててください!)
(へーい)


 俺は部屋で待ってればよかったな。
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