王子様に女だとバレずに惚れさせ続けるなんて、無理です!

いずみ

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王子様からのお願い?

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 リインにはバレてしまった、自分の考えの甘さの所為だ。
「ジーナは何を飲むかい?」
「ジン、自分で取りますから座っていてください」
「僕にも何かさせてくれ」
「ジンは王子様なんですから、そんな事をしなくてもいいんですよ」
 ジンはその言葉を聞くと面白くないといった表情で私の隣の席に座った。
「ジン様にそう言えるのはおまえだけだぞ、婚約者」
「ジーナです、レイン」
「さて、俺達は何が出来るのか話すんだったな」
「そうだね」
「なら、結界をはっておく。聞き耳をたてられていては、話せない」
 え、きき耳?
 レインが小さく手を動かして結界をはってくれた。
「これでいいだろう」
「レイン、そんなにきき耳はたてられているものなの?」
「王子様の情報が欲しい人間はするだろうな」
「……え?」
 じゃぁ、もしかしたら、さっきの私たちの話もきき耳をたてられていたら?
 リインが結界をはっていた事はないだろう。
 ヤバいな、誰かに聞かれていたら。
 女だってバレている。
「どうかしたの、ジーナ?」
「いえ、気になさらないで下さい」
 聞かれていたのなら、そいつを潰していくしかないな。
「さて、俺達は何が得意で何が出来るかという話だた。舞踏会も時間が近い。簡単に言えば、俺は弓矢などの遠距離魔法が得意。だが、接近戦では剣で対応は可能だ」
「へー、レインって遠距離魔法が得意なんだ。器用だね」
「一応、騎士だからな俺は。両方できて当然だろう」
「なら、リインも似た物なの?」
「あのな、リイン様は団長だよ。大魔法と言える魔法も使えて、俺と比べられない」
「いやー、そう言って貰えると嬉しいな」
「フーン、二人ともそこそこ出来るんだね?」
「ジーナはどうなんだ?」
「私は遠距離の方が得意かな。一キロ先の敵まで見えますよ。接近戦はちょっと苦手かな」
「へー、目がいいんだな」
「これでも狩人ですからね。気配には敏感な方なんですけど。なんか、その方面は自信がなくなってきました」
「いや、魔法を使わずに出来る事が出来るのは良い事だ。皆、騎士もだが魔法に頼りすぎている節があるからな」
「そうなんですか?」
「あぁ、リイン様の言う通りだ。魔法は無限ではない。魔法を出せる力は個人によって違うが、使いすぎると魔法が出なくなったりする。そのために体力をつけて、逃げるか闘う準備が騎士には必要なんだ」
「へー、そうなんですね」
「ジーナはあまり魔法を使っていないで獣をとっていたんだよ。凄いだろう」
「いや、ジン。ジンがそんな誇らしげに言う言葉ではないですよ」
―――コンコン
 扉が叩かれた。
「ジン様、舞踏会のお時間が迫っています。お着がえの時間になります」
「わかった」
「うーん、もっとリインとレインの実力を聞きたかった」
「そんなもの、武術大会で見せてやるよ」
「レインは緊張しないんだね」
「ジーナはそんなか弱い心臓なのか?」
「いや、言ってみただけです」
 さて、舞踏会が始まる。
 これをきに、私を潰しておこうとするジャック王子の魔の手からどう逃げるか?

 私がそう考えていると、ジンが笑顔で
「ジーナの衣装はこっちだからね」
 と言われた。
 騎士なのだから、軍服でも用意してくれていると思ったら。
 白いドレスだった。胸元は見えないものだが。
「ジーナにはジャックの前では女性になってもらいます」
「ジン、どういう事なの?」
「だって」
「ん?」
「ジーナは男でも女でも綺麗だって見せてやりたいんだ」
 何故、そんな事を思うんだろう?
 ジャック王子の綺麗とジンの綺麗はなんか違う気がするんだけど。
 
 ため息をついて、私は渡されたドレスに部屋で着替えた。
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