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緊張が移った

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 ユキナはノアに意味教わって……びっくりしたのか泣きそうになって謝りに来た。ユキナは悪くない!……俺はキメ顔など二度としない!

  まだ凹んでいるユキナをみんなで慰める、わからない言葉は使わない方いいとルナに言われているが確かにその通りだな。その間にも馬車は進みライスタールの入り口に到着する。

 「よ、ようこそいらっしゃいませ!魔国ライスタールへようこそです!」
 「こんにちは……そんなに畏まらなくていいですよ?」
 「いえ!魔王様より最上級の礼を持って行動しろとお達しがありましたので!」
 「そうなんですか?敬礼はもういいですよ?」
 「はっ!」

  緊張してるのかガチガチに固まっている……この人は対応を押し付けられたのかな?横の詰め所から気配が沢山。

 「そ、そ、それではご案内いたします!馬車をお持ち致します!」
 「馬車は持たなくていいからな」

  あ!涙目に!……なんか可哀想になってきた……

 一応サリアからの使者なので馬車にはサリアの紋章が両側面に付いている、入国と出国は馬車で頼むと言われてた。でも目立ちすぎだろ……対応のお姉さんはノアと一緒に御者席に座り道案内をしてくれる事になったみたいだ。……俺がいると緊張しすぎる為、早くに後ろに詰め込まれたから経緯は知らない。

  なんだろう……笑い声が聞こえる、ノアとは楽しそうに話しているのか?俺が悪いのか?

  馬車に揺られ窓から外を見るが……注目度が凄いな、サリアは一方的に契約を破棄した敵対国って認識じゃないのか?使者の前に連絡を取って経緯を説明してあるとは聞いていたが……罠か?巨大な陰謀に巻き込まれようとしているのか?!

 「さっきからコロコロ表情が変わっているけどどうしたのよ?」
 「いや……この歓迎がなにか大きな陰謀なのかと……」
 「そんなわけないじゃない、なにおバカな事言ってるのよ」

  バッサリ斬られた……

「それにしても随分登ってるわね、宿とかお店とか門の傍にあったのにどこに宿あるのかしら?」
 「お店ほとんど見なくなっちゃいましたね、お屋敷ばっかりです」
 「まさか!罠か!」
 「どうしたの?変な夢でも見た?」
 「こう……自分の意思で動いていないと不安になると言うか……」
 「変なとこで繊細なんだから……だからあまりこっち乗らなかったの?」
 「それは違うぞ、ノアが御者してるんだから問題ない、ただ走りたかっただけだ」

  住宅街も通り過ぎた……後は……

「これって……城に向かってる?」
 「この先にはお城しかなさそうですね」
 「あの人、宿に案内するって言った?」
 「……聞いてないな、案内するとしか」
 「馬車を持つとも言ってたわ」
 「そこは触れてやるな」

  誰にでも失敗はあるんだ!

 「城に行くなら学ランに着替えないといけないな?先に着替えちゃうかな」
 「そう?お城で着替える場所貸してくれるでしょ?普通は」
 「サリアでは普通そうですね」
 「もしかしたら馬車から降りたら魔王が!ってなったら困らないか?」
 「着替えて安心できるなら着替えなさいよ」
 「こんな風に緊張してるトシ様は珍しいですね」


  弱冠ルナが投げやりな気がするが着替えよう、さくっと衣服を収納して……馬車が止まった。
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