上 下
18 / 44

実家に帰ります!2

しおりを挟む
 さて、実家に帰る用意をしています。シフォンが少しでも一緒に居たいからと言って、荷造りの手伝いをしたいと言われたが、却下した。どこの貴族が、王族に荷造りを手伝わせたりするんだよ! どう考えたって、婚約者でも変だから! これは執事とかメイド達の仕事なんだからな。シフォンには時々、大丈夫か?と思う事がある。まぁ、それでも王族の第四王子様なんだけどね。
「アルフォン様、こちらの荷物はどちらに?」
「あぁ、それは僕の部屋に持って行く予定です」
「アルフォン様、こちらの服はどちらに?」
「あ、それは捨てていいよ!」
「え、ですが、これはシフォン様がアルフォン様にと届けられた服では?」
「あれ、そうだっけ?」
 僕は姉様と兄様の事以外になると、おバカになってしまいます。
 これが、欠点だという人がとても多いが、僕はこれも愛の試練と思って受け止めています。
「そしたら、家に飾るよ。とても派手過ぎて、僕では着こなせないし」
「了解しました。では、あちらに持って行きます」
「うん、頼むね」
 シフォンにはいろいろと物を貰ったが、どれがそれか覚えていない。兄様や姉様のプレゼントなら覚えているんだけどね。愛の差ってやつか。
 だが、シフォンとの仲を勘繰られても困るし、うまくやっていかないといけないとは思っている。だが、僕は基本、興味がない事は覚えないたちなのだ。
 いつも脳内は兄様と姉様の事ばかり考えていて幸せだなって思います。神様、あの双子と兄弟にしてくれてありがとうございます!
「アルフォン・ガゼンは貴方かしら?」
「へ?」
 窓の外のお天道様に感謝をしている姿を見られた。赤い髪の超絶美少女に!
 赤い髪は癖ッ毛で、赤い目と青い目のオッドアイの美少女が僕の部屋だったドアの前に立っていた。腕組をして。なんだか、やる気満々に話しかけられている。なんだろう?
「私はアルド・シーフィア、前のシフォン様の婚約者候補の一人だったものよ」
「初めまして、アルフォン・ガゼンです」
 うわー、圧が凄い。滅茶苦茶機嫌悪いが、怒っている様も決まっている。美少女だからかな? さて、この展開はどうなんだろう? シフォンと別れろかな?
「話は手短に話します。私以外にも、シフォン様をお慕いしている貴族がいますの、貴方が婚約者として決まるまで、私たちはライバル同士切磋琢磨していたのに、まさか男にシフォン様を盗られるなんて、私たちの屈辱が分かります?」
「あー……なんだか、すみません」
「謝るなら、婚約者を解消してください」
「したいのは山々なんだけど、女神様から祝福貰ったのに結婚しなくて、アルド様の所為になったりしませんか? 俺達の結婚を邪魔したから、何か良くない事がおきたりとか、責任は持てますか?」
「ななななななななっ! そんなもの怖くありません!」
 顔を蒼白させて言う言葉ではないな。
「そこで、何をしている?」
「あ、シフォン。荷造りは終わったぞ」
 シフォンが僕の部屋だった部屋に入ってきた。
「あぁ、それで彼女はなんでお前の部屋に?」
「っ!」
 あー、慕っていた人からの冷たい態度に視線、こたえるよね。
「僕がちょっとシフォンの事を知りたくて、呼んで話していたんだ」
「……そうか、ならゆっくりしていくがいい」
 シフォンは部屋から出て行った。あいつ、何しに来たんだ?
「アルフォン様?」
 あり得ないという顔をするアルド様。
 そりゃー、味方しますよ。僕がシフォンと婚約解消するためには、新しい婚約者をたてなければいけないのだ。だから、アルド様とは仲良くしていて損はないだろう。
「シフォンには内緒な? 二人だけの秘密」
「はっ、はい!」
 アルド様の頬が赤くなっているのは、気づかない事にした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

たまにはゆっくり、歩きませんか?

隠岐 旅雨
BL
大手IT企業でシステムエンジニアとして働く榊(さかき)は、一時的に都内本社から埼玉県にある支社のプロジェクトへの応援増員として参加することになった。その最初の通勤の電車の中で、つり革につかまって半分眠った状態のままの男子高校生が倒れ込んでくるのを何とか支え抱きとめる。 よく見ると高校生は自分の出身高校の後輩であることがわかり、また翌日の同時刻にもたまたま同じ電車で遭遇したことから、日々の通勤通学をともにすることになる。 世間話をともにするくらいの仲ではあったが、徐々に互いの距離は縮まっていき、週末には映画を観に行く約束をする。が……

同室の奴が俺好みだったので喰おうと思ったら逆に俺が喰われた…泣

彩ノ華
BL
高校から寮生活をすることになった主人公(チャラ男)が同室の子(めちゃ美人)を喰べようとしたら逆に喰われた話。 主人公は見た目チャラ男で中身陰キャ童貞。 とにかくはやく童貞卒業したい ゲイではないけどこいつなら余裕で抱ける♡…ってなって手を出そうとします。 美人攻め×偽チャラ男受け *←エロいのにはこれをつけます

勇者よ、わしの尻より魔王を倒せ………「魔王なんかより陛下の尻だ!」

ミクリ21
BL
変態勇者に陛下は困ります。

眠れぬ夜の召喚先は王子のベッドの中でした……抱き枕の俺は、今日も彼に愛されてます。

櫻坂 真紀
BL
眠れぬ夜、突然眩しい光に吸い込まれた俺。 次に目を開けたら、そこは誰かのベッドの上で……っていうか、男の腕の中!? 俺を抱き締めていた彼は、この国の王子だと名乗る。 そんな彼の願いは……俺に、夜の相手をして欲しい、というもので──? 【全10話で完結です。R18のお話には※を付けてます。】

異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話

深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?

綺麗事だけでは、手に入らない

和泉奏
BL
悪魔に代償を支払えば好きな人を手に入れられるのに想いあわないと意味がないってよくある漫画の主人公は拒否するけど、俺はそんなんじゃ報われない、救われないから何が何でも手に入れるって受けの話

妻を寝取られた童貞が18禁ゲームの世界に転生する話

西楓
BL
妻の不倫現場を見た後足を滑らせ死んでしまった俺は、異世界に転生していた。この世界は前世持ちの巨根が、前世の知識を活かしてヒロインを攻略する18禁ゲームの世界だった。 でも、俺はゲームの設定と違って、エッチに自信なんかなくて… ※一部女性とのエッチがあります。

勇者の股間触ったらエライことになった

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。 町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。 オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。

処理中です...