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王子様の秘められた想い!
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部屋に戻り、ベッドに身体を預けた。スプリングが軋む音がする。
僕は王子である前に人間だ。
武術大会に無理矢理だがジーナにも参加してもらって……、正直いって悪いとは思っている。
だが、ジーナと結婚したいのだ。
初恋だったから。初恋は実らないとはいうが、あんなに僕の好みにドンピシャな人間に出会ったことがない。
芯が強く、他人にも自分にも厳しく、だけど狩りをするときは動物が少しでも痛みを与えないように心臓や頭を狙って、それを命中させる集中力。そして、何処までも動物を思って行動する優しさ。
ジーナの母上には今、新しい命が宿っている。
ジーナの兄弟が出来るのだ。
正直、ジーナが僕に嘘をついているのは知っている。
それもこれも、父上と母上の圧力がかかっているからだ。
僕は【ジーナ】を愛している。
いつか、ジーナの口から本当のことを聞きたい。
分かっている。そんな日がこないだろうという事も。
ジーナが女だと知っていると言ったら、きっと大騒ぎだろうな。
本当に最初は男だと思っていた。だが、情報屋に調べさせたらなんと「女性」だと発覚したのだ。けれど、獣を射抜く強い眼差しに一目惚れしてしまった。
その瞳に僕も映りたいと思ってなにが悪い。好きなんだから、しょうがないだろう!
あぁ、僕が何故こんな茶番をしているかだって。
それは、【ジーナ】という人物に惚れたからだ。
服を脱いで、風呂に向かった。
シャワーのコックをひねる。
温かいお湯が僕をたたきつけてくる。
父上も母上も僕が男が好きだと言った時に、理解はなかった。僕の事よりも、世間体が大事だったからだ。だけど、もう他国まで知れ渡っている話を気にしても仕方がない。僕は男だけと付き合おうと思ったが、なかなか僕の顔を好みだと言ってくる男がいても、僕が好きになれる人とは出会えなかった。男だったら誰でもいいとは思っていないのだ。そんな中、城からお忍びで森に入っていると、運命の出会いをしたのだ。狩りをしている、ジーナと出会った。正直に言うと、ジーナとはその時に家まで招待されていた。出会った時には夕暮れで家に帰る途中で夜になると言うので、お言葉に甘えてジーナの家にお邪魔した。その日はジーナの父親と母親は出かけていて誰もいかなかった。メイドも執事も誰も。ジーナは貴族だと聞いているが、だが貴族は軽装な服で外に出たりしない。ジーナ曰く、金が入るとおさめている民の税金を少しでも楽にさせるために金を工面していると聞いた。ジーナは見知らずの僕にも優しかった。ジーナの作った夕飯を一緒に食べて、就寝した。そして、次の日に僕は城に戻った。城では僕が帰ってこなくて大騒ぎだった。父上に怒られながら、ジーナに名前を言ってなかったとその時に気づいた。緊張のあまりのことだ。情けない。情報屋にジーナの事を調べさせた。ジーナは高熱のあまり僕と出会った記憶が無くなってしまったのだと、ジーナがおさめている民から情報を得てしまった。
記憶がない。
僕との記憶なくなった。
僕は初恋だった。この歳で遅い春だった。
男が好きだと思っていたのに、実はバイだったなんて。女も大丈夫だと知った。
けれど、バイだとバレると父上も母上も煩いだろう。婚約者なんて勝手に決めるだろう。
なれば、ジーナしか選ばせてやらない様に仕組めばいい。
ジーナを男として好きになったのは本当だ。後で女だと知ったけれど、心変わりはしていない。僕の横に居てほしいのは、ジーナただ一人。武術大会に出場したのは、ジーナと初の国外デート&お泊りがしたかっただからだ。けれど、ジャックの所為で嫌方向に向かってしまった。女性を戦わせるのは酷だと思う、けれど僕はまた見たいのだ。あの獣を射る、鋭い眼差しを。
―――シャァアーーーーーーーーーーーーーーー……。キュ、ポタポタ……。
風呂から出て、バスローブを着て、ベッドに腰かけた。
「ジーナ、愛している」
濡れ鼠になっている状態の己を鏡で見ながら、そう呟いた。
もし、ジーナに好きな人が出来たら僕は躊躇せずに、排除してしまうだろう。
嫉妬のあまりに、ジーナを強姦だってしてしまうかもしれない。
僕の愛はドロドロしたヘドロの様な、本で出てくる愛とは美しさが違う。
醜いのだ。
だけれど、この気持ちだけは本物だ。
「ジーナは誰にも、渡さない。僕のものだ」
僕は王子である前に人間だ。
武術大会に無理矢理だがジーナにも参加してもらって……、正直いって悪いとは思っている。
だが、ジーナと結婚したいのだ。
初恋だったから。初恋は実らないとはいうが、あんなに僕の好みにドンピシャな人間に出会ったことがない。
芯が強く、他人にも自分にも厳しく、だけど狩りをするときは動物が少しでも痛みを与えないように心臓や頭を狙って、それを命中させる集中力。そして、何処までも動物を思って行動する優しさ。
ジーナの母上には今、新しい命が宿っている。
ジーナの兄弟が出来るのだ。
正直、ジーナが僕に嘘をついているのは知っている。
それもこれも、父上と母上の圧力がかかっているからだ。
僕は【ジーナ】を愛している。
いつか、ジーナの口から本当のことを聞きたい。
分かっている。そんな日がこないだろうという事も。
ジーナが女だと知っていると言ったら、きっと大騒ぎだろうな。
本当に最初は男だと思っていた。だが、情報屋に調べさせたらなんと「女性」だと発覚したのだ。けれど、獣を射抜く強い眼差しに一目惚れしてしまった。
その瞳に僕も映りたいと思ってなにが悪い。好きなんだから、しょうがないだろう!
あぁ、僕が何故こんな茶番をしているかだって。
それは、【ジーナ】という人物に惚れたからだ。
服を脱いで、風呂に向かった。
シャワーのコックをひねる。
温かいお湯が僕をたたきつけてくる。
父上も母上も僕が男が好きだと言った時に、理解はなかった。僕の事よりも、世間体が大事だったからだ。だけど、もう他国まで知れ渡っている話を気にしても仕方がない。僕は男だけと付き合おうと思ったが、なかなか僕の顔を好みだと言ってくる男がいても、僕が好きになれる人とは出会えなかった。男だったら誰でもいいとは思っていないのだ。そんな中、城からお忍びで森に入っていると、運命の出会いをしたのだ。狩りをしている、ジーナと出会った。正直に言うと、ジーナとはその時に家まで招待されていた。出会った時には夕暮れで家に帰る途中で夜になると言うので、お言葉に甘えてジーナの家にお邪魔した。その日はジーナの父親と母親は出かけていて誰もいかなかった。メイドも執事も誰も。ジーナは貴族だと聞いているが、だが貴族は軽装な服で外に出たりしない。ジーナ曰く、金が入るとおさめている民の税金を少しでも楽にさせるために金を工面していると聞いた。ジーナは見知らずの僕にも優しかった。ジーナの作った夕飯を一緒に食べて、就寝した。そして、次の日に僕は城に戻った。城では僕が帰ってこなくて大騒ぎだった。父上に怒られながら、ジーナに名前を言ってなかったとその時に気づいた。緊張のあまりのことだ。情けない。情報屋にジーナの事を調べさせた。ジーナは高熱のあまり僕と出会った記憶が無くなってしまったのだと、ジーナがおさめている民から情報を得てしまった。
記憶がない。
僕との記憶なくなった。
僕は初恋だった。この歳で遅い春だった。
男が好きだと思っていたのに、実はバイだったなんて。女も大丈夫だと知った。
けれど、バイだとバレると父上も母上も煩いだろう。婚約者なんて勝手に決めるだろう。
なれば、ジーナしか選ばせてやらない様に仕組めばいい。
ジーナを男として好きになったのは本当だ。後で女だと知ったけれど、心変わりはしていない。僕の横に居てほしいのは、ジーナただ一人。武術大会に出場したのは、ジーナと初の国外デート&お泊りがしたかっただからだ。けれど、ジャックの所為で嫌方向に向かってしまった。女性を戦わせるのは酷だと思う、けれど僕はまた見たいのだ。あの獣を射る、鋭い眼差しを。
―――シャァアーーーーーーーーーーーーーーー……。キュ、ポタポタ……。
風呂から出て、バスローブを着て、ベッドに腰かけた。
「ジーナ、愛している」
濡れ鼠になっている状態の己を鏡で見ながら、そう呟いた。
もし、ジーナに好きな人が出来たら僕は躊躇せずに、排除してしまうだろう。
嫉妬のあまりに、ジーナを強姦だってしてしまうかもしれない。
僕の愛はドロドロしたヘドロの様な、本で出てくる愛とは美しさが違う。
醜いのだ。
だけれど、この気持ちだけは本物だ。
「ジーナは誰にも、渡さない。僕のものだ」
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