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嘘と本当と偽りの現実と!

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 味方だと思っていいのだろうか?
 王子様の事だから信用できる人なのかもしれないけれど、レインもリインも、けれど信用は私はしていない。あの、ジャック王子の強気の様子は騎士を信頼しているものもあるかもしれない。だが、裏切り者がこちら側にいるとしたら、勝つ事は難しい。手の内を知られるのは良い事だろう、手のうちようがあるのだから。だが、それは相手も一緒の事だ。
 ホテルの自分の部屋に入り、その考えが頭を揺らいだ。
「王子様はいつかは他の貴族のかたか王族と結婚か……」
 別に王子様と結婚したかった訳ではない。だけれど、結婚適齢期に入る時間帯は王子様の仮の婚約者だ。結婚からは遠いだろう。
 自分の人生がどうなったっていいと家族は思っていたのだろうか?
 貧乏貴族だったけど、それなりに楽しい日々を送っていたと思っている。
 いつか好きな人が出来てと夢だってみていた。
 それが、現実はどうだ?
 王子様は男性が好きで、私を好きになっているが、それを男性だと思い込んでいるからで、もし女性だとバレたら、この婚約はなしだろう。
 気を付けなければいけないと思う。王命なのだ。罰は厳しいものだろう。
 どうして、私だったのか!
 王子様を憎く思いたくないが、黒い染みがどんどん溢れてくる。
 いつか、心が真っ黒になったら私は……どうなってしまうのだろうか?

――コンコン
「ちょっと、いいか。ジーナ」
「はい、ちょっと待ってリイン」
 扉の鍵を開けるとリインが立っていた。
「部屋に入れさせてもらっていいか?」
「いいけど、なに?」
 リインを室内にいれて、扉を閉めるとリインは突然ガッシリと両肩を掴んできた。
「お前、女って本当か?」
「な、なんの事?」
「トボケルナ!」
 リインが真剣な顔で見てくる。私はため息をついた。
「何処から知った情報?」
「俺の個人で仲良くして貰っている情報屋からだ」
「情報屋ねぇ」
 そこら辺の根回しは全然してなかったな、今更だけど片付けておいた方がいいかな。
「大丈夫だ、情報屋達への根回しはもうしてある」
は?
「なんで、そんな事してくれたの?」
「ジャック王子の逆鱗に触れさせるわけにはいかないからさ」
「ジャック王子様ねー……どんな情報が回っているの?」
「お前らを舞踏会で倒すか町で倒すかしたら賞金が渡せられる。どんな方法でもいい、死んでも構わないと言われている。だから、舞踏会に出ても負けろ」
「出来れば、そんな舞踏会にも参加しないよ。家族の身もかかっているのコッチは。王命でね。王様も王妃様も、王子様が女性を好きになったら、はれて自由の身なの。だから、ここで私が死んでも後悔はない。家族は生きていられるから。知っている? 母様のお腹に新しい命が出来ているって事。私はその子にだけは健やかに成長していってほしい。たとえ、私が死んだとしても、いいのよ」
「ジーナ……お前」
「人生は一度きりなの、一人に一つ。来世やら前世やら人間の妄想で出来た世界の事は知らない。だけれど、死んだら終わりなの。私は少しでも長く生きられる側に賭けるよ!」
「強いな」
「ありがとう、リイン」
「俺が王子様に告げ口しないと思わないのか?」
「もし、そうだったら私が馬鹿だっただけよ。気にしない。信頼できる人間は自分で見極めているつもりだから」
「俺は信用があるという事か?」
「話すなら、もう既に話していると思うから」
「なんか、嬉しいな」
「私よりも王子様にゴマすりしておけばいいよ」
「いや、俺は……まぁいいか! レインとジン王子様がお待ちだ。レインの部屋に行こうか」
「分かった」
 部屋からジーナとリインは出た。

 だが、その話を聞いていた人がいた。
「ほう、あの男だと思っていた人間の性別は女か! これはいい!」
 黒い軍服を着た騎士がジーナ達の話に聞き耳をたてていた。
「男をイタブッテも面白くないからな、女だ! 女を切りつけて、踏みつけて、首を絞めて、苦しめてやろう。ジャック王子からも褒美も出る。これぞ、一石二鳥だ!」
 
 騎士としても人間としても腐った人間に話を聞かれたジーナ。さて、どうなる?
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