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第二章:よそでイチャつけ!
スーツを着たピエロ
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TV『……先日の映像ですが、今昔公園でカタツムリが大量発生したようです』
事務所に設置されたテレビは、色鮮やかな紫陽花と共に、無数のカタツムリを映し出した。ソファーに腰掛けていた知哉と椎名は、あまりの光景に思わず顔を見合わせた。
知哉「大量発生って、カタツムリでアジサイが見えてねぇ……」
椎名「うわぁ、カタツムリもあれだけ集まると気持ちがわるいね……」
知哉「本当ですねぇ…… 椎名さん、テレビ消しちゃいましょうか?」
椎名「うん、そうだね」
アナウンサーが別れを告げる前にテレビは消された。
椎名「そろそろ修君と重君戻ってくるかな?」
知哉「そうですねぇ、もうそろそろ……」
二人が噂をしていると事務所の引き戸がカラカラと音を立て、昼食の買い出しに行っていた修と重が帰ってきた。
知哉「おう、ご苦労さん」
重「あぁ、ただいま知ちゃん」
椎名「おかえりなさい」
修「ただいま戻りましたぁ」
重と修はビニール傘をたたみながら事務所の中に入ってきた。
修「はぁ、嫌な雨だよ本当に」
知哉「ハンバーガー濡れてねぇだろうな?」
修「濡れてねぇよ。濡れてねぇけど……」
修と重はファーストフードのビニール袋片手に自分たちの事務イスに座った。
修「雨水を吸っちゃってるよな……」
知哉「濡れてんのと同じだろ!」
知哉は笑いながら自分の頼んだ分を受け取った。
重「はい、これ椎名さんの分です。ナゲットのソースはホットチーズでしたよね?」
椎名「そう、ホットチーズ。ありがとね」
修「ホットチーズ美味しいですか?」
椎名「あれ、修君嫌い?」
修「いや嫌いじゃないんですけど、辛いのが苦手で食べたことがないんですよ」
椎名「あ、辛いのダメなんだ?」
重「とか言って、マスタードソースにしてるじゃない」
修「名前だけで別に辛くないだろこれは。マスタードの味と香りだけして辛くないから好きなんだよ。過度に辛いのが無理なだけなんだよ」
椎名「はいどうぞっ」
椎名はホットチーズの容器を開けると笑顔で修に差し出した。
修「えっ? なんですか?」
椎名「何って、試してみてよ。程よく辛くて美味しいから」
修「でも辛い‥」
椎名「大丈夫、ちょうどいいから」
修は恐る恐る自分のナゲットをホットチーズソースにつけてみた。
修「うーん、俺チーズは大好きなんですよ。だからすごくおいしそうに……」
知哉「いいから食ってみろよ、ウマイから」
修は思い切ってナゲットを頬張った。
修「おっ! 椎名さんの言う通り、まろやかなチーズに程よいチリペッ‥」
渡「美味しそうなナゲットだねぇ……」
いつの間にか依頼から帰ってきていた渡が修の耳元で恨めしそうにささやいた。
修「うおっ! なんだよ! 脅かすなよ!」
渡は手にしていたカバンを置き、スーツを自分の事務イスの背もたれに掛けた。
椎名「渡君おかえり。結局降ってきちゃったね、雨」
渡「良かったですよ、防水スプレーしていって」
重「はい、これ教授さんのね」
渡「あ、サンキュー。それにしても丁度いいころに帰ってこられたなぁ」
自分の分を受け取った渡はイスに座るとネクタイを緩め、シャツの袖をまくり上げると美味しそうにハンバーガーを食べ始めた。
重「こういうのは冷めちゃうとねぇ?」
渡「そうなんだよ」
椎名「渡君、それでどうだったの家庭教師というか、入試対策の依頼は?」
椎名がポテトを片手に声をかけた。
渡「うーん、ちょっと気負いすぎですかね」
椎名「確か渡君と同じ千葉新国際フレキシブル大学に入学希望なんだよね?」
渡「そうです。ただ裕一君… あ、依頼者の息子さんの名前なんですけど、裕一君もご両親も、もう少し肩の力を抜いてもらわないとダメですね。あれじゃいくら勉強しても頭に入らないですよ」
椎名「何か大変そうだね」
渡「まぁ、最初は勉強よりも先に、肩の力の抜き方から教えていくつもりです。それにまだ高校一年生ですからねぇ、勉強以外にもたくさんの事を経験してもらいたいですからね……」
修は話を聞きながらナゲットをムシャムシャとやっていたが、何かを思い出したようだった。
修「そういやハッピーウィークニュース見れなかったけど、何か面白いニュースあった?」
知哉「うん? いや特に何もなかった。あ、そういやカタツムリが大量発生してたよ。すげー気持ち悪かったぞ?」
修はポテトを食べていた手をピタッと止めた。
修「カタツムリが大量発生!? くっそー見たかったな……」
椎名「カタツムリでアジサイが見えなかったもの」
修「本当ですか!? なおさら見たくなりましたよぉ」
渡「ホント、修はそういうの好きだよね」
修「なんか好きなんだよな。生き方もカッコイイし、フォルムとか渋いんだよ、虫とか特にな。まぁカタツムリは虫じゃねぇけど」
渡「まぁ、確かに洗練されてはいるよね」
重「でも最近カタツムリを生で見たことないなぁ……」
修「なんでぇ、茹でたやつとか、蒸されたやつとか?」
重「そういう生じゃなくて!」
修「冗談だろ」
知哉「でも確かに、俺も見てないな……」
椎名「あ、そう? 僕なんか依頼で幼稚園に行くとよく見かけるどね。というか子供たちが見せてくれるんだよねぇ」
修「うわ、何ですかその温かい仕事現場は? 最近こっちはゴミ屋敷みたいなところばっかりですから羨ましいですよぉ」
椎名「あははは、いま僕なんて言った?」
修「えっ? 何がですか?」
椎名「なにか大事なことを言ったような……」
知哉「でも、いま椎名さんが言ったのはカタツムリを見たってことだけですよ?」
椎名「どこで見たって言ったっけ?」
知哉「幼‥」
椎名「幼稚園!」
椎名は大きな声を上げながらイスから立ち上がった。
重「ど、どうしたんですか!?」
椎名「今日、幼稚園に行くんだった!」
重「あぁ、そうですよ椎名さん! 今度パントマイムを見せに行くときの打ち合わせですよ、打ち合わせ!」
椎名「今何時!? あー! じょhf@あおhふぇい……」
椎名は謎の言葉を発しながら大慌てで倉庫にあるロッカーへ行くと、驚異的なスピードで支度を済ませて戻ってきた。
椎名「それじゃ皆、ちょっと行ってきます!」
椎名は傘を手に事務所を駆け足で後にした。そんな椎名を見て修はある疑問を抱いた。
修「なんでピエロのメイクしていったんだ? しかも笑ってるメイクで」
重「だよね、万が一遅刻した時は最悪だよね、心で謝っても顔は笑ってるんだから」
重は自分で上手いことを言ったと思っていた。
修「それに、あんなメイクしてスーツ着て全力疾走してたら、俺じゃなくても岩塩を投げつけられるぞ?」
そう言いながら事務所の軒先へ出た修は、椎名の後姿を見ながらタバコを取り出した。
修「転ばなきゃいいけど……」
知哉も軒先に出ていきタバコを取り出す。
知哉「何か見た目によらず面白い人だよな」
修「あぁ、それに真面目でいい人だよ」
椎名を見送る二人がタバコに火をつけようとしたとき、後ろから少しだけ緊張味を帯びた声が聞こえてきた。
事務所に設置されたテレビは、色鮮やかな紫陽花と共に、無数のカタツムリを映し出した。ソファーに腰掛けていた知哉と椎名は、あまりの光景に思わず顔を見合わせた。
知哉「大量発生って、カタツムリでアジサイが見えてねぇ……」
椎名「うわぁ、カタツムリもあれだけ集まると気持ちがわるいね……」
知哉「本当ですねぇ…… 椎名さん、テレビ消しちゃいましょうか?」
椎名「うん、そうだね」
アナウンサーが別れを告げる前にテレビは消された。
椎名「そろそろ修君と重君戻ってくるかな?」
知哉「そうですねぇ、もうそろそろ……」
二人が噂をしていると事務所の引き戸がカラカラと音を立て、昼食の買い出しに行っていた修と重が帰ってきた。
知哉「おう、ご苦労さん」
重「あぁ、ただいま知ちゃん」
椎名「おかえりなさい」
修「ただいま戻りましたぁ」
重と修はビニール傘をたたみながら事務所の中に入ってきた。
修「はぁ、嫌な雨だよ本当に」
知哉「ハンバーガー濡れてねぇだろうな?」
修「濡れてねぇよ。濡れてねぇけど……」
修と重はファーストフードのビニール袋片手に自分たちの事務イスに座った。
修「雨水を吸っちゃってるよな……」
知哉「濡れてんのと同じだろ!」
知哉は笑いながら自分の頼んだ分を受け取った。
重「はい、これ椎名さんの分です。ナゲットのソースはホットチーズでしたよね?」
椎名「そう、ホットチーズ。ありがとね」
修「ホットチーズ美味しいですか?」
椎名「あれ、修君嫌い?」
修「いや嫌いじゃないんですけど、辛いのが苦手で食べたことがないんですよ」
椎名「あ、辛いのダメなんだ?」
重「とか言って、マスタードソースにしてるじゃない」
修「名前だけで別に辛くないだろこれは。マスタードの味と香りだけして辛くないから好きなんだよ。過度に辛いのが無理なだけなんだよ」
椎名「はいどうぞっ」
椎名はホットチーズの容器を開けると笑顔で修に差し出した。
修「えっ? なんですか?」
椎名「何って、試してみてよ。程よく辛くて美味しいから」
修「でも辛い‥」
椎名「大丈夫、ちょうどいいから」
修は恐る恐る自分のナゲットをホットチーズソースにつけてみた。
修「うーん、俺チーズは大好きなんですよ。だからすごくおいしそうに……」
知哉「いいから食ってみろよ、ウマイから」
修は思い切ってナゲットを頬張った。
修「おっ! 椎名さんの言う通り、まろやかなチーズに程よいチリペッ‥」
渡「美味しそうなナゲットだねぇ……」
いつの間にか依頼から帰ってきていた渡が修の耳元で恨めしそうにささやいた。
修「うおっ! なんだよ! 脅かすなよ!」
渡は手にしていたカバンを置き、スーツを自分の事務イスの背もたれに掛けた。
椎名「渡君おかえり。結局降ってきちゃったね、雨」
渡「良かったですよ、防水スプレーしていって」
重「はい、これ教授さんのね」
渡「あ、サンキュー。それにしても丁度いいころに帰ってこられたなぁ」
自分の分を受け取った渡はイスに座るとネクタイを緩め、シャツの袖をまくり上げると美味しそうにハンバーガーを食べ始めた。
重「こういうのは冷めちゃうとねぇ?」
渡「そうなんだよ」
椎名「渡君、それでどうだったの家庭教師というか、入試対策の依頼は?」
椎名がポテトを片手に声をかけた。
渡「うーん、ちょっと気負いすぎですかね」
椎名「確か渡君と同じ千葉新国際フレキシブル大学に入学希望なんだよね?」
渡「そうです。ただ裕一君… あ、依頼者の息子さんの名前なんですけど、裕一君もご両親も、もう少し肩の力を抜いてもらわないとダメですね。あれじゃいくら勉強しても頭に入らないですよ」
椎名「何か大変そうだね」
渡「まぁ、最初は勉強よりも先に、肩の力の抜き方から教えていくつもりです。それにまだ高校一年生ですからねぇ、勉強以外にもたくさんの事を経験してもらいたいですからね……」
修は話を聞きながらナゲットをムシャムシャとやっていたが、何かを思い出したようだった。
修「そういやハッピーウィークニュース見れなかったけど、何か面白いニュースあった?」
知哉「うん? いや特に何もなかった。あ、そういやカタツムリが大量発生してたよ。すげー気持ち悪かったぞ?」
修はポテトを食べていた手をピタッと止めた。
修「カタツムリが大量発生!? くっそー見たかったな……」
椎名「カタツムリでアジサイが見えなかったもの」
修「本当ですか!? なおさら見たくなりましたよぉ」
渡「ホント、修はそういうの好きだよね」
修「なんか好きなんだよな。生き方もカッコイイし、フォルムとか渋いんだよ、虫とか特にな。まぁカタツムリは虫じゃねぇけど」
渡「まぁ、確かに洗練されてはいるよね」
重「でも最近カタツムリを生で見たことないなぁ……」
修「なんでぇ、茹でたやつとか、蒸されたやつとか?」
重「そういう生じゃなくて!」
修「冗談だろ」
知哉「でも確かに、俺も見てないな……」
椎名「あ、そう? 僕なんか依頼で幼稚園に行くとよく見かけるどね。というか子供たちが見せてくれるんだよねぇ」
修「うわ、何ですかその温かい仕事現場は? 最近こっちはゴミ屋敷みたいなところばっかりですから羨ましいですよぉ」
椎名「あははは、いま僕なんて言った?」
修「えっ? 何がですか?」
椎名「なにか大事なことを言ったような……」
知哉「でも、いま椎名さんが言ったのはカタツムリを見たってことだけですよ?」
椎名「どこで見たって言ったっけ?」
知哉「幼‥」
椎名「幼稚園!」
椎名は大きな声を上げながらイスから立ち上がった。
重「ど、どうしたんですか!?」
椎名「今日、幼稚園に行くんだった!」
重「あぁ、そうですよ椎名さん! 今度パントマイムを見せに行くときの打ち合わせですよ、打ち合わせ!」
椎名「今何時!? あー! じょhf@あおhふぇい……」
椎名は謎の言葉を発しながら大慌てで倉庫にあるロッカーへ行くと、驚異的なスピードで支度を済ませて戻ってきた。
椎名「それじゃ皆、ちょっと行ってきます!」
椎名は傘を手に事務所を駆け足で後にした。そんな椎名を見て修はある疑問を抱いた。
修「なんでピエロのメイクしていったんだ? しかも笑ってるメイクで」
重「だよね、万が一遅刻した時は最悪だよね、心で謝っても顔は笑ってるんだから」
重は自分で上手いことを言ったと思っていた。
修「それに、あんなメイクしてスーツ着て全力疾走してたら、俺じゃなくても岩塩を投げつけられるぞ?」
そう言いながら事務所の軒先へ出た修は、椎名の後姿を見ながらタバコを取り出した。
修「転ばなきゃいいけど……」
知哉も軒先に出ていきタバコを取り出す。
知哉「何か見た目によらず面白い人だよな」
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