菊木萬太郎の根掘り葉掘り

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第6回ゲスト スタミナ食材の帝王・ニンニクさん

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菊木: どうも皆さん、こんばんは、菊木萬太郎です。今宵も、本来なら話を聞くことが出来ない方々に、この菊木萬太郎が……

観客:NEHORI! HAHORI!

菊木: 聞いていきたいと思います。ではゲストを紹介いたしましょう。我々人類史の縁の下の力持ち。辛い時や疲れた時にはいつだって元気をくれた、活力のみなもと! スタミナ食材の帝王・ニンニクさんです!

ニンニク: こんばんは! スタミナ食材の帝王、皆さんに元気を与えるニンニクです!

菊木: ようこそ「根掘り葉掘り」へ!

ニンニク: はい! 今日は出られて嬉しいです!

菊木: 本当ですか!

ニンニク: 当たり前じゃないですか!

菊木: ありがとうございます。あのー、インタビューに入る前にですね、一つお聞きしたい事があるのですが……

ニンニク: はい、なんでしょう?

菊木: 頭といいますか、その、ニンニクさんの上部の方が少し緑色といいますか、なんといいますか……

ニンニク: あぁ、これですか。これ、芽が少しだけ出てきてしまってるんですよ。

菊木: あっ、やはり芽ですか!

ニンニク: そうなんですよ。本当は芽が出る予定じゃなかったんですけどね。

菊木: といいますと?

ニンニク: いや本当は私が第5回のゲストだった、という話です。

菊木: …………あっ、はい。

ニンニク: 第4回が洗濯バサミさんで、その後に第5回ニンニクということだったらしいんですが、急遽、予定が変更になりまして、違う方がゲストになったんですよ。

菊木: えっと……(笑)。

ニンニク: そのゲストって方がですね、いやぁ菊木さんが知ってるかどうか分からないんですけど、「稀代のインタビュアー・菊木萬太郎」という方だったんですよ。どうです、菊木さんは「菊木萬太郎」って方を知ってます?

菊木: あの…………

ニンニク: なんか質問コーナーがおお空振りだった「菊木萬太郎」って方なんですけど。

菊木: すみません。ちょっと勉強不足でして、あの、存じ上げない……

ニンニク: (笑)

菊木: ……はい、すみません。私です(笑)。

ニンニク: なぜ無意味な「白を切る」をしたんですか(笑)。とにかくですね、その一回分が延びてしまった間に、僕のこの芽が出てきてしまったわけですよ。

菊木: 本当に申し訳ありません。第5回への出演の件は、本当に急遽決まったものでして……

ニンニク: いえ、それはしょうがないことですから。それに、芽は出てしまったものの、逆に第6回ゲストで良かったと思ってますよ。

菊木: そうなんですか!? それはまたなぜ?

ニンニク: 菊木さんが初心に返って、第1回の時のような感じでインタビューをしてくれると思ったからですよ(笑)。

菊木: あっ、そういうことでしたか……確かにですね、私も初めてインタビューを受けてみて、思い改める事柄が多々ありましたので、今日は仕切り直しといってはあれですが、初心を思い出しながらニンニクさんに迫っていこうという所存です。

ニンニク: あっ、もう是非お願いします!

菊木: では早速なんですがニンニクさんの歴史について聞いていきたいと思います。

ニンニク: はい。

菊木: ニンニクさんはいつ頃からですね、しょくされてきたといいますか、人類に元気を与えてきてくださったんでしょうか?

ニンニク: そうですねぇ。まぁ人類の皆さんよりも前に、他の生物にも元気を与えていたんですよ、僕は。

菊木: えっ! そうだったんですか!

ニンニク: はい。その生物というのはティラノサウルスなんですよ。

菊木: あー、ティラノサウルスですか(笑)。

ニンニク: もうですね、トリケラトプスだアンキロサウルスだを狩るわけですよね、ティラノサウルスっていうのは。ですからその一狩りの前にですね、さまざまなニンニク料理を……(笑)

菊木: あー、さまざまなニンニク料理をですか。……ティラノサウルスって料理します?

ニンニク: (笑)

菊木: 一狩り行く前に食べてましたというならまだしもですよ? 料理……じゃなんですか、ペペロンチーノとかを作ってたわけですか?

ニンニク: い、いや、たまり漬けとかですかね。

菊木: 手の込みよう。

ニンニク: (笑)

菊木: あと、たまり漬けの歴史たるやこれ……

ニンニク: (笑)

菊木: 人類よりもたまり漬けの歴史の方が長いんですか?

ニンニク: じょ、冗談ですよ(笑)。

菊木: ニンニクさんも私と同じようなボケを放り込んでくるとは思ってもいませんでしたよ(笑)。

ニンニク: いや、あの、楽しいインタビューにしたいなと思いましてね(笑)。

菊木: もうボケを言う前の匂いみたいなのが、私と同じでしたからね。

ニンニク: あっ、そうですか?

菊木: えぇ。それで本当のところはどうなんでしょうか?

ニンニク: まぁ諸説あるわけですが、エジプトでピラミッドを建設している時にはあったようですよ。その建設にあたっていた作業員が食べていたらしいですからね。

菊木: ということは紀元前……

ニンニク: ウン千年前でしょうねぇ。

菊木: さ、三千年ぐらいでしょうか?

ニンニク: おそらくは。

菊木: あっ……えー、これ日本ではどのくらいの歴史があるんでしょうか?

ニンニク: 今の中国などから渡ってきたと言われてましてね? 時代で言えば奈良時代のあたりにはあったということです。

菊木: 奈良時代ですか! 国内でもかなり深い歴史があるんですね!

ニンニク: そうなんですよ。もう当時から僕は人気者で、ガンガン詠まれてましたからね。

菊木: ガンガンよまれる? あっ、もしかして万葉集に収録されている、あの歌ですか?

ニンニク: 菊木さん、あの歌をご存知なんですか!

菊木: 醤酢ひしおすに、というやつですよね?

ニンニク: そうですそうです! いやぁ嬉しいなぁ!

菊木: たしか「醤酢にひるきかてて鯛願ふ我にな見せそ水葱なぎあつもの」という歌だったような。

ニンニク: それです!

菊木: この蒜というのがニンニクのことなんですよね?

ニンニク: いやぁ菊木さん、今回は下調べ完璧じゃないですか(笑)。

菊木: いえ、この蒜に関しては祖母との思い出がありまして。

ニンニク: あっ、おばあさまとの?

菊木: そうなんですよ。子供の頃、よく祖母と野蒜のびるを採りに行きましてね? それを湯がいて酢味噌で食べてたんですよ。その時に、祖母があの歌を教えてくれたんです。

ニンニク: なんですか、そのまともな温かい思い出話は。

菊木: 私にだって温かな思い出話くらいありますよ(笑)。それであの、歌の内容を教えていただけますか?

ニンニク: これはですね、まぁ平たく言えば、ニンニクサイコーっていう歌ですかね(笑)。

菊木: 平たくしすぎですよ! 内容が変わっちゃってるじゃないですか(笑)。

ニンニク: あれ、どういうことを詠んでいる歌なんでしたっけ?

菊木: なんでぇ今日は鯛かちきしょうめ! なら、んなとこ突っ立ってねぇでとっととニンニク入れた酢味噌の支度しろい! ったくどいつもこいつも気の利かねぇ奴ら……おいバカ、これから鯛で一杯やろうかって言ってる時に水葱の吸い物なんか俺にみせるんじゃあねぇ!

ニンニク: なぜ舞台が江戸なんですか?

菊木: (笑)

ニンニク: まぁ、分かりやすかったので別にいいですけど(笑)。

菊木: すみません、ちょっと私もボケたくなっちゃいまして(笑)。ただですね、最初のほうは「ったく、ひもじい飯ばっか食ってねぇで、たまにはニンニク入れた酢味噌かなんかで、鯛をやりてぇなぁ」という感じでもいいかと。

ニンニク: (笑)

菊木: えーっとですね(笑)。この当時はニンニクではなく蒜と呼ばれていたんですね。

ニンニク: そうらしいですね。私はもう生まれた時からニンニクと呼ばれていましたけど。

菊木: では「ニンニク」という言葉の語源というものは……

ニンニク: これもまた諸説あるんですけども、忍辱にんにくという言葉からきている説もあるらしいですね。耐え忍ぶというような意味合いなんですけどね。

菊木: なるほど。しかしこれがニンニクの語源ということはですよ、何かに耐えているということになりますよね? これは何を耐えているんでしょう?

ニンニク: これは、あのー、諸々もろもろですね。まぁアレはアレですけど……

菊木: あっ、アレですね……はい、アレですね。そういえば英語ですとガーリックと呼ばれるているニンニクさんですが、学名は?

ニンニク: Allium Sativumといいます。Sativumは「植える」みたいな意味でして、Alliumというのはラテン語でニンニクという意味です。あとネギ属という意味合いもあります。また花のアリウムがありますが、私ニンニクの花もですね、そのアリウムの花に似ているんですよ。

菊木: そういうことだったんですね。ちなみに何科なんでしょう?

ニンニク: ヒガンバナ科なんです。なので普通科と商業科のやつらとはちょっと仲が悪かったですね。

菊木: ……な、なんですか?

ニンニク: えー、ヒバンガナ科になります(笑)。

菊木: ヒバンガナ?

ニンニク: 間違えました! ヒガンバナです!

菊木: ヒバンガナっというのは、いつも交番にいるお巡りさんが休みの時に非番か‥

ニンニク: ヒガンバナ! 彼岸花です!

菊木: あっ(笑)。これは意外でした。ヒガンバナなんですね。しかし、言われてみますと、ヒガンバナの茎の部分などと似ているかもしれませんね、ニンニクの芽といいますか茎が。そういえばヒガンバナは多年草で、毎年花を咲かせますが、ニンニクさんも……

ニンニク: 咲きます。いつもは収穫されちゃいますけど、本来は花を咲かせます。

菊木: なるほど。えー、少しですね、話題が変わってしまうんですが、国内におけるニンニクの有名な産地といえば青森県なわけですが、ニンニクさんのご出身は?

ニンニク: 僕も青森県です。

菊木: そうでしたか。ということは青森県から東京こちらに出荷されたということですね?

ニンニク: そうです。まぁ僕の場合は、通常の出荷とは少し違う形でやって来たんですけどね。ただ僕らニンニクにとっては壮大な旅路でした。本当に青森が懐かしいです。

菊木: それはもう懐かしいでしょうねぇ。もう二度と戻れないわけですから。

ニンニク: 完全に嫌味ですよね(笑)。

菊木: ち、違います違います! あの……言葉のあやといいますか、こぼれ落ちてしまったという感じで……

ニンニク: こぼれ落ちたのなら本心でしょって(笑)。

菊木: ちなみに青森県は出荷量が日本一ということなんですが、他に有名な産地というのはどこになるんでしょうか?

ニンニク: えっ? 他の産地ですか? えー、青森県の他といいますと、えー、香川県や宮崎県もそうですし、北海道も高い出荷量を誇っていますよ。

菊木: 北国だけでなく香川県や宮崎県など、四国や九州地方でも生産されているんですね。

ニンニク: そうなんですよ。あの一口にニンニクと言っても様々な品種がありまして。青森はもちろん、都道府県別にニンニクの品種があるんですよ。

菊木: ではその品種をいくつかを紹介していただけますか?

ニンニク: ……品種・銘柄をここで言っていいものかどうかという問題がありましてね(笑)。

菊木: (笑)

ニンニク: もちろんですね、紹介したいのはやまやまなんですけど……

菊木: 承知しております。あの……自分で言うのもなんですが、この番組で取り上げられたくない、という農家さんもいらっしゃいますから(笑)。

ニンニク: 結構シビアなところなんですよね(笑)。

菊木: そうなんですよ(笑)。ウチの自慢のニンニクを紹介してもらえるなら、という農家さんがいらっしゃいましたら、是非ですね、あのご連絡をお待ちしていますので(笑)。

ニンニク: いま言って意味があるんですか?

菊木: いやもう、いざとなったら撮り直しますから……

ニンニク: すみません、僕、花が咲いちゃいます(笑)。

菊木: あっ、そうでした(笑)。

ニンニク: といいますかね、さっき僕は青森出身と言いましたけど、それだってかなり勇気のいる発言なんですよ?

菊木: 確かに、言われてみればそうですね。八百屋さんやスーパーなどの店頭で「青森県産ニンニク」と書かれていたら「あぁ、あんときのニンニクさんね」となるわけですから。

ニンニク: そうですよ? 今日の出来次第で、私は青森のニンニク及びニンニク農家さんから称賛されるか嘲罵ちょうばされるかが決まるんです。

菊木: ……嘲罵という言葉をご存知なんですか(笑)。

ニンニク: (笑)

菊木: そうは出てこない言葉ですよ?

ニンニク: こう見えて頭が良いんですよ。

菊木: こう見えてと言われてもニンニクにしか見えないですし……

ニンニク: (笑)

菊木: こう見えて頭が良いんですよ、と頭が良い方は言わないと思うんですよね(笑)。

ニンニク: ……ニンニクを使った料理の話をしましょうか。

菊木: あ、いいですね(笑)。

ニンニク: じゃないと、店頭でのイメージがおかしくなる一方なんで(笑)。

菊木: では、さっそく料理の話に移りたいんですが、ニンニクさんご自身は、こんな料理に使用してほしいという希望などはありますか?

ニンニク: ……そうですねぇ、ニンニクがメインの料理がいいですかねぇ。もちろん、汁物やソースなど味・香り付けだったり、薬味としての仕事も嬉しいですけど。

菊木: 私はステーキを食べる時には必ずガーリックソースです!

ニンニク: いやぁ嬉しいですねぇ。なんと言っても、ただでさえ美味しいお肉なのに、そこへニンニクの味や香りを足したいと思ってくださるのが嬉しいですよ。

菊木: 違いますよニンニクさん。思っているんじゃないんですよ、そう思わせてしまうほどに美味しいんです、ニンニクさんは。

ニンニク: 菊木さん……そんなに褒められたら、ピーマンさんと仕事がしづらいです(笑)。

菊木: (笑)

ニンニク: 結構ピーマンさんと同じ現場になるので……

菊木: 大丈夫ですよ、ピーマンさんは心の広い方ですから!

ニンニク: だと良いんですけどね(笑)。

菊木: それで今はガーリックソースという調味料・薬味としてのニンニクさんでしたが……

ニンニク: そうでした。菊木さんはニンニクがメインということなら、どんな料理がお好きですか?

菊木: 私はですね、ニンニクの唐揚げが好きです。さっと茹でたニンニクの水気を切ったものに、市販のから揚げ粉をまぶして揚げるんですが、美味しいです。

ニンニク: それは美味しそうですねぇ! 僕らは素揚げにしてもらう事が多いですし、から揚げの時も下味を付ける際に使われることが多いので、意外と新鮮味ありますね。

菊木: あとそうでした、蒸しニンニク! 私の行きつけの店で食べられるんですけど、もうニンニクさんがほっくほく! ほんの少しの塩でいただくんですが、本当に美味しいです!

ニンニク: あっ、蒸しニンニ‥

菊木: それと、ニンニクのオイル煮‥

ニンニク: 今だろ、たまり漬け!

菊木: (笑)

ニンニク: ティラノサウルスのところでたまり漬けを出してる場合じゃないんですよ! ニンニクがメインの料理で蒸しニンニクを出してる場合じゃないんですよ! 今こそ! たまり漬け!

菊木: す、すみません(笑)。

ニンニク: いや別にいいですけどね、いま菊木さんが挙げた料理も美味しそうですから。ただ行きつけの店の蒸しニンニクの前にたまり漬けをですね(笑)。言っていただきたいんですよ(笑)。

菊木: 申し訳ありませんでした。たまり漬けですよねぇ。

ニンニク: ですよねぇって(笑)。

菊木: それにしましても、ニンニクは世界中の料理で使用されていますが、同じニンニクでも国や地域の色が出ている料理が多いですよね。

ニンニク: すんなり真面目な話に僕はまだ行けないところもありますけど……

菊木: (笑)

ニンニク: 確かに言われてみればそうですね(笑)。

菊木: これ、世界中のニンニク料理だけでも、相当な数になると思うんですよ。もうニンニク料理だけでお店が出来ますよね。

ニンニク: いやいや、一軒の店だけでは足りませんよ。もうあれですよ、ニンニク横丁が出来てしまうほどに多彩なニンニク料理がありますよ。

菊木: ニンニク横丁ですか!

ニンニク: はい、ニンニク横丁です!

菊木: 臭そうな横丁ですね。

ニンニク: ついに言ったね。

菊木: (笑)

ニンニク: ついに「におい」のところに触れてきたね。

菊木: いえ、あの……

ニンニク: 言い方も「臭そう」という、オブラートに包むどころか、オブラートの入れ物を地面に叩きつけたかのような言葉のチョイスだし(笑)。

菊木: オブラートの袋の中を見たら空だったんでつい……(笑)

ニンニク: 機転を利かせて、その袋で包んでくれてもいいんですよ! それにしても遂に来ましたね、臭いの話が(笑)。

菊木: いやーもうですね、ニンニクさん。「臭い」の話を避けて通るほど、この菊木萬太郎は甘くはないですよぉ?

ニンニク: いや、甘々でしょ(笑)。

菊木: (笑)

ニンニク: ティラノサウルスの件・たまり漬けの件・オブラートの件・私の出演が先延ばしになった件。甘々でしょ(笑)。夏場だったらアリが寄ってきてますよ?

菊木: (笑)

ニンニク: 菊木さんの足元がアリで賑わいますよ?

菊木: そ、それでも避けて通れない話ですから! もうハッキリお聞きしますが、あのニンニクさんの独特な香りはどういったことなんですか?

ニンニク: 「独特な香り」ってオブラート残ってたんですか?

菊木: 急遽買い足しをしまして(笑)。

ニンニク: まぁ、もう構いませんけど(笑)。えー、あの臭いはですね、私ニンニクに含まれる成分のアリインというものが原因、発生源なんですよ。

菊木: アリ……イン……(笑) アリが中に入ってくる感じ……

ニンニク: たまたまのアリですよ! というかですね、アリインという成分が変化して臭いを出すんですからね?

菊木: 変化ですか。もしかして、すり下ろしたり、切ったりすると変化するんですか?

ニンニク: 変なとこ鋭いんですよね(笑)。まぁそういうことです。そういった外部からの刺激を受けると、まぁ小難しい科学反応があって、アリインから独特な香りを放つアリシンという成分になるんですよ。

菊木: ア、アリシン? アリの神様で‥

ニンニク: だったらどうするんですかって(笑)。ニンニクの成分がアリの神様だったらどうするんですか、って聞いてるんですよ僕は(笑)。

菊木: すみません、アリを忘れます(笑)。えー、このアリシンという成分なんですがどういった作用があるんでしょうか?

ニンニク: 抗血栓、つまり血液がサラサラになる成分というイメージでいいと思います。

菊木: なるほど抗血栓作用ですか! これは現代人の乱れた食生活にはもってこいの成分ですね! ただ先ほどニンニクさんが仰った「外部からの刺激を受けて」という言葉から想像するに、すり下ろしニンニクにするとそれだけアリインがアリシンに変化するということですか?

ニンニク: まぁそうなりますね。ただ、僕らニンニクを生で食べる際に、よく噛んでいただいてもいいわけです。

菊木: 噛まれるのも外部から受ける刺激ですもんね。

ニンニク: 成分話のついでに言いますけど、殺菌抗菌というような作用もニンニクは持っているんですよ。こういうことから、ニンニクがスタミナ料理に使われることが多いと思うんですよね。

菊木: 確かに、そうかも知れませんね……それで臭いの話に戻りますが(笑)。

ニンニク: もう笑いも堪えられてないじゃないですか(笑)。

菊木: すみません。ただですね、あのニンニクさんの臭いと上手くやっていく事ができれば、さらにニンニク需要が増えるわけですから!

ニンニク: それ言われたら何も言えないですけど……(笑)

菊木: これですね、ニンニクの薄皮を剥いているときや、スライス・みじん切りにしている時に、どうしても手にニンニクの香りがついてしまうんですが、何か対策などあるんでしょうか?

ニンニク: えー、この臭い取りに面白いものがありましてね? それというのもステンレス製品を使った消臭方法なんですよ。

菊木: ステンレスですか?

ニンニク: そうなんですよ。ニンニクの臭いが手についてしまったときにはですね、ステンレス製品に触れることで、僕らの、あのアリシンの臭いが取れるんです。

菊木: これも何かこう、科学反応的な話ですか?

ニンニク: そうなります。騙されたと思ってやってみて下さい。ただオススメはですね、ステンレスソープというものを使っていただいたほうが確実に臭いが取れるかと思います。

菊木: ステンレスソープですか。あっ、実家にあったような無かったような(笑)。

ニンニク: なんで「いらない話だな」と思いながら実家にあるないの話をしたんですか(笑)。

菊木: すみません、私の心を読まないでいただけますか(笑)。

ニンニク: 顔に出てるんですよ!

菊木: (笑)

ニンニク: あのですね(笑)。ステンレスソープというのは手のひらサイズのステンレスの塊と思っていただければいいと思います。これは魚などを調理した際に手へ移った臭いなどもとってくれるんですよ。

菊木: それは便利ですね!

ニンニク: 私の他にニラさんなんかもアリシンを含みますから、そういった野菜の臭いも落とせます。ただ注意点がいくつか。

菊木: はい。

ニンニク: 安物のステンレスソープは微妙な効果です(笑)。

菊木: (笑)

ニンニク: これはですね、もうですね、どうしようもない事実でありましてね(笑)。

菊木: いや、仕方のないことだと思います。価格相応の働きしかしないと思いますね。安物買いの銭失いになっていけませんからね。

ニンニク: 是非ね、購入されるときは爪の間なども洗うことを想定した、良質なステンレスソープをお求めになってください。

菊木: ではですねステンレスソープさん……

ニンニク: 誰がステンレスソープだ! ニンニクですよ!

菊木: し、失礼しました。あのですね、番組の始めの方で触れたんですが……

ニンニク: はい、なんでしょう。

菊木: ニンニクさんの芽が伸びてしまったという話なんですけど……収録中にまた伸びましたよね?

ニンニク: そりゃ幾分ですね、気持ち的に熱くなりましたから? その影響もあると思いますよ?

菊木: 確かに、熱い展開でしたよね!

ニンニク: いやまぁ、どちらかと言えば単にカッとなったと言いますかねぇ(笑)。

菊木: (笑)

ニンニク: とにかく自分自身の奥底で熱い何かを感じたことは間違いないですね(笑)。

菊木: え、えー、そんなニンニクさんですが、芽が伸びてしまったニンニクさんは食べられるんでしょうか?

ニンニク: 基本的には食べられます。ただですね、これは芽が伸びていないニンニクにも言えることなんですが、芽の部分を取り除いた方が美味しく食べられるかと思います。食感が悪くなることがありますので。またですね、あまりに芽が伸びてしまった場合はニンニクの味が落ちます。

菊木: なるほど、芽の成長に栄養を使ってしまう為にですか?

ニンニク: そうなんですよ。僕らも食材の前に植物ですからね? 成長して花を咲かせて種の繁栄を目指すのが本来の姿なんで。

菊木: 言われてみればそうですよね。ちなみに、ニンニクさんは家庭菜園出来るものなんですか?

ニンニク: あっ、出来ますよ。植え付け時期とか追肥を適切に行えば、ご自宅のプランターなどでも栽培可能です。是非ですね、ネットや本などで調べて頂きたいです。農家の方や菜園研究家の方々によって少し栽培方法もことなるので、ご自身の生活環境にあった方法をとっていただきたいです。

菊木: 新鮮なニンニクが食べられるのは魅力的ですね。

ニンニク: はい、是非ですね機会があれば挑戦してみて欲しいです。

菊木: それにしましても、芽が伸びて味が落ちてしまうというのは厳しい現実ですね。というか、あの、ニンニクさん。かなり芽のほうがあの、伸びてきてしまっているんですけど……

ニンニク: そんなにですか?

菊木: いまスタッフに鏡を持ってきてもらったので……

ニンニク: あっ、じゃあ菊木さん持ってもらって……

菊木: はい、ニンニクさんの代わり持つので……どうですか? かなり伸びてきていると思うんですけど……

ニンニク: …………これ、味が落ちてしまうくらいに伸びてしまってますね。

菊木: えっ…………

ニンニク: …………

菊木: や、やはり収録の日にちがズレてしまったのが……

ニンニク: いや、それはしょうがないことですよ。皆さんもそれぞれ日程などがあるでしょうし。あの、はい、気にしないでください。これも自然の摂理ですから…………

菊木: …………

ニンニク: …………

菊木: ……あの、実はですねニンニクさん。

ニンニク: ……はい、なんですか?

菊木: 今回ですね、ニンニクさんの持ち主さんからお手紙を預かっているんですよ。

ニンニク: お、お手紙?

菊木: はい。今回ですね、スタジオに来ていただくニンニクさんを募集した時に、是非、私のニンニクを使って下さいという女性がいまして。その女性、青森から上京して、夢を叶えるために頑張っている方でして……

ニンニク: ……

菊木: 「私の両親が作っているニンニクなんです。都会で一人頑張る私に送ってきてくれた、愛のこもった私のニンニクにインタビューを!」というお言葉もいただきまして。そういうことでしたら、こちらからお願いししたいぐらいです、ということで、今回ニンニクさんに決まったんですよ。

ニンニク: そうだったんですか……

菊木: そして、そんな優しい持ち主さんからの手紙、読ませていただきます。

ニンニク: お、お願いします。

菊木: 私を元気にしてくれるニンニクさんへ。青森から上京してきて早5年。あっという間でした。慣れない土地で、慣れない生活。それでも夢を叶えるために頑張ってきました。それでもなかなか芽が出ない私。ついつい弱気になり、地元へ帰ろうと思ったこともありました。でもそんなときに私を支えてくれたのは、両親が送ってきてくれる、両親の愛のこもったニンニクさんでした。
 ダンボール箱に入っている新鮮なニンニクさんを見るだけで、実家の裏に広がるニンニク畑が目に浮かんできます。そしてそこで懸命に働いている両親の姿も浮かんできます。そう、私にとってニンニクさんは、故郷の味・故郷の風景そのものなんです。

ニンニク: …………

菊木: そして今回、私にとって大切なニンニクさんにインタビューのチャンスが巡ってきました。両親と共に、私を支えてくれたニンニクさんが、もっと大勢の人たちから愛されてもらえたらと思い、思い切って「菊木萬太郎の根掘り葉掘り」さんへ応募したんです。
 しかし、日程の変更などにより、ニンニクさんは少し芽が伸びてしまい、おそらく、インタビューを終えて家に帰ってくる頃には、食用に向かないほどに芽が伸びてしまっていることでしょう。

ニンニク: …………

菊木: そこで私は決めました。ニンニクさんを育てて花を咲かせようと!

ニンニク: えっ!

菊木: なかなか芽が出ない私と、芽が出てしまったニンニクさん。面白いコンビだと思いませんか? ニンニクさんは多年草です。頑張って頑張って毎年花を咲かせます。私もいつか、花を咲かせるように、ニンニクさんと一緒になって頑張っていきたいです。
 インタビューを終えて、ニンニクさんが帰ってくるのを私は待ってます! プランターも土も肥料もすべて準備は整っています! これからも私のそばにいてください。そして花咲く姿を見せてください。私も頑張ります! ニンニクの持ち主より。

ニンニク: …………

菊木: はい、ということで手紙を読ませていただきました。……持ち主の方は待っていますよ、ニンニクさん、あなたの事を。

ニンニク: ……青森の壮大な大地で生を受けまして、そのご両親の愛を注いでもらい大きくなりました。今度は、僕がですね、少しでもそのご恩が返せるように、持ち主の方の為にね、花をさ、咲かせる事が出来れば、い、良いのかな……と……

菊木: まぁあの、ニンニクさんは涙を流せませんが、もう私がですね、も、もらい泣きをしてしまっているということで……

ニンニク: 本当に涙をこぼしてるじゃないですか(笑)。

菊木: はい、もう、嘘泣きじゃありませんから。本当なんです。手紙を読んでいて、自然にこぼれ落ちてしまったという感じで……

ニンニク: こぼれ落ちたのなら本当ですね(笑)。

菊木: 本当にあの、良かったですねニンニクさん。

ニンニク: はい、素直に嬉しいです。

菊木: では私に感謝の言葉を言っていただけますか?

ニンニク: え、えっ?

菊木: これ芽が伸びちゃったから持ち主の方は育てるご決心をされたわけですよ。つまり、私が急遽第五回ゲストとして番組出演して、ニンニクさんの出演が遅れたおかげで、ニンニクさんの芽が伸びたわけですから。

ニンニク: それはそうで‥

菊木: でなければ、今頃は調理されて食べられて終了ですからね?

ニンニク: あー、菊木さんには情緒だとか……

菊木: (笑)

ニンニク: 情緒だとか余韻だとかね、そういうのないんですか(笑)。

菊木: い、嫌だなぁニンニクさん! じょ、冗談ですよ! しんみりとしちゃったものですから、少しでも明るくと思いまして……

ニンニク: あっ、そういうことですか!

菊木: そうですよぉ。ただ、言葉のあやといいますか、つい、言葉がこぼれ落ちてしまったという感じで……

ニンニク: だから、こぼれ落ちたのなら本心でしょって(笑)。

菊木: (笑)

ニンニク: なんでこぼしちゃうかな(笑)。

菊木: はい、そんな花のつぼみまで美味しく食べられるニンニクさんですが……

ニンニク: その情報をいま言う思考回路ね! その圧倒的バカタイミングたるや……

菊木: す、すみません(笑)

ニンニク: 確かに食べれますよ、ニンニクの花の蕾は。ただ手紙の前に言わなきゃダメでしょ!

菊木: 触れる前に話が先に進んでしまったので、バレないようにと……

ニンニク: 脈絡ゼロなんですからバレるに決まってるでしょ! あのね、あのね菊木さん、本当にインタビュー相手の「モノ」は手も足も出せないようなモノじゃなきゃダメですよ? そのうち誰かに張り倒されますよ(笑)。

菊木: …………次回のゲスト、これはもう各所で発表しているので、ここで言ってしまいますけど。

ニンニク: はい、誰なんですか?

菊木: 日本刀さん、なんですよ……

ニンニク: …………最終回じゃないですか(笑)。

菊木&ニンニク: (大笑)

ニンニク: 菊木さん、最終回じゃないですか! 叩っ斬られて終わりじゃないですか!

菊木: これ、私のアリインがアリシンに変化する可能性も……

ニンニク: ありますあります! もうアリシンになって血液サラサラ成分……まっ、切られてるのに血液サラサラはマズイですけど(笑)。

菊木: いやぁ、厳しいインタビューになりそうですよ(笑)。

ニンニク: あれですよね、この収録の後に続けて日本刀さんの回も撮るんですよね?

菊木: そうです。

ニンニク: あっ、でしたらその回を観てから帰ります(笑)。

菊木: (笑)

ニンニク: もうね、菊木さんだけにね、散り際をね、見たいですよ(笑)。

菊木: 上手いこと言わなくて良いんですよ!

ニンニク: 菊の散り際をね……

菊木: (笑)

ニンニク: ぜひ、頑張って下さい!

菊木: はい頑張ります(笑)。えー、最後にですね、ニンニクさんからお手軽料理を教えていただけるとか?

ニンニク: まぁ菊木さんはあと少しの命ですからお試し出来ないでしょうが、お教えします。

菊木: (笑)

ニンニク: まぁ料理と言いますか、オリジナルのガーリックオリーブオイルのすすめ、ということなんです。

菊木: ハーブオリーブオイルということですか?

ニンニク: そうです。煮沸消毒した清潔なフタ付きのビンにですね、刻んだニンニクやお好みのハーブ、そしてオリーブオイルを入れるだけで完成なんです。ハーブで代表的なものといえばバジルやオレガノ、ローズマリーなどですかね。

菊木: あぁ美味しいですよね。豊かな香りが付いていて、トーストやピザの上にかけても良いですしね。

ニンニク: パスタ料理を作る際やサラダなんかにも合いますよ。

菊木: えー、本日はここで終了ということになりますが、様々なお話ありがとうございました。

ニンニク: いえ、こちらこそ楽しませていただきましたし、感動もさせていただきました! 本当にこの番組に出られて良かったです。

菊木: どうぞ、立派なお花を咲かせてくださいね!

ニンニク: はい! ありがとうございます! 菊木さんも、どうぞ、お体を大切になさってください!

菊木: あ、ありがとうございます(笑)。斬られないように頑張ります(笑)。はい、それでは第6回ゲスト、スタミナ食材の帝王・ニンニクさんでした!

ニンニク: ありがとうございました!

菊木: さて番組をご覧の皆さん、次回はこの菊木萬太郎がアナタの事を!

観客: 『NEHORI!』 『HAHORI!』

菊木: 聞いちゃうかもしれませんよ。それではまた次回、ごきげんよう! さよなら!
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