BLゲームを攻略するのが私にチェンジってあり!

いずみ

文字の大きさ
上 下
2 / 3

心の叫びを

しおりを挟む
「どうかしたのかな? 暗い顔をして」

「いえ、大丈夫です」

 嘘だ。全然、大丈夫なんかじゃない! 私はBLゲームの主人公。けれど、その主人公である私は「女」として存在している。そのじてんで、BLゲームとしてのこの世界は崩壊もいい所の世界である。けれど、この崩壊世界のBL世界でゲームの神様であるシュラを楽ませないといけないという、無理ゲーが課せられている。どうして、私はただBLが普通に大好きな普通の腐女子だったのに、BL世界の主人公。第三者に戻してください。これはもう、逆ハーレムとしか言いようがないのだ。正しい世界に戻すためには、私が頑張らないといけない。けど、頑張りたくない。いやいや、このまま世界を崩壊させたままだと、このゲームのファンとして嘆き悲しむ日々が続くだろう。さて、真面目な話だが、この世界は魔法なんてファンタジー的ものがある。その魔法で私を「男」の性別に出来ないものだろうか?

 私を心配して話しかけてくる担任の先生が目の前で椅子に座りながら見上げてくる。

 うん、普通に可愛い。大人の男の人なんだけど、可愛いわ。だからだろうか…、私の事を睨んでくる一人の先生がいた。私は知らないふりをした。関わったって、良い事はないだろう。それよりも、担任の先生とのコミュニケーションだ。何故、私がこの学校にいるのか、先生から説明してもらおう。

「僕は安藤満あんどうみつる、君のクラスの担任をしている。男ばかりの学校で心細いと思うから、何かあったらなんでも相談してね。風間梓さん」

「あの、早速なんですけど、私はなんでこの男ばかりの学校に編入してきたんでしょうか?普通なら、この行為は神の裁きが下されるほどの禁忌のはずでは?」

 そう、この世界の神様は男は男との恋愛。女は女との恋愛を求めた。そして、人間はこの星で生き抜くためにその求められた事を遂行する。なのに、何故? 神様からの罰は? 私は疑問が頭の中をぎっしり詰まっている。本当に謎だらけなんです。

「それは、神様のご意思が変わったからです。もう、男と女という性別で差別してはいけないと、皆と一緒に仲良く手を取り合って努力して生きていくように、「生き巫女」様のお言葉なんだよ。だから、まずは人数を少なくして編入をしてもらったんだ。風間さんの他に、編入生はあと二人いて、風間さんと合わせて三人になっている。同じ、教室だからね。心配しないでね」

 生き巫女。

 それは、この世界の神の声を聞く、巫女。天空には男巫女。地上には女巫女がいて、それぞれが神様のご意思を世界に伝える役割を担っている。だが、今回はどちらの巫女からも同じご意思が伝えられてきたらしく、その所為で生贄。いや、実験のために三人の女の子がモルモットされているんだろう。ていうか…、その神様って絶対にシュラじゃん! 余計な事しかしないやつだ。そりゃー、一人だと心細くて今はちょっと安心しているけど。このBL世界的にはヤバい。女が三人も男子校にいる。なんだそれ? 共学じゃん、これで「男」と「女」との恋なんて始まったら、世界の崩壊だ。ガチでヤバい。

「他の編入生は昨日、紹介してすでにクラスで授業を受けています。いろいろと大変かと思いますが、クラスメイトと仲良く」

「はぁ…はい」

 うん、クラスメイトがどんな態度で来るのか予想するのは難しくない。この、学校は典型的な男子校と考えていい。そして、性別の差別が存在する。クラスメイトからの歓迎の声は聴けない事だろう。ていうか、見世物の気分になってくる。

 あぁ、家に帰りたい。

 家に帰って、風呂に入って湯船につかって、あがったら牛乳を飲んで、お母さんの作ってくれた美味しいご飯を食べて。…あ、そっか。もう、それも出来ないんだ。だって、私はあの世界で「死んでしまった」から。

「大丈夫ですか?」

「え…、大丈夫ですが」

「ですが」

「?」

「泣いていますよ」

 そう言われて、頬を手で触ると頬がぬれていた。あぁ、泣いているんだと思った。心が悲鳴をあげているんだろう。突然の別れだった。その日に限って、お母さんの手作りの朝食が食べれなくて、遅刻しそうになってそれで…事故にあった。遅刻しそうでも、なにがあっても、食べればよかった。今は後悔しかない。だって、もう二度とそんな時は戻ってこないのだから。

あぁ、死んでしまったってやっと実感したよ。

 

「はい、すみません。大丈夫です」

「そうですか?」

「泣いてしまってすみません。大丈夫です」

「何かあったらすぐに言ってくださいね。いくら、神様のご意思でも「男」が「女」を敵対意識をもっているので、大変だと思いますが」

「先生、私はこの人生では悔いを残したくありません。ご指導のほど宜しくお願いします」

 そういって、私は安藤先生に頭を下げた。

「他の周りの、先生方も宜しくお願いします!」

 他の先生たちにも頭を下げた。

 先ほどまで、睨んでいた瞳や物珍しさで見ていた瞳をしていた先生から拍手がなった。



 私はもう、悔いが残る事はしない。

 こんな苦しいなら、もう二度としたくない。

 「女」であることで、これから降りかかってくる火の粉を振り払わないといけない。けれど、「男」とか「女」で差別をなくすのはいいことだと思う。初めてには苦悩が苦労が立ちはだかるが、乗り越えてみせる。だって、私のいた前の世界では平和だったのだから。だから、きっとこの世界にもそんな時がくるだろう。

「さぁ、HRが始まる時間だ。教室に案内するよ」

「はい、宜しくお願いします」

 逆ハーレムの乙女ゲームになろうと、私は絶対にハッピーエンドにいってみせる!



 こうして、初めての学校生活の幕が上がろうとしていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

カモフラ婚~CEOは溺愛したくてたまらない!~

伊吹美香
恋愛
ウエディングプランナーとして働く菱崎由華 結婚式当日に花嫁に逃げられた建築会社CEOの月城蒼空 幼馴染の二人が偶然再会し、花嫁に逃げられた蒼空のメンツのために、カモフラージュ婚をしてしまう二人。 割り切った結婚かと思いきや、小さいころからずっと由華のことを想っていた蒼空が、このチャンスを逃すはずがない。 思いっきり溺愛する蒼空に、由華は翻弄されまくりでパニック。 二人の結婚生活は一体どうなる?

学園にいる間に一人も彼氏ができなかったことを散々バカにされましたが、今ではこの国の王子と溺愛結婚しました。

朱之ユク
恋愛
ネイビー王立学園に入学して三年間の青春を勉強に捧げたスカーレットは学園にいる間に一人も彼氏ができなかった。  そして、そのことを異様にバカにしている相手と同窓会で再開してしまったスカーレットはまたもやさんざん彼氏ができなかったことをいじられてしまう。  だけど、他の生徒は知らないのだ。  スカーレットが次期国王のネイビー皇太子からの寵愛を受けており、とんでもなく溺愛されているという事実に。  真実に気づいて今更謝ってきてももう遅い。スカーレットは美しい王子様と一緒に幸せな人生を送ります。

婚約破棄の甘さ〜一晩の過ちを見逃さない王子様〜

岡暁舟
恋愛
それはちょっとした遊びでした

だってお義姉様が

砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。 ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると…… 他サイトでも掲載中。

家出したとある辺境夫人の話

あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』 これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。 ※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。 ※他サイトでも掲載します。

勘違い令嬢の心の声

にのまえ
恋愛
僕の婚約者 シンシアの心の声が聞こえた。 シア、それは君の勘違いだ。

若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!

古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。 そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は? *カクヨム様で先行掲載しております

騎士のオトナな秘密と新入りのオ××な秘密

黒猫子猫(猫子猫)
恋愛
騎士団長アルベルトは、悩んでいた。酔っぱらった新入事務職員ロディネを家に送り届けた事がきっかけになって交際を始めたのだが、彼女の家で見てしまったものがずっと気になっていたからだ。 そして、ロディネも、密かに悩むことになった。アルベルトと恋仲になって、優しく包容力のある姿にどんどん夢中になっていたのだが、彼が隠し事をしている事に気づいたからだ。 お互いに《見せたくないもの》を抱えた二人の、優しい恋の始まりのお話。

処理中です...