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貴族の魔の手

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 姉ちゃん達の昔話はフィアが語ってくれた、みんなも知らなかった話が沢山あり宴会は盛大に盛り上がった。美味い酒に美味い食事、楽しい話があれば盛り上がらないはずがない!だが語り部である、フィアが睡魔に襲われ舟をこぎ始め宴会は終了となった。準備はなにもしなかったので、せめて片付けをしようとしたが全員に止められてしまった、ここでも男にそんなことさせられないと……俺はルナとフィアを抱えて、ノアがトキを背負い宿に向かう……ルナは狸寝入りだがな!

 「こちらの宿ですね」
 「ここか、ん?ルナまで本当に寝たな……」

  狸寝入りだったのにいつの間にか寝てしまったようだ。今日はもう寝るだけだから問題ないな。両手が塞がっているのでノアを先頭に宿に入る。

 「いらっしゃい?あれ?さっきの子達?」
 「すみません先ほど受付をしたはずなのですが」
 「はい、そちらの3人で済まされていますよ」

  宿に入るとカウンターにはおばちゃんがカウンターに座って本を読んでいた、そういえば受付をした3人が寝てしまっているな、子供3人で受付に来たので印象が強く覚えていたそうだ、すぐに部屋へ案内してもらい3人を寝かせる。

 「やっと一息つけつるな、ノアもお疲れさん」
 「いえいえ、ここは魚の種類も豊富ですばらしい町ですね」
 「サリアもエマルも新鮮な魚はなかなか手に入らないし、リュノーでもここまで豊富じゃないからな」
 「カンプの町にも転移できればいいのですが……」
 「コアはもうないからな、すぐには無理だけどそのうちかな?」
 「残念です……帰りは転移で戻るのですよね?」
 「その予定だぞ、明日の朝に買い溜めするか?」
 「みんなにも買っていきたいのでお願いします」

  船の出航は10時予定、その前に買い物だな、30人以上の食事となると一食分の魚だけでとてつもない量になる、本当にこのマジックバックの首輪には感謝だ。

 「そういえばさ、ラグナが言ってた貴族の邪魔も、真魔王って奴等の邪魔もなくここまで来たな」
 「おそらくですが、サリアから出発すると思っているのでは?」
 「俺達が転移できるって結構知られていないか?ピカも向こう側ならなおさら知ってるんじゃないか?」
 「それはそうですが……貴族の方は知らないのでは?国王との関係さえ知らないのですよ?」
 「襲われない方が嬉しいが来るかも知れないって考えながら旅する位なら早く片付けたいよな」
 「ご主人様はまだ向こうの感覚が抜けてませんね、こちらでの旅は常に襲われる可能性があるのですよ」
 「モンスターならなんとなく気配が解るからそこまで気にならないんだけど、人相手だと隠されると解んないんだよ、そこが嫌だ」
 「嫌だと言われても……契約者以外だと解りにくいって中途半端なチートですね」
 「俺はそこまでチートじゃないだろ?剣で銃弾切ったり魔法切ったり空飛んだりできないぞ」
 「……全部できないですか?」
 「魔法切れるかな?」
 「……できそうな気がします」

  試した事ないけど……今度やってみるか、銃がないから銃弾は切れないな、矢ならできるか?

 「空だって飛んで立って聞きましたが?」
 「方向転換できないからあれは飛んでるって言わないと思う、自由自在に飛びたい!」
 「私も飛んでみたいですが……そろそろ寝ましょうか?買い出しするなら余裕を持ちたいですし」
 「そうだな……俺もだいぶ眠い……おやすみ……」
 「おやすみなさい」


  早ければ明後日の昼過ぎに着くのか……何事もなければいいのだが…… 
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